銀河系の中のひとたち









ゲイジュツカたち
なぜそんなに眉を( ひそ )める




あの人の言うこと
賛同するのが嫌なだけで
ご自分の深みになんて何も
要諦できるものが見つからないのに




眉を顰めてしたり顔でいれば
みんなが あいつは骨がある なんて
あいつには考えがある なんて
本気になって見込むと思う?




孤高の素振りで眉間に皺を寄せて
底の深い瞳をつくっても
かざしているペンは
もうインクが切れている




枯れることを知らぬ源泉を告知しても
あの人のエッセンスを
指の間から拝借するのは
あなたのミューズである証




皮肉たっぷりなお返しを楽しんでも
ひとりでは最早生むことができない現実を
あなたも知っている
霊感の源




あの人の宇宙には
誰も入って行けない
あの人の頂きには
誰も旗を突き刺せない




策士のシャトルを飛ばしても
泥濘(ぬかるみ)のブラックホールが
また
できる




そのうちなくなる
なくなってしまう




あの人に
眉を顰めるだけの情熱の
そんな使い方しかできなくなって
惹き合うことができなくなって
引かれてゆくだけの隕石になって


堕ちる



 

 

 

 

Picture by Alan


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