実 存

ここをおすと画像があらわれます。



Picture by Koyori





グラッ
と来た時の心模様



自分の弱さを隠すために
あらゆる方法で身を守る



「おまえが悪い」
「おまえが悪い」
おまえを否定することでしか
自分の正当性を立証できない



「俺はそうじゃない」
「俺はそうじゃない」
くり返し叫ぶ罵倒の言葉は
ひどくおまえを傷つけるだけで
俺が在る事への意味のためだけの台詞なのに



口の中から唾を飛ばし
だんだんカラカラに渇いてゆく
胸の中もおんなじに
だんだんカラカラに渇いてゆく



自分の正しさ
自分の正しさ
虚しく空を舞うばかりの責めたてる言葉
こういうつもり ああいうつもりの
未来の無い約束



そのまんまそれは
闇を暴いてゆくものと 気付き乍ら
気付いてゆき乍ら
それを止めたら負けだと
信仰めいた原動力で
いつも自分を壊してゆく



いつかおまえの瞳は翳り
どす黒く 鈍くなって
何度も折られたその鼻の骨のせいで
笑いを失くした横顔は
此処には無いものを探しているように



阿呆のように
小鳥のように
もう二度と
人の言葉を発しない



おまえを壊し
俺を壊し
世界を壊すことだって
できるだろう

 

 

 

 


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