ブリュージュの昼食
そこはブリュージュの中心広場から一本通りをはいったところ。
(我々は逆向きからアプローチしたが。)
観光客向けの「ベルギー料理」と書いた看板をかかげているお店が3軒ほど軒を
つらねていた。その真ん中のお店を選択。お店にはアメリカ人とおぼしき数人の
旅行客が入り口近くの丸いテーブルで談笑しながら食事していた。我々はいつも
ながら、ベビーカー連れなので、店の奥の方のやや広めの席を案内される。
アメリカ人ご一行は巻き舌の英語でかなりの大声だ。隣の席では地もとのカップル
がワインで乾杯している。よかった。地もとの人も来るところならば料理は
期待できそうだ。ごまちはベビーカーの中でぐっすり眠っているので、今のうちに
料理を楽しもう。
さてこの日の昼食のメニューは。
エスカルゴのオリーブオイル炒め
ウナギの香草煮
鶏肉のクリーム煮
魚介類のグラタン
エスカルゴのオリーブオイル炒めはかなりうまかった。
日本で食べるエスカルゴというと壺焼きのような容器にはいってくるが、
ここではすでにかたつむりの原型をとどめない炒めもののため、まったく
抵抗なく口にできる。お母ちゃんは北陸出身のためか、バイ貝の味を連想した。
あの、こりこりした歯ごたえと貝の甘み、それがたっぷりのオリーブオイルと
多分にんにくでかなりな味に仕上がっている。パンをオリーブオイルにしみこま
せて食べるのもまたおいしかった。スペイン料理でたこのオリーブオイル炒め
を食べたことがあるのだが、それにも共通するうまみだ。たこよりもむしろ
こってり感がある。
ウナギは、お父ちゃんのチョイス。お父ちゃんは一度お母ちゃんにヨーロッパ人の
ウナギの位置づけについて蘊蓄をたれたかったらしい。というのも、決して
うまいとはいえない料理法であるからだ。ウナギは蒲焼きが一番。日本ではあんなに
珍重されるうなぎも、ヨーロッパでは煮ても焼いても喰えない食材であるらしい。
その証拠にやせ細ったウナギが無惨な姿で煮崩れし、大量のハーブでなんとか
臭いを消してメニューに加えられていた。うまくもなんともない。
鶏肉のクリーム煮は、前日に食べた白身魚のクリーム煮と似た印象。バジルと
胡椒の味がきいていた。少し塩辛かったかな?日本の家庭で作るクリームシチュー
みたいだったけど、スープは全部飲むものではなくて鶏肉につけて食べるだけの
ようだ。
魚介類のグラタンは、めちゃくちゃおいしかった!もともとお母ちゃんは
グラタンが大好き。子供の頃から「好きなものは?」と聞かれるとまずいちごで
その次がグラタンであった。それはさておき、このグラタン。チーズがたーっぷり。
ちょっと油が浮いていたのが気になるけど(バターがたくさん使われていたため
だろう。その方がおいしいのだけど、カロリーが心配だった)、大量の
チーズとバターでもう、気が遠くなるほどうれしかった。そして、そこにエビや
イカのステキな魚介類の香りがからまって、何とも言えないおいしさ。底の方には
たっぷりの舌平目と鮭の切り身が入っている。これが、入っている、なんてもん
じゃなく、日本だったらその切り身一つだけでもメインディッシュになるほどの
大きさで入っていた。それが舌平目1つに鮭2つも入っていたからたいへん。
おいしくて涙がでそうだったけどお腹がいっぱいで泣く泣く残した。お父ちゃんは、
もともとお母ちゃんの
チーズ好きに批判的だし「健康のためにはこんな高カロリーのものを全部
食べるのはよくない」と思っているのかあまり食べなかったみたいだ。
全体として、このお店はちょっとやぼったい味だった。おいしかったけど。
ごまちは途中目がさめてミルクを要求して大泣きしたけど、ミルクはすでに用意して
あったので、すぐに口に入れてもらって満足して泣きやんだ。
トイレでほ乳瓶を洗ったけどあまりきれいにならなくて、お店の人にお願いして
炊事場で洗ってもらった。この日お母ちゃんは体調が悪くてトイレに何度も立ったし、
ほ乳瓶を洗ってもらったりして
お店の人には「悪いなあ」と思った。赤ちゃん連れで、周囲に迷惑をかけないように
旅行するのは難しい。「だったら旅行しなきゃいいじゃん」と言われるとそれまでだが。
だからこそ逆に、「誰にも迷惑をかけずに旅行した」と胸をはっていえるように
しなければ、と思っていたのだ。
ちょっと話はそれるけど、これって、女性が男性の職場に進出しようとするときの
意気込みに似ている。大学時代の友人とよく話していたことだ。職場の上司に「本人が
どうしてもというから女性を採用したけどやっぱりだめだね」と言われてしまったら、
自分だけの問題ではなく
将来にわたって後輩の女性は採用してもらえなくなる。だから、どんなことがあっても
自分が失敗するわけにはいかないんだ、と。
今回の我々の旅行がそんなに大きい影響を及ぼすとは思えないが、やっぱり、
「赤ちゃん連れで非常識な!」と言われるより
「赤ちゃんと一緒に旅行して楽しそう」と言われたいし、できれば、「私も子連れで
旅行してみようかしら」と思ってもらいたい。だって、赤ちゃん連れでの旅行では、
大人だけの旅行では得られないいろいろな経験ができるのだもの。そしてだからこそ、
一人一人が、決して人に迷惑をかけないようにしなければならない。もちろん、
100%誰にも迷惑をかけないのは無理
だろうが、少なくとも甘えることだけは許されないと思う。
子供が旅行中に病気せず健康に過ごせるように最大限の注意を払うことは言うまでも
なく大前提である。
こう書いていて、あらためて考えてみるとやっぱり私は肩に力がはいっていたのかな?
つづく
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