ブリュッセル市内へ


さて、市内にでることにしたが、まず空港でシティバンクを探し現金を手に入れた。 シティバンクは便利だ。口座さえあればどこにいってもいちいち両替する必要もなくカードで 現地通貨をそのまま引き出すことができる。お父ちゃんもお母ちゃんもその方法で、現地通貨 をほとんど持ち歩かずにすんだ。最低限の必要現金、だいたい3000円分ぐらいだけをちょこ ちょこおろして持ってあるいた。大きい買い物をしたいときは現金を近くで引き出せばよい。 といってもこの二人の貧乏旅行でそれ以上の大きい買い物をすることはあまりありえないが。 時々、キャッシュディスペンサーがみつからず苦労したこともあったが、ほとんどの場合は 街角ですぐにみつかる。

大きな荷物、赤ちゃん連れ、カメラとビデオをぶらさげた、どこからどうみてもジャパニーズ 観光客の我々は、その間も何度かタクシーの客引きに声をかけられた。
あぶないあぶない。そういうタクシーが最も危険なんだ。お母ちゃんは結構ぴりぴりしていた。 お父ちゃんはなれたもので、ぐんぐん地下鉄の駅の方向へ標識を頼りにつきすすむ。
お父ちゃんは本当に頼りになるなあ、とお母ちゃんは惚れなおす。
地下鉄の駅では深夜のためすでにチケット売場が閉鎖されていた。自販機もout of order。 しかし電光掲示板では最終電車11:45発がまだ残っていることが表示されていた。
11:45発Brussel zuid行き。
これが目的のブリュッセル中央駅に停まるかどうか定かではない。 切符の買い方もわからない。(だって駅員さんもいないし売場も閉まっているのだもの。) 近くにはバックパッカーらしき数人の外国人(多分先のラテン系の飛行機から降りて来た人達)が たむろしてなにやら相談している。彼らも市街地に行きたいがどうやって地下鉄にのればいいの かわからないらしい。地球の歩き方をひろげている日本人らしき人にも出会った。 「切符はどこで買うのでしょう?」
「さあ?」
「この電車はブリュッセル中央駅に停まるのでしょうか?」
「さあ?」
お互いにさっぱり解決方法がみつからない。
ガイドブックの地図には該当する駅はみあたらない。しかし、そこはさすがにお父ちゃん。
なにやらガイドブックの別のページをめくっていたかと思うと、「あったあった、このzuidとかいうのは南 のことや。だからブリュッセル南駅行きや。」ガイドブックの「旅行に必要なフランス語」の ページをみていたらしい。こういう機転がお父ちゃんのすごいところだ。
しばらくして、たむろっていたラテン系バックパッカーの一人が駅のホームからもどってきて、 「切符は電車の中で買えるらしい」と教えてくれた。




それが確かな情報なのかどうかわからないまま、しかし他に方法もないので、我々も駅のホーム にむかい、電車に乗り込んだ。電車の中は同じ飛行機から降りてきたとおぼしき日本の人達がち らほらみえる。デッキではラテン系のやはり赤ちゃん連れの旅行者らしき一家が、ベビーカー の中の赤ちゃんをあやしている。ごまちはまだお母ちゃんの抱っこひもの中で眠りこけている。 お父ちゃんと並んで座った。一家を連れての旅行で家族と荷物の安全に気をつかっての移動は、 お父ちゃんには相当の重圧がかかっているだろう。電車が動き出すとお父ちゃんもうとうと し始めた。お母ちゃんは、お父ちゃんとごまちと旅行できるしあわせをかみしめていた。



車窓からは、暗くい中にも、ときどきいかにもヨーロッパの田舎街の風景がみえた。
景色の中にだんだん家が増えてきて、それが街並みにかわり、そして中心市街地の様相を呈してきた ころに、電車はブリュッセル北駅に到着した。ホテルを選ぶ時に何度も地図とホテルの位置を 確認した辺りだった。建物の位置もなんとなく頭にはいっている。そして、次のブリュッセル 中央駅で降りた。ここからホテルまでは地下鉄の駅で4つ。乗り換えるための地下鉄はもう ないから、タクシーに乗ることにした。空港タクシーは無許可の法外な値段を請求されるものが 多いと聞くが、駅からならば大丈夫だろう。根拠はないが。
駅のタクシー乗り場にはすでに同じ列車から降りてきた人達がつぎつぎとタクシーに乗り込んで いた。乗車前にタクシーの運転手さんに、ホテルの場所を告げ、いくらぐらいかかるか確認する。 先にそれをやっておかないと、着いてから法外な値段を請求されると困るし、こちらがだいたい の値段を知っていることを示しておかなければならない。そのあたり、うちのお父ちゃんは ぬかりがない。



つづく

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