機内でーその2



さて、飛行機が水平飛行にはいるとシートベルトサインが消え、機内がリラックス した雰囲気につつまれる。しかし、ごまち連れの私たちにはそんな余裕はない。 まず、今飲み干したミルク瓶を洗いにいくために席をたった。 サベナのトイレは中央に4カ所。私たちの座席から最も近い通路側の2カ所のうち の一つがベビー用のおむつ替えシート付きであった。 飛行機のトイレの手洗い用の蛇口は押していないと水がでないタイプのものが多い が、サベナのトイレは蛇口を押してしばらくは水がでるタイプのものであった。 これには助かった。ミルク瓶を洗うのに結構な水量が必要だったし、手でたんねんに 洗うために、片手がふさがるのは不便だから押し続けなければならないタイプだと 困るからだ。

みるとハンドウォッシュ用のポンプボトルが置いてある。 欧州系の航空会社の石鹸はいい匂いがするので大好きだ。ちょっと手にとって 勢い良く泡立てる。更にオーデコロンまでついていた。うれしい。手首にちょっと だけつけるつもりが勢いあまって大量に振りかけてしまった。 トイレの中はコロンの匂いで充満してしまった。 ミルク瓶を持ったあやしい女性が出てきたあとにトイレに入る人はこの コロンの匂いにびっくりするだろう。

トイレから戻るとごまちは大泣きに泣いていた。 お父ちゃんが一生懸命あやすがいっこうに泣きやまず、おとくいののけぞりスタイル でお父ちゃんの腕から逃げようとする。お母ちゃんが戻って抱きかかえるとすぐに 泣きやんだ。お父ちゃんは普段単身赴任でごまちと十分一緒にいる時間がないので ごまちはいつもの抱き方と違うといって泣いていたのだ。悲しそうなお父ちゃんの 顔。この旅行中にたくさん抱っこしてあげればきっとごまちもお父ちゃんの抱き方 になれてごきげんになるよ。と思ったけど、お父ちゃんに声をかけてあげる余裕も ないまま、濡れたおむつを取り替えるために今でてきたばかりのトイレにごまち をかかえて向かった。

赤ちゃんマークのついたトイレには、便器の上におろす板がついていて、そこに 赤ちゃんをのせておむつが替えられる。単なるプラスチックの板なので、ごまちは 寝心地が悪いのか、のせるとまた火がついたように泣き始めた。いつもなら泣いて もおむつを取り替えてあげると気持ちよさそうにのびをするのだが、今回はそれすら せず、おむつを替えてもらったことにも気づかないように泣き続ける。

仕方なく手早くおむつを替え、しばらくトイレの中で泣きやむまで抱っこしてゆす って、落ち着いたころに席にもどった。出発前に赤ちゃん連れの旅行記をなめるように 読んできたが、そこに書いてあった、「泣いてどうしようもなくなったらトイレへ」 という項目は、ごまちにはあてはまらないと思った。その旅行記によると、トイレは 赤ちゃんにとっては未知の世界でそれなりにおもしろそうなおもちゃ(ペーパーや 鏡や蛇口)があるので泣きやませるためと泣き声で周囲に迷惑をかけないためによい のだそうだ。ごまちはトイレにはいると、飛行機中に響きわたるような泣き声をあげ るため、どう考えても薄いトイレの壁をつきやぶってしまう。トイレ近くの座席の人 は相当うるさく感じているに違いない。




つづく

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