機内で
子連れの人は優先的に機内に案内され(これこれ、これが欧州系航空会社
のいいところ)、乗り込む。
ベビー用のバシネットをリクエストしておいたのだが、どうも座席にはそ
のようなものがとりつけられそうにない。
不安になってスチュワードさんにたずねると、やはりその席にはとりつけ
られないことがわかった。
スチュワードさんは親切に、「今から手配します」と言ってくださり、
席をかわってくれるように他のお客さんに頼んでくれた。
バシネット装着可能な席は前方のかなりよい席なので、かわってもらえるか
どうか不安になりながら待つ。
待つこと数分、「向こうのお席へどうぞ」と声をかけられ、移動した。
かわってくださった方にお礼をいい、向かうと前方の窓側、二人掛けのかなり
快適な席だった。かわってくださった方に申し訳ないなあ、と思いつつ、
この二人掛けの席をこころおきなく夫婦で使い、前にバシネットをつけて、
ごまちを寝かせるというのは、長旅において最高の条件になったと喜んだ。
席につくとすぐに、ミルクの用意だ。
ごまちが気圧差で耳を痛がらないように、離陸の時にミルクを飲ませるために
あらかじめ用意してあったほ乳瓶にミルクを入れた。
飛行機はゆっくりと誘導路を動き始めた。
機内アナウンスはフランス語、英語、そして最後に日本語。
ああ、やっと外国に飛び立つんだという感慨がよぎる。
お父ちゃんは隣の席ですでに機内誌を広げてくつろぎ始めた。
いつもなら私も映画のチェックや免税品のカタログを広げ始めるころだ。
でも、ごまちと一緒の旅行ではそんな余裕はない。
飛行機が離陸体制にはいると同時にミルクをのませたかったのだが、
すでにごまちはうぎゃうぎゃ言い始めた。飛行機のゴーッといううなりで
多少はかきけされるものの、ごまちの
「えっ、えっ、うぎゃー」という声は機内にかなり響く。
周囲の人の視線が、「こんなに小さい赤ちゃんを長時間飛行機に乗せるなんて」
と非難されているように感じてしまう。
仕方ないので少々はやめだがごまちの口にほ乳瓶をねじこむ。
ごまちはいつものように最初のけぞるように体をねじったが、すぐにおとなしく
ごくごく飲み始めた。そういえば、単身赴任のお父ちゃんの待つ大阪へ行くために
ごまちと二人で飛行機に乗ったことが何度かあったっけ。でもお父ちゃんと一緒に
ごまちを連れて飛行機に乗るのは初めてだ。何だかうれしい。
飛行機はその後まもなく加速を始め離陸した。
窓からは房総半島がよくみえた。
つづく
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