山ちゃんが住んでいるのは、
首都高、高井戸ICを降り、
高速沿いの脇道を少し走った高速の下。
変電施設のある交差点だ。
雨はしのげるが、寒さはしのげない。
陽当たりは良いのだけれど、風は体をすり抜けて行く。
風と共に吹き上げる、関東ロ−ム層は、目にしみる。
決して住みやすいところだとは思えない。
では、なぜ山ちゃんは、この場所を選んだのだろう?
どうして山ちゃんは、何年もこの場所を離れないんだろう?
答えは山ちゃんにしか分からない。
そして、たぶん山ちゃんは、今日もそこにいる。

◆2000年4月現在。
数年前に首都高速の橋桁保強工事に伴い、山ちゃんと山ちゃんを取り巻く
文明的廃棄物は、強制撤去され跡形もありません。
ところが、昨年の初夏でしたか、元、山ちゃんち近辺を
自転車で疾走する山ちゃんを見かけました。
荷台には、なぜか電子レンジが乗っていました。
一瞬、追跡しようかとも思いましたが、
元気な姿を見れただけでいいか・・・と思いとどまりました。