ハーマイオニーの論理は正しかったか?


「賢者の石」,クライマックスの16章.ハーマイオニーとハリーはスネイプのかけた謎解きに挑戦する.

話は単純だ.テーブルの上に「形の違う七つの瓶が一列に並んで」いる.「七つの瓶があって,三つは毒薬,二つはお酒,一つは...黒い炎の中を通してくれ,一つは紫の炎を通り抜けて戻れる」.
四つのヒントがある.第一のヒント「毒入り瓶のある場所は,いつも..酒の左」第二のヒント「両端の二つの瓶は種類が違う..前進したいならふたつのどちらも友ではない」第三のヒント「小人も巨人もどちらにも,..毒薬は入っていない」第四のヒント「左端から二番目と,右の端から二番目の瓶の中味は同じ」

以上である.ちなみに小人というのは一番小さい瓶,巨人というのは一番大きい瓶のことだと思われる.ハーマイオニーはしばらく考えた末,右端にある「大きな丸い瓶」が紫の炎の瓶,一番小さな瓶(どこに置いてあるかは書かれていない)は黒の炎の瓶と断定する.

さて,ここで問題なのははたして右端の「大きな丸い瓶」は,七つの瓶の中の一番大きい瓶(巨人)だったか?という点である.それは,はっきりとは書かれていない.だが,まあこの状況では,これが一番大きな瓶だったと考えることにしよう.(そうでないと,手がかりが少なすぎる)

次に論理的に曖昧なのは,「毒入り瓶のある場所は,いつも..酒の左」というヒントだ.例を挙げて説明しよう.なお,以下毒,酒,黒,紫,でそれぞれ毒入り瓶,酒入り瓶,黒い炎を通す瓶(前進できる),紫の炎を通す瓶(後退できる)を表すことにする.
左から,毒,酒,と瓶が並んでいるとき.これは条件を満たすのは間違いない.
では左から,毒,毒,酒と並んでいるとき,これも条件を満たすとして良いか?良いであろう.毒は酒より1本多いので,これは認めざるを得ない.
左から,毒,黒,酒,と並んでいる時.これはダメではないか.これも一応毒は酒の左側にはあるが,間に他の瓶が入っている.これはダメにしないと(厳しくしないと)確定できなくなるのだ.
同様に左から,毒,紫,酒というのもダメとなる.

さて,考える条件は定まった.ハーマイオニーが「冷静な論理を用いて」解いた結果は以下のようである.(左から)

毒,酒,黒(一番小さい瓶),毒,毒,酒,紫(一番大きい瓶)

これは四つのヒントに適合する.つまりハリーが飲んだ一番小さい瓶(黒の炎の瓶)は左から三番目にあったのだ.目出度し目出度し.
しかしである,実は次のような可能性もあるのだ.

毒,毒,酒,黒,紫,毒,酒(一番大きい瓶)

これは四つのヒントを満たす一例である.他にも多数の組み合わせがある.左端から二番目と,右の端から二番目の瓶の中味が酒ではなく,毒だとすると,まったく解が定まらない!

さあて,ハーマイオニーは間違っていたのか?どうも,そのようである.あるいは小人と巨人の瓶の中味は同じでない!というようなヒントがもう一つあり,しかも左から3番目の瓶が一番小さい瓶だとすると,ハーマイオニーの解いたとおりなのだが...
それとも私の論理が正しくないのだろうか?どなたか教えて欲しい.

(注)この後の調査で結論が出ています.ハーマイオニーに誤りなし!を参照.