ハリー・ポッターの誕生日その後


第3作「アズカバンの囚人」を読んで,ハリー・ポッターの誕生日に関する疑問は一応解決した.(と自分では思っている)

まず,第1作「賢者の石」の情報,これはハリー・ポッターの誕生日をめぐる謎に書いたとおりで,復習すると

さて,第3作である.ここには次のような情報が書かれている.

ということで,この年の十月十六日は金曜日であることが分かる.1980年から2003年までの間で,10月16日が金曜日の年は,1998年,1992年,1987年,1981年の4回である.第1作と第3作との間隔はもちろん2年間なので,第1作は1990年,第3作は1992年であると断定できる!

さて,ところで問題は第2作である.ここで「ほとんど首無しニック」の500回目の絶命日という出来事がある.「ほとんど首無しニック」の絶命日は1492年10月31日なので,その500年後とすると,第2作は1992年の出来事となってしまう.これは上記と矛盾する!しかし,これはよく考えればそれほど問題ではない.第1回目の絶命日を1492年(つまりニックの死んだその日)と考えると,500回目は1991年となって,矛盾はしない.整理すると各物語の起こった年は以下のようになる.

第1作「賢者の石」 1990年7月から1991年6月まで

第2作「秘密の部屋」 1991年7月から1992年6月まで

第3作「アズカバンの囚人」 1992年7月から1993年6月まで

ハリー・ポッターは第1作の時11歳であるから,その誕生日は1979年7月31日である.(ちなみに,書店で見かけるハリー・ポッター研究書?のたぐいは,1980年7月31日としているものが多い.これは前述の首無しニックの絶命日を取り違えたためである)

さて,まだ問題はある.ヴォルデモートがハリー一家を襲い,ジェームズとリリーを殺したのはいつかという問題である.第1作には,ハグリッドの言葉で,p86「十年前のハロウィーンに...」とある.ハロウィーンは言うまでもなく10月31日の夜.この時ハリーは1歳になったばっかりというから,1980年のことである.さらに,この悲劇の翌日は火曜日だったと書かれている.(p7)
悲劇の夜が10月31日とすると,翌日は11月1日火曜日となる.ところが,1980年11月1日は土曜日なのだ.これは困った.

だが,第1作をさらによく読むと,この問題の火曜日のテレビのニュースで,「たぶん早々と『ガイ・フォークスの焚き火祭り』でもやったんじゃないでしょうか.皆さん祭りの花火は来週ですよ!」とアナウンサーが言っている.このガイ・フォークスの日はイギリスの記念日の一つで,11月5日である.もしこの悲劇の翌日が11月1日火曜日だとすると,11月5日のガイ・フォークスの日は今週ということになり,来週にはならない!そこで1980年のカレンダーをあらためて調べると,11月5日は水曜日,その前の週の火曜日は10月28日である.これからして,ヴォルデモートが襲ってきた日は1980年10月27日月曜日の夜であると推定できる.

では一体ハグリッドの言葉はどう考えればいいのか?ここは原文でも on Hallowe'en ten years ago である.これをハロウィーン(10月31日)の日と正確に言ったのではなく,ハロウィーンのある週とあいまいに指したと考えられないだろうか?もしそう取れれば,ここは矛盾しないことになる.もう少し検討を要するが,一応以上で矛盾なく説明できたと考える.