ハリー・ポッターの誕生日をめぐる謎


ハリー・ポッターの誕生日がいつかという点に疑問の余地はない.7月31日である.これは第一作「賢者の石」のp209に「七月三十一日に起きたグリンゴッツ侵入事件...」とあり,そのすぐあとのページ(p210)に「グリンゴッツ侵入があったのは僕の誕生日だ!」とハリー自身が言っているので明らかである.

またp67に「明日は火曜日,そしてハリーの11歳の誕生日だ.」とあり,この年の7月31日は火曜日であることが分かる.ちなみに1980年から2001年までの間で,7月31日が火曜日の年は,2001年,1990年,1984年の3回だけである.

またハリーが1歳の時,ヴァルデモートが襲ってきて両親が死亡するのだが,これはハロウィーンの夜(10月31日)のことと思われる.(p86に「10年前のハロウィーンに...おまえさんは一歳になったばかりだったよ」とハグリッドが述懐するところがある)ところで,この悲劇の夜の翌日は火曜日だった.つまり11月1日は火曜日であった.(p7に「ある火曜日の朝のことだ」とある.さらにp21に「昨夜,ヴァルデモートが...」とあって,この火曜日がハロウィーンの翌日なのは確実)

以上の事実からして,ハリーの11歳の誕生日の年から10年前の年の11月1日は火曜日でなければならない.逆にそういう年があれば,「賢者の石」事件の起こった年を確定できることになる.

1970年から2001年までの間で,11月1日が火曜日の年は,1994年,1988年,1983年,1977年の4回だけである.残念なことにどう比較しても先ほどの7月31日が火曜日になる年と10年違いの年はない.

結論

今のところハリー・ポッターの生まれ年を確定できる証拠はない.「火曜日」をめぐる矛盾は上に述べたとおりで,7月31日火曜日と11月1日火曜日はどちらかが間違っている(あるいは両方間違っている)と思われる.個人的には,「賢者の石」の起きた年は1995年前後という気がする.そうなると,曜日はどちらも間違っているということになるわけだ.(その後の検討で一応の結論を出しました.ハリー・ポッターの誕生日その後を参照)

(参考)「賢者の石」の日本語版解説によると,ローリング女史にハリーのイメージが湧いたのは,25歳の時(1990年)で,それから執筆を始めるまで5年ほど文献を調べ,カードで整理したという.第一作のイギリス出版は1997年である.