ATARI イメージCM
GAMES PEOPLE TODAY
(1982)

制作:Co. Goms Loew

家族がブラウン管(画面のこちら側)に向かってゲームにはまっている様子。最後には犬までがプレイする始末。「アタリ相談所様さま、息子や娘があたりにくるってしまって・・・」というママの神経病のようなナレーションが印象的です。
なんといっても、犬のジョイスティックさばきが白眉。本当にゲームをプレイしているような映像はどうやって撮ったのでしょう?受賞もなっとくの名作CF。



ATARIイメージCM(82-83頃)
制作:Robert Abel and Associates

ロバート社のCG作品ライブラリのひとつとしてとして、日本支社の代表・河原氏がCMムック本に紹介していたものから引用。スターレイダーズ、アステロイドなどが3Dポリゴンで立体的でダイナミックな動きを見せる。めちゃくちゃカッコイイ!

 なお、誌面には「ヤーの復讐(日本発売版のタイトル)」として紹介されているが、これが編集されて日本のテレビで放送されたかは不明。



アタリ2800
チャンネルがストップした日
(1983)

制作:第一企画+テレコム・ジャパン
SFX:白組

アメリカ合衆国にならぶ100のモニタ、そこからぐんぐんせまる100のテレビ画面。どれも違うゲームで、実に合成処理だけで100回。さらに動く画面がランダムに飛び出すため、複雑にからみあう移動マスクの作成、1コマずつの位置修正・・・と、ネガ&ポジのサインだけで計7日、オプチカル処理が一ヵ月後という、隠れた超大作。



 時世のCMを知る資料として、(株)玄光社のコマーシャル・フォトという雑誌があります。主に業界関係者に向けた広告/CMを紹介している月刊誌ですが、この本には1983年までテレビゲームのテの字も出てきません。別に業界ウケがよくなくても、例えばおもしろいミニチュアが登場するとか、風刺が利いているとか、何かしらピリっとしたものがあれば紹介されるような本なのですが、これがもう全くひっかかりなし状態。どうも、当時のテレビゲームCMは、誌面的には取り上げるに値しなかったようです。

 そんな雑誌がはじめて取り上げたテレビゲームのCMの記事って何だと思います?
 それはアメリカのビデオゲームの大手・アタリ社が、自社製品アタリ2600のイメージCMで、名誉あるアド・ウィーク誌の10 Best Adeに選出された一篇でした!(左上)。レビューアの「意外だった。」という一言は、当時のゲームCMの弱さというものを表しているように思うのですが、なにはともあれ、ゲームCMにも、こういった話題作が登場する時代になってきたわけですね。

  それにしても、さすがは当時世界最強をほこったゲームメーカー・アタリ!全盛期につくられた数々のTV-CFの数々は、エンターテインメント性にあふれた楽しいものが多く、王道をいく会社の余裕すら感じられます。
 
 
特筆すべきは、左(2番目)の、1982〜83年頃に制作されたCG-CMで、この当時、規模や予算面でも導入のムズかしかったレンダリング3D-CG技術を用いたアタリ社のイメージCMを制作しています。中央の少年が身振り手振りでゲームを操作、それにあわせて、ポリゴンで表現されたアタリのゲームキャラが縦横無尽に動くという、楽しくて、かつ未来感覚あふれるすばらしいもので、誰でも、アタリのゲームって楽しそうだな、と思わせるすぐれたものです。
  しかるに、当時これだけのCG-CMをつくるのに(なんと尺が2分!)、いったいどれだけの時間とお金がかかったことでしょう!?これ1本で数億円はくだらないはず・・・。しかも、制作は、スタートレックのCGも手がけた、当時世界一のCG集団、ロバートエイブル社というんですから、
これぞアタリだ!大企業だ!と、力のさまを見せつける意味もあったのかもしれません。


の巨人アタリは、1983年、アタリ2800というゲームマシンをひっさげて日本に上陸しました。これにあわせて、国内でもアタリゲームのCMが制作されたのですが、そのCMの制作規模は、上にあげたような勢いそのままの恐るべきものでした。
 100以上のゲーム画面が飛び出してくるこのCM(左下)。一見するとわかりにくいのですが、実は当時の技術で、この映像をつくるとはそら恐ろしい時間と執念が必要だったそうです。
 合成を担当した白組ディレクター・島村達雄氏は「25年の自分の仕事の中で、最悪(最大という意味)のオプチカル合成量で、作業量、日数(合成だけで一ヵ月半!!)など記録づくめ。ほとんどビョーキと言うほかなかった。」と悲鳴をあげたエピソードを、コマーシャル・フォト誌で語られています。

タリ社のこれら羽振りのよすぎるCM展開には、X-BOXのTV-CFで、ナインティナインや浅野忠信など高額タレントを大量にブッキングしたマイクロソフトの戦略に近いものがあるような気がします。グレードの高いCFを放送することで、ゲーム機のブランドイメージの向上をもはかろうとしたのではないでしょうか。当時の雑誌におけるアタリの2800発表会の様子には「アタリの日本上陸は黒船来航を思わせるのがある」と書かれたりしています。まあ、少なくとも、日米CM関係者には、アタリ社はゲームCMに風雲急を告げる存在だったことはまちがいありません。




MEMO: しかし、アタリのテレビゲーム2800は、結局失敗したという話は有名。元もとれなかっただろうに。

ま、それはそれだぜ。さすがはアメリカはスケールが違うよなあ!!


アタリ2800の画像:コマーシャルフォト「CG&SFX」/1983年6月号/玄光社+同/「ロゴタイプアニメーションスペシャル」/1983年5月号/同より
・ATARI社イメージCM(82-83頃):
特撮CMとコンピュータ・グラフィックス/玄光社/1983年 ATARIイメージCM:金子秀之/コマーシャルフォト「アド・ウィーク誌が選んだベストCM10本・その1」/1982年5月号/玄光社
※アニメーションは、雑誌記事を構成したものです。また、実際の動きとは異なります。