1979年から81年というのは、家庭用テレビゲームが低成長の頃でした。78年までのブームが終わり、ほとんどの人が家庭用ゲームからそっぽを向いていた時代で、CMどころか、はっきりいって存続すらも危うい状況でした。

そんな暗闇の中、快調にリリースを続けていたのはエポック社でした。78年から81年にかけ、テレビ野球ゲームテレビブロックシステム10m-IIカセットTVゲームテレビベーダーカセットビジョンとたて続けに発売し、すべて(カセットTVゲーム除く)にCMも制作されています。
78年ブレーン4月号に、当時の広報宣伝部長による広告戦略が掲載されており、TV-CMについての方針にもふれられています。ご紹介いたしましょう。
  1. おもちゃは小学校2〜3年が中心だが、TVゲームは高学年、ファミリー層への浸透がある。また、両性のゲームとしても受け入れられている。
  2. それをふまえて市場の規模としては、単純に小学3年から高校3年生までの10学齢で約2,000万人(うち半分は女子)、初年度はその4%と見て80万台規模の市場を想定。
  3. 以上から、広告は雑誌媒体で、少年誌、少女誌(少女フレンドetc)を中心に展開し、電波媒体では全国ネット番組「新巨人の星」「ドカベン」を併用し、かなりの知名度を得ることができた。

 エポック社が持つ番組広告枠の都合もあったのでしょうが、これによると、TV−CMでのターゲットは、やはり少年層を意識したものだったようですね。ただ、広告戦略全体でみると、半分は女子、と、少女層が強調されていたことは見逃せません。
そこで右のCM。子供を中心としたファミリーでのプレイはわかるのですが、女性陣の存在が際立つ演出。これ、多分に女の子向けにも発進される意味合いが強いのでしょうね。そういえば、カセットビジョンのイメージキャラに起用されたタレントは、男女へだてなく人気のあったアイドル(?)、イモ欽トリオでしたっけ。また、後継機には、女の子専用版スーパーカセットビジョン・レディースセットまで発売されています。

後にファミコンでも女の子をターゲットにしたソフトなどが出ましたが、この期に、本格的に女性層も取り込もうとしていたメーカーというのは、世界中を見回してもおそらくエポック社ただひとつだけでしょう。


MEMO:えと、「記憶によると、テレビベーダーのCMはドラえもん(関西30分版)に、カセットビジョンのCMはゲームセンターあらしでオンエアされていたかも」という・・・。なんですか、この記憶というのは?

寺町電人の人力コンピュータ。ま、ともかく、映像資料が圧倒的に足りないわけー。もちっとなんとかならないかしら?



テレビベーダー(1980)

テレビベーダーのゲーム紹介がメインで、時々図のように、家族がお茶の間で楽しそうにテレビベーダーをプレイする図がインサートされたものでした。

実機のゲームサウンドに、大きな特徴である、ミスすると画面が真っ赤になり笑うインベーダーのシーンや、面クリア後のジグザグUFOのシーンがしっかりと紹介されていました。

ナレーションで唯一記憶にあるのはエンド直前に叫ばれる「エポックのテレビベーダー!」。他は未確認。


カセットビジョン(1981)

当時の雑誌広告に用いられたイメージフォト。オデッセィの記憶が確かなら、確かこのメンバー&この演出でTV−CMも放送されました。女の子が主役になっているのに注目です。なお、中央下がカセットビジョン。

テレビベーダーの画像:エポック社広告/少年サンデー1980年12月21日号/小学館
カセットビジョンの画像:エポック社広告/少年サンデー1982年8月25日号/小学館

※アニメーションは、雑誌広告を構成したものです。また、実際の動きとは異なります。