オーディオは楽し〜青春編


-その1-

初めにお断り。

私、そんなに人に威張れるような装置は持っていません。
しかし楽しいのです。
オーディオの話をすると結構書けそうな気がします。

そんな事柄に興味をもったのは中学生時代です(昭和40年代後半)。
当時はコンポーネントステレオが家具調の「ドーン!!」と置かれたステレオ装置に代わろうとしていました。
あっこれはもちろん私たち庶民の間の話。
ホントーに好きな大人の人は昔っから「アンプはこれ」「スピーカーはこれ」だったのですが...。
そして私、せまい借家に住んでいたので「ドーン」は無理でした。
コンポーネントと言えばきこえが良いですが、お安めな機械の集合体でした。
今のようなシスコンなど影も形もありません。

中学の友人に大きな家に住んでいで「ドーン」を持っている(もちろん本人のではなく家族のですが)にっくき奴がおりました。
しかも当時の最先端オーディオである4チャンネルステレオ(CD-4)です。
それでポール・モーリアとかレイモン・ルフェーブルとかを私の家では考えられない音量で聴かせてくれました。

「...苦情来ないの?」

一応心配してあげましたが本人はのんきなもんでした。
周囲をグルリとスピーカーに囲まれて幸せ一杯、こんな音で毎日聴きたいなと思ったのがオーディオへの第一歩だったと思います。

オーディオ専門店など近所にあるはずもなく、百貨店の電気製品売り場からカタログを一杯もらってきて、それらを順番に眺める毎日。
「このスピーカーとこのレシーバー(ってわかります?)をつなげたらかっこいいなぁ」。
そう、合い言葉は「かっこいい」。
私のオーディオのポイントは見た目でした。
だって聴けないんだもん。
カタログでしか見られない製品ばかりで音なんか想像できません。

私にとって当時一番かっこよかったのは「ドーン」の方でした。
4chステレオだと家具のような大きな物体が5つ並んでカタログに載っています。
おお、すげぇ。
中心となる所には上に豪華な「フタ」が付いています。
おごそかです。
宝石箱をあけるような気持ちでそのフタを上げると何と大きなターンテーブルが顔を出します。

大きなターンテーブル

これも憧れの的です。
絶対ゆずれないアイテムです。
当時の私のプレーヤーは30cmLP乗せると端っこの5cm位はターンテーブルからはみ出してしまいます。
友人のにっくき奴のステレオやカタログのものはLPを乗せてもさらに余白があるほどのターンテーブルなのです。
「よし、大人になったにちゃんとLPが乗っかるヤツを買うのだ。」中学生にはちゃんとLPが乗るというのはチョー贅沢でした。

幸い高校時代にお年玉+お願い+お願い+ひねくれにより、パイオニア社の「ちゃんとLPが乗るレコードプレーヤー」を買ってもらいます。
しかも、ターンテーブルの縁にボツボツが付いていてそれを見ながら回転数を微妙に調節できるダイレクトドライブという最新型でした。
それが目の前でグルグル回転し始めた時、私のオーディオ熱はエネルギーを増すのでした。

(2004.02.25記)

arioso

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