富山便りvol-16


もう自分でも何を書いていたのか、いつ書いたのかすら思い出せなくなってきたくらい

富山便りも滞っていた。

シリアのお話に力を入れてたので、富山便りの方は本当に長いこと書いてない気がする。

まぁ、私も富山の生活になれてきたので、このページを立ち上げた時のような新鮮な気持ちが

日々失われていっているのも事実である。

富山に来た当時は「大阪に帰りたい」と言わない日がないのではないかというくらい

大阪を恋しがって毎日泣きそうになっていたが、今では外国語のように聞こえた富山弁を

ちゃんとリスニングでき、しかも話せるくらいになってきた。

とは言ってもまだまだ発音などは正確にできないし、知らない単語も多々ある。

大阪になく、なんで?と理解できない習慣もあるし変なとこだと思うこともある。

某友人は大阪の方が特殊だというのだが、大阪で生まれ育った私には、

大阪の感覚が普通で、また「大阪が好き」でもある。

富山県のほうが空気も水もきれいだし住やすそうだが、治安が悪くても、ドブ川の臭いがしようとも

私はやっぱり、大阪が好きである。

しかし、住めば都と昔から言われているように、だんだん富山になじんできて、正直に

いいところだと言えるようになってきている。

富山の気候や習慣は相変わらず好きになれないし、怒り狂う事も多々あるが、

ホームページを立ち上げた頃に比べると雲泥の差だと思う。

その頃はほとんど知り合いもいなくて、ムカつく事だらけだったが、

友達も出来たので、あからさまに嫌なところだとは思わなくなってきた。

こんな私でも一緒に遊んでくれるので感謝している。

みんなとてもいい人ばかりで、私は友達が好きだ。

彼女達を尊敬もしている。

とにかく富山の女は辛抱強い。へなちょこちゃんもたまにいるが、

相対的に辛抱強いのである。

私ならキレて暴走してしまいそうだが、我慢している。

友達と喋っているとき「エライなぁ」を連発してしまう。

それに引き換え、これはごく一部の人を対照にした個人的意見で、

すべてがそうだというのではないが、

富山県以外の土地に住んだことがなく、しかも田舎と呼ばれる地域に生まれ育った男は

オレ様的態度の人が圧倒的に多くはっきり言ってムカツク

「女をなんやと思てるんや、明治維新きてないんちゃう?」が口癖になるくらいである。

マイホームを持とうとすると、元々バリバリ仕事する女は別にして、

ローン返済のために共稼ぎになるのは仕方ないことだろう。

それ自体は悪いとは思わないが、基本的に男は働いて家族を養い、女が家を守るというのが

私の中にはある。

家事も手を抜かなければ、かなりの労働力を必要とするのだ。

それを大阪の男はわかっているのか、共稼ぎだと、家事も分担する男が多い。

たくさんしなくても、風呂洗いとか、食器の片付けとか、ゴミ出しとかやってるのである。

奥さんが働くなら、男も家事を分担するのはあたりまえだと思っていたが

ここではそうではないらしい。

「家を建てるのは女の甲斐性」といわれた時には

「私は富山の女にはなれない」と断言してしまったくらいである。

富山の女は家事も育児もこなし、なおかつお金も稼いでくるのである。

だんなの働いたお金は家のお金、私が働いたお金は私が自由に使えるお金

そんな感覚の私が富山の女になれるわけがないのである。

友達と結婚式の話をしていた時のことだ。

血管がぶちきれそうな話を聞いた。

富山では長男と結婚すると、たいてい同居ということになる。

お嫁入りした日に砂糖抜きのおはぎを食べるのだと言っていた。

これはある地域での話で、富山県全体の事ではないことをお断りしておきます。

その理由は「あなたを甘やかしません」ということらしい。

「な〜に〜、どういうことぉ〜」と私が叫んだのはいうまでもない。

私にしてみればまさにアンビリーバボーな世界である。

親が娘を嫁に出す時に「これからは甘えてはいけないのですよ」と

砂糖抜きのおはぎを食べさせるのなら、まだわかる。

なぜに嫁ぎ先から「甘やかさへんで、覚悟し〜や〜」みたいなものを

いきなり食べさせられなければならないのだ。

新婚=スイートな生活のはじまり

ではないのだろうか。

それでなくても結婚したらいやなことはたくさんでてくるというのに

私なら「けんか売ってんの?」と言ってしまいそうである。

大阪でも同居している人はたくさんいるだろうし、嫁姑のバトルも連日繰り広げられているだろう。

しかし、大阪で同居と聞くとよっぽど格式の高い家か、商売をしてるか、

親が片親とか高齢とかで面倒を見なければならないとかなんらかの理由があると思っている。

結婚したら訳もなく親とは一緒に住まないのだ。

大阪で結婚するといえば、親元を離れて自分たちで生活することを意味する。

自分たちが長となって家庭を築いていくというのが結婚のイメージだ。

私にとって結婚とは親からの独立であった。

しかし富山は大阪に比べると人口も少ないし、人の移動もあまりない。

持ち家率全国一というだけあって、先祖代代そこに住んでいるので、

お家制度が残っているのだろう。

長男イコール家を継ぐというのが富山の常識のようだ。

長男以外は核家族で生活していく。

大阪でもたいてい長男が親の面倒を見るようだが、決まっていない。

長男が仕事の関係で転勤族であれば、次男や三男が面倒を見ていることもある。

私はやっぱり同居するなら二世帯住宅で、親とはスープの冷めない距離に住むのが

いちばんうまくいくと思っている。

ベストなのは嫁さんの親との二世帯住宅同居か近くに住むという形ではないだろうか。

実の親子なので、嫁姑問題がないからである。

 

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