シリアの治安-2
シリアに犯罪が少ないことは書き、治安が良い事は書いた。
が、治安が良いイコール安全というわけではない。
治安が良い事と安全というのとは比例しているようで実はそうではない。
心にやましい事がある人間にとってシリアは超がつくくらい危ない所なのである。
目には目を、歯には歯を。
これは結構有名な格言であるが、シリアはまさにこの通りである。
ある日、近くの市場で買い物をしていたら、
向こうの方から男が叫びながら必死の形相で走ってくるのである。
おわおわ、なんだなんだ、とビックリしてたら
シリア人は皆、その男をよけている。
私の隣にいたおばちゃんが、私の手を引いて近くの店の中に引っ張り込んだ。
おばちゃんに引っ張られるまま何が起こったのかわからずにいると
なんと必死の形相で走ってくる男をこれまた
必死の形相で男が追いかけているのである。
しかも手に半月刀を振りかざしながらである。
まるでテレビが映画のワンシーンのようで目が点になってしまった。
何が起こっているのかわからなくておばちゃんに聞くと
おばちゃんは苦笑いしながら言いにくそうにしている。
店のおやじをみるとニタニタとすけべそうな顔である。
ついでに私のことをつま先から頭のてっぺんまでなめるように見ている。
あぁーーーーーーっ、また視姦されたーーーーー
と怒りながらも、間男か!とひらめいた。
若い娘がいる家に若い男が遊びに行くと、親父さんが銃の手入れをしているとか、
正式につきあっているのに親の納得なしに女を捨てると女の親から殺されるとか
話しには聞いていたが、まさかと思っていただけにビックリである。
どんな理由であれ、正当防衛と認められなければ
日本では傷害罪になるが、こういったケースの場合
殺されても文句言えないのである。
世話好きなシリア人もこういう時は助けないようだ。