青木タカオ「ちょくら・おん・まい・でいず」

過去ログ・ギター編 [今月にもどる]

「はじまり」8/1

 それはよくある話だけど、5つ違いの兄きが通販で白いギター(クラシック)を買った。

 そのギターは半年で糸巻きが使えなくなってしまった。弦を張るのに、いつのまにか、とろーんと緩くなってしまった。兄きは白いギターをほっておいてしまった。

 そして僕はそのギターのヘッドにマジックインキでGibsonと書いたのだ。つづく。8/1・暑かったね。今日から仕事はじめ。外仕事。(バイトだけど)はじめの2時間でばててしまいました。ふらふらで歩く私・見た?

「ごらんあれがギブソンだよ」8/2

 その兄きのこわれた白いギターにマジックインキで書き込みをしたのはヘッドのGIBSONの文字だけではない。自分で考えたピックガードも書いたのだ。(ありえないような)そして部屋の奧にかざり、ちょっとだけギターの好きな友達を呼んだのだ

 「ほら、みてごらんあれ、兄きの高いギターなんだよ。ヘッドの文字、見える? 近寄っちゃだめ。こっから見るの。ほらギブソンって書いてあるだろう」「ホントだ」部屋の奧に置いてある白いギター。

 友達は完全に信じてしまいました。(実話)つづく8/2今日も暑かったね。ふと、その家をのぞくと、おじさんがふたり、ルーペで二千円札をのぞいていました。おかしかったです。そこでイメージ。「いつか地下でもお札を出したいねー。そのお札にはね、もちろん、ホームページのアドレスを入れるの。」さぁ

「ちくしょう'74」8/3

 中学生の頃、学校の帰り、毎日、楽器屋に寄ってギターばかり見ていた。新しいギターなんて、毎日入荷するわけもないのにね。そしてショーウインドーの中にはマーチンのギターがあった。32万円。それは僕にとっては憧れのまた憧れだった。

 しかし、話は戻るが、ギターなんて眺めていても、全然意味がないんだよね。音が聞こえてくるわけでもないし、かといって試し弾きは勇気がなくてできなかった、(試し弾きは 買うことが前提)

 そんなある日、ふと楽器屋を覗くと、なんとその時の生徒会長だつた男が(もちろん同級生。背の高いニヒルなやつ)どうどうとマーチンを弾いている ではないか。「よう青木」とかいいやガル。(ちくしょーう)その後学校ですれ違うと「俺はマーチンを弾いた男」を主張してくる。学年中であいつはマーチン を弾いたって噂になっていた。(ホントカイ)くやしい。

 その頃、ギターのことなら青木にきけって有名だったのに。えーん、あいつがマーチンを弾いたばかりに俺は。....今でも思う、やっぱりあいつが間違っている。なんてね。8/3今日、蝉を見つけました。そーと近付いて、さて捕まえよう.......とすると、そのまま蝉はビァーと飛ばず、僕に捕まえられてしまいました。(ビービービー) 蝉も夏バテしてるようてです。

「ギター選びの鉄則」8/4

 お茶の水の楽器屋さんはどこもギターでいっぱいだ。そしてどんなギターでも、なんなりと弾かせてくれる。ギター好きの僕もしょっちゅう弾かせてもらっている。

 店員さんは言う。「どうです?いい音でしょぅ。」なるほどいい音なんだけどね。さっと選んだギターがいい音だったら、もっといろいろと選べるはずでしょう。そしてここにはこんなにギターがいっぱい。あれ全部音が反響してリバーブがかかったように聞こえるんだよ。

 ここで鉄則1、ぱっと弾いてみて、死ぬ程いい音でなかったら絶対後悔する。(どーしてこんなにいい音なんだー)そう思わなかったら買ってはいけない。

 鉄則2、音の合わないギターは絶対買わない。これ簡単。カポタストを家から持っていって、7フレットに付けて弾いてみること。6弦と2弦のバラン スがおかしかったらパス。なにがあってもパス。店員さんがどう言ってもパス。特にオールドは限界まで調整してから出してるから、それで合わなかったらもう ブリッジがせりあがっているんだよね。

 このふたつ。ホントよ。8/4今日もばてばて。帰りの電車で深ーい眠りに落ちました。おっと危ない。となりはレでィおばさんだったのだ。すこし寄り掛かっている。うわーすげぇはずかCー。ふと見るとそのレでィおばさんも深い眠りに落ちてました。ラッキーでした。

「実家 ギターの想い」8/5

 一年にいっぺんほど、私も新潟の実家に帰る。

 帰って一時間もしない内に、どうしてもギターが弾きたくなってしまう。そりゃそうだろう、なかなか会えない恋人のようなものだもの。ずっとずっと田舎でギターは私を待っているのだ。

 弦を張り弾いてみる。するとどうだろう、何も考えなくても、新曲が出来ているではないか。それもいつも完成された形で。

 そんな時いつも想うんだよね。ギターが一生懸命、作ってくれたんだって。嬉しいじゃないか。でもどれも田舎をうたった歌だけど。8/6 今すごいカミナリが鳴っています。これからどしゃぶり? 飼っているミドリガメも静かにしています。なんだか、草のため息が聞こえてくるよう。僕の勘ではあと8分でザーザー。

「干すのは洗濯ものだけじゃなーい」8/6

 ギターの表面の板が日に焼けているほど乾いたいい音がするって言うけど、もちろん僕も堅く信じていた。

 飽くなきギターへのこだわりから、はじめの頃は天気の好い日はギターをよく陽に当てた。屋根に登ってよく干した。夏なんて暑いんだなーこれが。

 陽に干した後、ギターの音色がよくなったと独り感動してました。青春の日々。8/6今日は部屋の片付け。あと2時間後には信じられない程かたづいているんです。

「ヘッドの話」8/7

 ヘッドってギターの一番のてっぺんのところ。有名なのはマーチン、ギブソン、フェンダーとかかなぁ。国産のやつはそっくりなロゴマークとかあって、笑っちゃうのも多い。遠めで見たら絶対にわからない。不思議な気持ち。

 ところで、中古で買った僕のほんもののギブソンはなぜか、自分で作ったギブソンの文字が真珠のロゴで入れてあって、なぜか、本物なのに、偽物みたいでした。これも困ったものだね。8/7今日はこれから荻窪グッドマンにアリさんや山下君をみてきます。最後のセッションが目に浮かぶようです。

「どうしても拾ってしまう」8/8

 質屋さんにギターがあれば必ず見てしまう。自分がいま本番で使っているギターも質屋さんで見つけたものだ。

 そして街角にギターが捨てられていればなんだか拾ってしまう。どんどんギターが増えてしまう。かと言って捨てられない。実は昨日の帰り道、ギターをまた拾ってしまった。

 よく猫を拾ってきちゃう人がいるけど、その気持ち、良くわかるなぁ。S47年ってかいてあるから、72年製の国産。「エリート」ってやつ。今、弦を張っているところ。どうやら大丈夫なようです。

 なんと言われても、そのあとの最初のひと弾きが嬉しいんだよね。8/8今日はお休み。昨日のライブで新曲のアイデアがいくつか生まれたので。ポロンポロンやってみます。そうそうこのページのタイトルははじめ「ポロンポロン日記」になる予定でした。

「通販エレキショック」8/9

 高校3年のとき、お金をためて、通信販売にて、すごーく安くてカッコイイエレキを注文して買った。毎日毎日、届くのを待ってました。

 さて届いたのは、ボブ・ディランと同じサンバーストのストラトキャスター。あの届いた日の感動は忘れないよ。開封。出てくるストラト。エレキだし ね。カッコヨクきめて弾かないと。アンプだってあるぜ。カガミに写る男。・・最高だ。トレモロとかやっちゃう。歌だって歌うぜ。ぎゅーん。ポコ。エレキが 畳に落ちた。

 なんでぇ。よく見たら、エンドピンがすっこり抜けてました。またさそうとしても、まるで。木が。おがくずのように。こなこなで。もう二度と、エンドピンは付きませんでした。かって三日目。悲しすぎました。8/9今日、黒い犬がホースで水をじゃんじゃん浴びていました。嬉しそうな黒犬。じっとしてて、偉い。

「ギター買いの鉄則・質屋編」8/10

 質屋さんでギターを見つける。とんでもない掘り出しものがある。さて、みなさんならどんなふうに、それを手に入れるだろう?

 答えは簡単。 すぐ銀行に行って、お金をおろして、なにげなく質屋に入り、なにげなくすぐ買ってしまうのだ。試し弾きをして「これはすごいですね。明日すぐ買いに来ます」なーんて言ったら、その次の日にはない。たぶんない。

 ある時10万円のギターがなぜか1万と値札に書かれていた。私は「ホントに1万ですか? 明日すぐ買いに来ます」そう言って次の日行ったら、「あのギター、あれからすぐ売れちゃったよ」そんなばかな! とその時は思った。でも相手もプロ。ヤッパリ私が悪い。

 それとは別に、掘り出し物のものは、ショーウインドーの一番いいところに何気なく置かれてしまうのだ。中に入って声をかけると「あれ、今日出した ばかりだよ」とよく言われる。僕みたいな人がもう一人いれば、売れてしまうだろう。掘り出し物と知らないで、安い値段を付けてしまう時もあるだろう。

 だから即金のないときは、そーと買う気も無さそうに試し弾きをしてみるのだ。気付かれてはいけない。相手はプロだ。という訳で、質屋さんで良いギターを見つけたら、何気なくすぐ買ってしまうこと。これ鉄則。8/10 昨日、熱帯魚屋さんのネオンサインに「河童・熱帯魚・海草」って流れ文字をみたけど、河童ってなに? 何かペットショップでおきてる? 明日また確かめてきます。確かに河童だった。

「童話みたいな人生を語る」8/11

 それはインドを旅行していた時の事。もう日本を出て、半年以上過ぎていた。南インドにて手に入れた、小さなギター。それを股の間にはさんで、夜行の長距離バスに揺られていた。

 ギターを手に入れてからはすっかりと旅も変わった。ほんとポロポロ弾いてるだけで、心が落ち着くのだ。そしてここは知らない土地の夜行バスの中。知り合いはいない。知り合いはいないが、ギターがいる。

 僕の人生の相棒はギターなんだと知る。エッ、ギターが人生の友? まるでそれは昔読んだ、童話の話のよう。でもどうやら本当らしい。ああ人生って童話だったんだなぁ。そして泣けてきたのでした。...8/11 さて昨日の「河童」の話。今日、また電光掲示板の所に行ってみました。そして流れる文字。ずっと見てると確かに「河童」と書かれている。(やっばり河童 だ。)でもその前に昨日は見落とした、「アクアショップ」と文字が出ていた。なるほど。お店の前まで行ってみると「アクアショップ・河童」書かれていまし た。なーんだ。でも「河童」は真実でした。

「ギブソン」8/12

 ギターのメーカーといえばキブソン・マーチン・フェンダーが有名だけど、まあマーチンはノーマルだとして、やっぱりギブソンのあのデザイン感覚はホントに今でも新鮮で、驚くしかない。

 ピックガードに鳩をかいてみたり、ヘッドはワイルドな感じだし、それ以上に音色が男性的でいい、本当、マーチンとは対照的だ。中学生の頃はみんな、とりあえずマーチンタイプを買っていた。それが常識だった。

 しかし今、よーく見ると、マーチンのデザインは変だ。のっぺりしすぎている。どうしてあの頃、マーチンのデザインに憧れたのかよくわからない。それにくらべてギブソンの自由さ、独創性、ほれぼれしちゃう。よほどセンスのいい人が作ったとしか思えない。

 ギターを弾きはじめた頃、ギブソンタイプの良さが分からず、とりあえず、マーチンタイプを買っていた自分が悲しい。8/12今日は土曜。洗濯日和、部屋をかたずけたあと、新曲3曲の、アイデアとメロディー出し。勝負ッス。

「フレットの減り」8/13

 ギターのフレットってちょっと信じられないほど減るんだよね。でも楽器屋さんできくと大丈夫、大丈夫って言う。しくみはよくわからないけど本当に大丈夫らしい。

 弾き始めの頃。よーくフレットチェックをした。「うーん減ってる減ってる」嬉しいことでもないのにね。友達にもわざと見せて、「すげぇー」とか言われてみたり。...

 ギターを大事に弾く人っているけど、そんな人たちにもフレットの減りは気になる所だろうね。8/13作りかけの歌のまとめ。まだ20パーセントくらいしか出来てない。でももうできたようなもの。あと5曲くらい今月作る予定。(ほとんどボツになっちゃうけど)次のライブはALL新曲でやりたい。(いつも無理だけど)

「それはないだろう、お茶の水君」8/14

 お茶の水にはホント多くの楽器屋さんがある。東京に出てきてはじめて行ったお茶の水は信じられない位、本物のギブソンやマーチンがあって感激したものだった。

 じっと輸入ものを眺めていると、そっと近付いてくる店員さん。たいがいは金髪のロッカー風だったりもしたけど、知識の豊富な店員さんも多かった。 売る楽器の数も多いのだから自然といろいろ分ってくるのだろう。私が見てるヤツはシブーいギターが多いので店員さんのほうもそれなりの感じで受け答えして くれる。

 それでいい、それでこそお茶の水の店員さんだよ。ある時いつものようにふらっと楽器を眺めていると、一人のまだ若そーな店員さんが来て、あれこれ説明しだした。「はぁー。」そして次の言葉がこうだ、

 「お客さん、見たところギターはじめてですね〜。フォーク? これなんかいいすよ!」どこがどのように、そう映ったのか。やっばりお茶の水の楽器店員さんはプロフェショナルがいいなぁ。8/14 寝違えたのか、おとといから首がうまく回らない。何が困るって、自転車に乗ってて、後ろを見ようとする時。あぶっないんだよね。

「D-45と布施明」8/15

 あれは'76年頃だろうか、布施明の「シクラメンのかおり」が大ヒットしたのは。その時、TVでいつも、彼はあの、例の、くやしいけど、本物の、マーチンDー45を持ってステージに現われていた。

 マーチンDー45といえば、あの頃で70万。きらきらの貝細工がついて、音はジャバーンと豪華アンド繊細。ギター弾きにとってはその頃、夢の夢の ギターだった。その夢のギターを持っていつもTVに登場していた彼。もーう、いつもいつも、僕はTVのボリュームを上げて、聞き惚れていたのだった。

 なぜ。なぜ、布施明なんだ。そういつもぶつぶつ言いながらも、歌番組チェックをしている自分がいました。それにしても毎回、毎回、ため息の出るくらい、いい音だったんだよね。2000年になっても本物はまだ弾いたことないんです。8/15突然の雨、濡れました。ホントに。雨やどりしてて、こんな時は(缶ジュースでも飲んで、時間を過ごしたいなぁー)そう思ってるのにすぐ近くの自販機までも大雨で行けない。ああ、もったいない。

「ギターをもって野原に行こう」8/16

 中・高校生の頃、キャンプ実習で出かけるとき、僕自身は忘れているのに、学年の誰かが、ギターを持ってきていた。

 キャンプ場を歩く、ギターの音が聞こえてくる。気になる。どーしても、その前を通ってしまう。騒いでいる。何か歌っている。どーしても、気になってしまう。そいつと僕はあまり友達ではない。弾きたい。すでに禁断症状。

 夜。キャンプファイヤー。そいつが伴奏で弾く。ギターっていいなぁ。昼間、野原で楽しそうに歌っていた、お得意のナンバーだ。

 家に帰宅する。そこには、ギターがある。野原シュミレーション。つまんねぇー。8/16昨日、公園で、白い大きな犬が、何度もすべり台で遊んでいた。サーカスの熊みたい。あの滑りおりる時のおすわり姿勢のぎこちなさがいいね。ホントに楽しいのかな?

「筒井さん、ギターはみんな元気です」8/17

 前、目白に住んでいた頃、なぜかすぐ近くに、ギター修理の工房があった。

 店主は筒井さん。目白にいた10年の間に何本のギターを修理に出しただろう。拾ってきたギターでもちゃんと使えるように、直してくれた。8本位直してもらった。無理難題、言ったことも全部。そこでギターのことを語る時間の幸せなこと。

 修理に出す。三週間くらいして、僕が仕事から帰ってくる頃、電話が鳴る。「あ、筒井ですけども、お預かりしていたギター、修理完了しましたので、いつでも取りに来て下さい。」「はい、今から行きます」

 そして、扉を開くと、筒井さん「まあ、どうぞ、見て下さい。苦労しました」「もう完璧です、えーと2万5千円でしたっけ」「いやぁ、青木さん、拾ったギターだし、XXXX円でいいですよ」「そんなぁー」筒井さんは、必ず何か、ひとつ理由をつけて、おまけしてくれたのだ。

 ある日、電話がきて、ちょっと遠くに引っ越しますと言う。今、どこにいるんだろう。ホームページあるかな? どうゆうふうに修理を依頼したか、今、思うと信じられない位、わがままを言っていたのでした。8/17 昨日、久々に酔いが回って、こりゃヤバイと感じた僕は、居酒屋のサンダルをはいたまま、高円寺駅界隈をフラフラふた回りして帰ってきました。途中で消えた理由はそうゆうことです。

「なぜか、オートハープ物語」8/18

 中学2年の時、どーしても自分のギターが欲しかった。

 その頃、一番安いフォークギターでも、1万2千円はした。もちろん、僕も小遣いをためてギターを買おうと日々がんばっていた。七千円位ためた頃、もうどーにも我慢できなくなって、楽器屋のショウウインドーに飾ってあった、オートハープに目がいってしまった。

 オートハープって言うのは、弦がいっぱい張ってある片手で抱えられるくらいのハープで、コードをバーで押さえながら弾く楽器である。なぜか、僕はそのオートハープを買ってしまったのだ。

 今、思っても自分でも信じられない。いったいなぜ? あれだけギターを欲しがっていたのに。友達に言っても「エー!」とか言う。それでもね、しばらくは、なんでもそれで歌が歌えて幸せだったんだよ。事実。で もやっぱり、なーにか違う。楽器屋に行けば「あ、オートハープ買ってくれた人ですね。」と、いつのまにかオートハープミュージシャンになってる。

 あー。俺って何? すっかりお金を使い果たした僕は、それから、次のギターを買うまで、嬉しくて、ちょっとかなしい。オートハープシンガー時代に入るのだ。8/18  最近ペットボトルごと入れられる水筒持って仕事しています。水筒。水筒といえば、小学校の頃、筒型と丸くて平べッたい、形のヤツがあったよね。丸型のヤ ツはキャップを取ると吸い口がついてて、友達はチューチューうまそうに飲んでは、「あー、うめえー」とか言って、僕を苦しめた思い出があります。いつか平 たい丸型の水筒を手に入れようと思いながら、今日まで、来てしまいました。

「弦の切れる、タイミング」8/19

 これだけコンピューター文化になっても、今だに弦の切れないギターは発明されていない。謎だ。いったい楽器文化は何にこだわっているんだろう。確かに弦は切れた方がギターはうまくなるけれど。....

 弾き始めの頃はホントよく弦を切った。と言うか、思いっきり弾いてたんだよね。そのうち弦の切れかたがわかってきて、大丈夫になる。必要以上に力 むとダメなんだよね。だいたい、ライブの時は普段より、強めに弾いている。それは本人は気付かない。つい感情がそのうえに入っちゃうとプツンといっちゃ う。

 つまり一番、肝心なときに切れる可能性があるんだよね。それもちゃんと知った上で、弾かないと。あと気温の変化、急に冷えたりするとすぐ切れる。 理由はわからない。ボブ・ディランがライブエイドのとき、大聴衆の前にギター一本で出てきて、歌いはじめた時、弦が切れた。ホント珍しい。いろんな条件が 重なったのだろう。一緒にプレイしていた、キース・リチャードがすぐにピンときて、ストロークで曲を弾いて、なんとか無事に終わった。

 「フォークの神様・復活」というタイトルで深夜番組(確か11PM)に岡林信康が出てたとき、やっぱりラストの一番肝心の歌の所で、弦が切れた。 その歌は現代ギャルに向けたメッセージソングでちょっと皮肉っぽい歌だった。岡林はその歌を歌ってかっこよく終わりたかったのだろう。でも生放送。弦が切 れて、もうメロメロな演奏になってしまった。歌が歌だけに、力が入ったのだろう。見ていて、こっちが苦しかった。教訓を得た。

 テレビが終わった後、すぐに友達から電話。「見た? 弦切れちゃってンの。なんか可哀想だねぇー」つい力が入っちゃう、それはでもホント、人間的だし、フォークシンガー(?)らしいよね。8/19 今週は疲れちゃって、今日はダウン。一人でスイカでも食べてみようと思います。市場でバイトしてた頃、4年間スイカ担当だったんだよね。来月のエッセイテーマはスイカにしようかな。しかしもう夏後半?。うっそー。

「ここだけの話し」8/20

 ギター選びの旅は長かった。

 マーチン・ギブソン・他・20本近く、買ったり拾ったりした。そしてここ10年はたった一本のギターに落ち着いていた。ヤマハFG180('69 年製)。1万8000円で質屋さんで見つけたものだ。質屋さんはこのギターのことを知らなくて、「1万8000円」と僕に言った。即買い。

 ギター好きならよだれが出そうなFG180。このギターは年代でぜんぜんちがって、ある時期につくられたやつが、抜群によい音だったのだ。その短 い時期に作られたFG180で、実際、信じられないほどいい音がする。同じFG180を弾いたことがあるけど、ぜんぜんちがう。このギターについて、「そ んな話し、噂だよ」って言う人がいるかもしれないが、震えるくらい、いい音です。(ヤマハ公認)

 そんなラッキーで見つけたFG180。もうギターの旅も終わったなと、ずっと思っていたが、ここに来て、不覚にも、またマーチンに惹かれ出している。みんな信じられないかもしれないが、ギターも嫉妬したりするので、この話しがFG180に伝わるとヤバい。

 FG180は完璧なギターだ。高音も低音も個性的で良く鳴ってる。いま僕の欲しいマーチンはまるーい女性的な音。やわらかく弾く時、最高にいい音がする。FG180はそこだけが弱い。というか、マーチンが良すぎるのだ。

 今、ここに来て、ギターをポロンポロンと小さくステージで弾きたいのだ。ああ、マーチンが欲しい。でも高ーい。一本もっているが、それはステージ 用には使えない。とても35万とか今の僕には、買えない。10年目でちょっと揺れてます。(ボブ・ディランも年くってからは、ずっとマーチンだしなぁー。 また人はマーチンに戻るってこと?)8/20 今日はこれから創作タイム。夜には歌が出来てるといいなぁ。昨日。会った友達がヤクルトがとっても好きな人で12本セットで昨日買いました。「ねぇ、青木 さん、ヤクルト好き?」「うん、飲める」「じゃ、買うよ。この位、飲めるよね」よく、ヤクルトのあき容器で何か作ったなぁ。

「全部のギター出してみました」8/21

 なんだかギターの話ばかり書いていたら、昨日、部屋に置いてあるだけのギターを全部出してしまった。何本あるだろう。今、部屋はギターだらけ。インドで買った小さなヤツは見るだけで、泣きそう。弾いてみれば、心にしみる。ほんとみんなに見せてあげたいよ、このギター。

 一本だけオール単板のギターがあって、こうして押し入れから出す度に、いい音になっているんだよね。買った頃は堅くてとてもライブで使えない音 だったのに、素晴らしいことだ。こんなに好いギターなのに、音がちょっと合わなくて、ずーと押し入れの中。筒井さんに限界まで、調整してもらっていて、こ れ以上は無理だという。でも何とかしたいな。惜しい。惜しすぎる。

 一本一本弾いてみる。どのギターも部屋で弾くと最高にいい。これが、野外やライブだと、ちがって来るんだよね。まぁ、ポロポロ弾いているぶんには、どのギターも最高。これ本当。8/21 今日、外でカナブンが飛んで行くのを見ました。え? 珍しくない。それがここ東京ではね。もうカナブンさえ珍しンすよ。なんか、変だよね。カナブンが珍しいなんてさ。ぎーぎー虫にあいてぇー。

「ミュージック質屋」8/22

 東京に出てきたばかりの頃、友達の住む高円寺に初めて遊びに来た。お昼すぎに別れて、ぷらぷら路地をうろついていたら、とある路地 に一軒の質屋さんを見つけた。ショウウインドーの中はオーディオやミュージック関係のもの、そして吊されてる、フォークギター・クラシックギター・エレキ ギター。・・・

 「すげえー」僕の中の質屋のイメージは時計・貴金属類だったので、ほんと驚いてしまった。それも、好いギターが安い。もーう目がテン。(東京って違うよ、カンドーした)

 そのショウウインドーの中は畳み敷の8畳くらいの部屋。質屋さん独特の空気と並べ方。友達に逢う度に僕は言った。「ミュージック質屋って知ってる? すげんだょー」

 その質屋は今もある。(ちょっとウインドーは小さくなったが)その質屋で僕はギターを何本も買った。その質屋でミニステレオテレコをいくつも買った。その質屋はピアノを教えていた。その質屋のおじさんはとても理解がある。高円寺のミュージック質屋。 

 初めてショウウインドーをのぞいた時の感動は今もよく覚えてます。8/22 今日、パスカルズのライブ(渋谷ラママ)に行ってきました。石川浩司も出ていたのですか、なんだか、小学校の同級生に会ったような気分でした。(掲示板、効果か?)

「ギルドのギターの摩訶不思議」8/24

 ギターの三大メーカーって今なら、どこになるんだろう? 僕がギターを弾きはじめた頃は、マーチン・ギブソン・ギルドだった。その頃はなんだかギルドブームでいろんなレコードでギルドの音を聞くことができた。

 パッときくとのっぺりとした音、しかしなんとも、深い味を持っている。表現して言えば、ウクレレの音をそのまま厚くしたような感じ、低音はとても甘い音。高音はまるでおはじきのように色を持って澄んでいる。

 のっぺりと言う表現は当たってないかもしれない。マーチンのD-18とかもやっぱり、のっぺり系の音だ。そしてどうしても、あっさりしてて、軽くなってしまう。それが好きな人にはたまらないだろうけど。そして、ギルドの音はギブソンのじゃりじゃり系の音ともちがう。

 ギルドのギターを愛しているミュージシャンは多い。はるかな遠い音が聞こえてくる。特に柔らかく大きく弾くストロークの音色は、音のする団扇のようだ。

 そんなギルドの一番高いギター。これがまた、天下無敵の音、出すんだよね。言葉で言えば、「ジャリ、ドン、シャリン系」8/23 一昨日、ふる本屋でフォークダンスの本を買った。28年前で2000円の本。が300円。でもこれ専門書で、すごく細かくて歴史とかも載ってンの。そのうち一人で部屋で踊ってみようかな。

「ギター運動場はないものか?」8/25

 1970年代、あれだけ作られた、国産のギターはどこにいったんだろう? そのほとんどがまだ押し入れのなかに眠っているんだろうか? 処分するには、あまりにも思い出があって、捨てられない人も多いだろう。それに持ち主は一応みんな弾けるはずだものね。

 ギターはほんと長もちする。30年なんて平気で生きのびる。おまけにいい音になっている。ちょっと調整すれば、40年くらい大丈夫だ。1万のギターだって同じ。

 「イメージ」ソコハ、ヒローイタイクカン、イヤ、ドコカノ、ウンドゥジョウ。ソコニ、ナンゼンボントイウ、ギター、ギター、ギター。ヒトワ、ソコヲ、ギターウンドゥジョウト、ヨンダ。

 毎日、そこを訪れる人がいる。ギターを持ってくるのだ。だって、ギターは生きてるもん。粗大ゴミになんか出しちゃだめだ。ポスターが張ってある。「いらないギターは、ギター運動場へ」と。

 そこを訪ねる人がいる。値札は付いていない。何千本もあるのだ。値札はついていない。駅までの道で人々はギターを抱えた人どうしすれ違う。「こん にちは」右を見る。あっ。ギター修理屋だ。左を見る。あっ。ギタースクールだ。街灯の下には「ギター銀座」と書かれている。喫茶店がある。看板には「ガ ロ」と......

 その道はギター運動場へと続いている。8/24 今日、しおからトンボを見ました。明日、むぎわらトンボを見ないかな。トンボってどんな世界をみてるんだろう。そういうビデオがでないものか? トンボの飛び方ってなにか極めているよね。浮いてるもん。ぜひこのコーナーの感想を下さい。掲示板で待ってます。 

「Dの魂」8/26

 なんといってもコードはCでしょう。はじめて覚えた歌だって、キーはCだ。Cはまるで、幼稚園の先生のように、懐かしくて優しい。ずっと枯れない野原のよう。そこには、明るくて柔らかい日ざしと麦わら帽子がある。なんといってもコードはCでしょう。

 いやいやコードの王様はダイナミックなGですよ。Gはとても男性的な響きだ。野外でみんなで歌うときは、もちろんGだ。だってカポ もいらないし、いちばん遠くまで良く響く。Gのコードは何かを忘れさせてくれる。人のこころをシングアウトに向かわせてくれる。ほらラジオで誰がが、声高 らかに気持ちよく歌っている。カポなんてつけてられるかい。コードの王様はなんといってもGだよ。

 歌う私はとっても コードG的な人。だからこそ、ああ、Dのコードに惹かれてしまうんです。Cのコードも相棒として最高だけど、 ちょっとはなれたDにいつまでも、こころ奪われてしまう。Dのコードはちょっとちいさな部屋。心臓のハートの心音に一番近い所で、小さく響きます。Dの コードの中には、ちょっとした魔法がかかっています。ダイナミックで大きな コーヒーカップでもなく、白いノーマルなコーヒーカップでもなく、ちょっとシャレた、小さめのコーヒーカップのように。小さな魔法がかかっています。8/25  今日、銭湯にいったら、後ろのお兄さんが、気持ちよさそうに、桶でお湯をかぶるんだけど、それが全部、後ろにいる僕にかかるんだよね。あれー。わざとと も思えないし、まあ、銭湯では、お決まりのシーンなんだけど、後ろの僕にまるまるお湯がかかるんだよね。あの人ずっとそうしてるんだろうね。一度僕の方か ら、お湯をかけて見ればいいのかな。意外と怒られたりして。

「部屋ギター、ステージギター」8/27

 世のギター弾きのことはよく知らないんだけど、僕には、部屋ギターとステージギターがある。いつも部屋で創作に使っているのはギブ ソンB25、ライブで使っているのは、ヤマハのFG180だ。ライブでは、大きく弾き、部屋では小さく弾くということから単純にこういうことになっている んだと思う。

 いやいや、違います。ほとんど合っているんですが、それだけではないんです。やっぱり、部屋で弾くギターは小さめな方がいい。いつでも手の届く所 にあって、夜遅くでも、あまり響かないほうがいい。ライブでは、なるべくよく鳴るギターのほうがいい。そして大事なことは自分のサウンドに合っているとい うこと。これなかなか、大事なこと。

 「数多くギターがあるのに、たった2本が選ばれるなんて、他のギターが可哀想だ。」そう、おっしゃるとおりです。今、僕はギブソンのB25もヤマハFG180もどちらも、心底愛している。どっちといわれても、選ぶことはできない。じゃあ、他のギターは? 他のギター?もちろんどのギターも大好きです。でも弾いてないギターも多い。弾いてないけど、愛してないわけじゃない。大きな表現で言えば、ぜーんぶ合わせて、僕とギターなんだ。

 部屋ギターは創作ギター、なるべく長時間ひいてもあきないギターがいい。ステージギターは、表現ギター、なるべく聞く人に届くギターがいい。そのどちらも満足させてくれるギターはマーチンのギターかもしれない。でもマーチンのギターは......この続きはまた次回。8/26今日。高円寺の阿波踊りの前夜祭に行ってきました。いいねぇ。やっぱりこうでなくちゃ。大きなビデオカメラを撮ってるおじさんの表情の真剣だったこと。前を通るとき、恐かったー。

「バスの屋根の上」8/28

 それは、僕がネパールを旅していた時のこと、カトマンドゥからポカラまでバスで移動した。でもチケット屋の手違いで、なぜか6時間 以上、バスの屋根の上に荷物と一緒に乗ることになってしまった。そしてある村に通りかかったとき、バンダナを頭に巻いて、ギターを持った一人の若者が道で 手を振っていた。

 それはネパールの青年だった。ボロボロのふるーいフォーク・クラシックギターを屋根の上に上げて、このバスの上に乗ってきた。ネパールでもフォー クブームはあったのだろうか、その若い青年は赤いバンダナを頭に巻いて、まるで、アメリカの青年のよう。伸びかけたヒゲがとてもよく似合っていた。青年は 意気揚々として、ヤッタゼというポーズをとっている。

 このネパールでこんな青年を見たのは初めてだ。だいたいギターを見たのも初めてだ。ほんと、何かの映画のように、青年とギターとバスのシーンがそ こにあった。その青年はとてもとても、ギターを愛しているのがよくわかった。というか、ギターの存在そのものが、好きなようだ。そして、僕もギター好きの 一人だった。その彼の目を見ていると、ギターが好きなんだなって痛いほど、わかった。「ハロー」

 ギターを弾くジェスチャーをして、彼に僕もギターが弾けることを伝えると、彼は快くギターを貸してくれた。渡されたギター。なんとも弦がサビサビ で、よーく見ると、弦が切れているのを、むりやり糸巻きにくくり付けてあった。これでは、チューニングさえできない。なんだか、つらーくなってしまった。 弾くことのできないギターを持ち歩いているなんて。...

 僕は彼の了解をとって、その弦を何とか復活させて、ちゃんとチューニングできるようにした。バスの屋根の上、ここはネパール。そして彼に渡すと 「サンキュー」と答えてくれた。彼は途中の村でまた、バスを降りていった。堅い握手をして何度も手を振ってくれた彼。分かるのさ。彼は僕だってこと。8/27 今日、昼はくぼあつこのライブ、そして、夜はまた、高円寺の阿波踊りに出かけました。ほんと人・人・人。人は多かったんだけど、やっぱり、よかった。なんかね、どの人を見ても、よくてよくて、ほんと心洗われる思い。知ってる? 明日もあるんだよね。

「そこには道があり、そこには店がある。そして店には人がいる。マーチンタウン・ギブソンタウン」8/29

 手を伸ばすと、商店街がある。それは意外と本当。

 その商店街はとても、整理されている、そしてどの店も歴史が古く、「お任せください」とプロフェッショナルだ。この商店街にはオシャレな喫茶店がある。そこに入れば、おおきな扇風機が天井で回っている。僕はノートを開く。さて、どんな歌をかこうか?

 僕はそこで歌を作った。我ながら名作だ。いや傑作だ。電車に乗る。そして、我が町に向かう。ここは下町、がちゃがちゃとした、商店街。居酒屋、焼き鳥屋、激安ショップ。駅前のベンチに座り、僕はまたノートを開いた。おっと、このさっき書いた歌は何なんだろう? 僕は同じ歌をもうひとつ書いた。

 さてここは部屋、いつもどうりの時計がチクタク回っている。目の前の丸テーブルには、ノートがあり、まだ何も書かれてはいない。もちろん商店街は 架空の話。特にマーチン・ギブソンのことを言ったわけじゃない。ただ、選ぶギターによって、歌の歩いてゆく、道がちょっとだけ違う。そこには店があり、 テーブルがある。歌はそこで、ひと休みする。完成されたギターは、完璧すぎて、まるでひとつの町のよう。影響されますよ。嘘じゃなく。

 手を伸ばすと、商店街がある。それは意外と本当。 8/28 今日、昼、新宿でフラフラとインド料理屋に入る。いつもいつも、店の前で、インド人にさそわれ、ついフラフラと。これが、信じられない位、うまかった。あの店は何なんだろう? おまけにかかっていた、音楽は僕が一番好きな、ジャグジット・アンド・チトラー。いやぁー、また人生の喜びが増えました。夜、高円寺の阿波踊り行ってきました。ひとりで生ビール飲んで、道端でイカ食いました。よかったなぁ。

「ギターよ、進化しておくれ」8/30

 僕がギターを弾きはじめた頃、ギターの価格には、ひとつの基準があった。国産は1万2千円からはじまって、ちょっと良くて3万6千円。6万を超え るとハンドメイドだった。そして、輸入ギターは安くて20万から40万位の間だった。国産の場合、数千円の違いでずんぶん、音色も変わった。その数千円に 僕は毎日毎日、悩んだものだった。

 ここ最近の国産のギターは10万だしてもいいギターとなかなか巡り会えない。何故だろう。ぜんぜん、音鳴りが深くないのだ。あの昔のドーンとした 響きがない。とってもきれいな音なんだけどね。そして輸入ギターもやっぱり同じで、音がどれも堅い。楽器屋の話によれば、いい木がもうないんだそうだ。 今、買っておいて、木が鳴ってくるのを待つしかないってこと?

 信じられないことを、ある楽器屋の店員さんが言った。「もうすぐオールドギターはみんな70万くらいになってしまいますよ。だって木がないんだもの。だから30万出しても、ぜったい損はしませんよ」やっぱりギターは木が命だってこと? どうした、なぜギターよ進化しない。

 もうすぐ、どんなオールドギターもショーウインドーの中に入り、触れなくなる日も来るかも知れない。70万なんて誰が出せる。18才から20才の一番ギターが欲しい頃に。若者がいいギターを弾けなくなるなんて、それは良くない。ギターよがんばって進化してくれー。8/29 今、5曲同時に作ってます。なんだか、すごく幸せ。お楽しみに。

「がんばれギブソン」8/31

 駅前で、歌ってる若者がいる。僕は歌とギターの音に耳を傾けながら、いつも通る。最近の若者はエレアコが多いね。それもストローク奏法。まあ流行りってこともあるしね。エレアコは綺麗だし、かっこいいもんね。高い生ギターを使っている若者ってほんと少ない。

 いつものように駅前を歩いて行くと、いつものように、若者の一団が、ギターをかき鳴らして歌っている。(お、またやってるね) それはすこし遠く から、はっきりとギターの音が響いてきた。力まかせにストロークしている音。何人かで、一緒に弾いている。でも、どうしたんだろう?その中の一本のギター の音が、とても、いいのだ。パッときいたんでは、ただのガチャガチャしたギターの音なんだけど、なんというか、ぞくぞくするというか。

 その若者のそばまで来た。(どこのギターだろう?)遠目で眺めると、まだ買ったばかりと思われるマーチンタイプのギターだった。(へぇー。最近の マーチンタイプのギターもいい音するのがあるんだね)その若者は弾き続けている。それにしてもいい響きだ。まさか本物のマーチン? 僕はすこし近付いて ヘッドのメーカーを確認した。なんと、そこには、ハッキリとGibsonと書かれていた。

 (そうか、最近復刻した、新品のオールド・モデルのギブソンだ。)専門的な話になるけれど、オールド・ギブソンのピックガードはマーチンタイプな のだ。(なるほど、ギブソンだったのか・・)ここ10年位ギブソンは確かに復活した。70年代のギブソンはどうしちゃったんだと思うくらい、以前のような 響きが出なかった。それはギブソン社も認めている。数年前のインタビューで、「ギブソンはたしかに大量生産でチャンピオンの座をKOされた。しかしもう一 度、ギブソンはキングにカムバックする」と・・

 ギブソン社の新品のギターを何本か、弾いたことがある。でも、オールド・ギブソンの音のイメージが強かった僕は、その音に満足することができな かった。たしかに鳴りはそこそこにいいんだけど、やっぱり買うならオールドかな、とも思った。しかし、オールド・ギブソンは音は枯れているぶん、もうひと つ、状態がよくないものが多い。なんとか調整してあるけれど、どこかに無理がきている。でもそれは仕方がない。ギターは木で出来ているんだもの。本当は新 品が一番状態がいいし、長もちもする。デモ、シンピンワ、チョット。・・

 そんなふうに、少しあきらめかけていたのに、僕は駅前でいい音で響いているそのギターのヘッドにGibsonの文字をみた。僕はいろんな人に「新 しいギブソンは、それなりにいいんだけど、オールド・ギブソンの音は、出ないね」と言ってきたけど、どうも基本的に僕の間違いだったようだ。その若者の新 しいギブソンの音は、ちょっと表現は難しいけど、他のギターの音色と全然違っていた。デビューしたばかりのすごく可能性のあるシンガーのようだった。なに か大きなものを感じた。

 ギブソン社のギターのデザインは個性的だ。そして音もまた個性的だ。マーチンが繊細な音だとしたら、ギブソンはエレガントな音。宇宙人や未来の人 がギブソンギターのデザインをみたら、不思議がるだろうね。土器でいえば、弥生式土器と縄文式土器の違いのよう。もちろんギブソンは縄文式土器だけど。ほ んとギブソンギターが生まれたのは、何かの奇跡としか僕には思えない。もしギブソンがなかったら、フォークギターはまるで、クラッシックギターのデザイン のように、同じだったかもしれない。

 なんだか、ギブソンのことばかり書いてしまったけれど、マーチンだってもちろんいい。まるで、心そのもののような音の響きを出してくれる。ほんとポロポロと弾くと泣きそうになるくらい、柔らかくて深い音がする。

 ギブソンギターの製作者のひとりがインタビューでこんなことを言っていた。「ギターはもちろん、音質やボリュームも大事だけど、人の心を動かすことが大切なんだ。それができなくっちゃ、ただの飾りだからね」と。ほんと、そのとおり。8/31 ひと月の間、どうもありがとうございました。つい今日は力が入ってしまいましたが、とてもとても、このひと月、僕は楽しかったです。また来月も、楽しく書いてゆきます。ぜひ感想を掲示板に書いていって下さい。では、明日

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