1989.5.20 ![]() |
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ギターはどういうきっかけで始めたんですか・・・?
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僕がギターを始めたのは13才になる頃で、その頃はディープ・パープルとかクイーンとかレッド・ツェッペリンとかギター中心のバンドをよく聴いてた。で、そういうギター中心のバンドのサウンドがすごく好きだったんで、自分もギターを始める事にしたんだ。
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じゃ初めはそういうバンドのコピーなんかしてたんですか・・・?
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Smoke on the Waterなんかちょこっと弾いてたけど、始めたての頃はあんまりうまく弾けなかった。それでギターのレッスンを受けて段々と腕を磨いていったよ。
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ギターのレッスンというのはどんな事を習ったんですか・・・?
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最初の先生には譜面の読み方とか、コードの押さえ方とか、指使いとか、本当の基本的な事を教わった。そして1年ほど経ってからもっと上のレベルの事を勉強しにジャズの先生の所へ行って、音楽理論とか、スケールとか、色んなテクニックと練習法なんかを教わった。
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Vicious Rumorsとレコーディングする前は何をしていたんですか?
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あのバンドに入る前は一人で練習していたよ。うちで座ってギターを練習したり、デモテープのアイディアを考えてた。そしてデモテープを作ってギター・プレーヤー誌のマイク・ヴァーニーに送ったんだ。だから僕はそこからスタートしたんだよ。
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じゃあその前はバンドを組んだ事はなかったんですか?
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いや、バンドを組んでクラブで演奏してた事もあるよ。だけど僕が住んでたあたりじゃ自分たちのオリジナルはやらしてもらえなくて、ひとの曲とか古い曲ばっかり演奏しなきゃならなかった。それでもうバンドはやめてオリジナルを作る事にして、自分のデモテープを作り始めたんだ。
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初めてイングヴェイを聴いた時はどう思いました?
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![]() 僕がやろうと思ってた事を他の奴がやってたんでビックリしたよ、というのは、僕はアル・ディメオラとかジャズの人も好きで、子供の頃彼のアルバムのエレガントジプシーとか、カスィーノとか、ピッキングの速弾きをよく聴いてた。 だけど僕は基本的にロックギタリストなんで、彼のピッキングの速弾きをロックに取り入れようと思ったんだ。その頃は他にそんな事やろうとする奴なんて誰もいないと思ってたよ。 ところがイングヴェイは僕より先に同じ事をやっちゃったんだ。
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Vicious Rumorsの後はソロ・ギタリストとしてレコーディングしてますけども、自分のバンドを組むつもりはないんですか?
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MIND'S EYEとTIME ODYSSEYはインストゥルメンタル・アルバムだったけど、今ヴォーカル入りのものをやろうと思ってヴォーカリストを探してるんだ。ヴォーカルアルバム用の曲も今作ってる。 いいヴォーカリストが見つかったら2〜3枚ヴォーカル・アルバムを作って、そうしたら又インストゥルメンタルもやろうと思ってるんだ。
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曲を作る時はどういう手順で作りますか? 例えばメロディーから作るとかリズムから作っていくとか・・・?
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ほとんどの場合両方だよ、僕は両方いっぺんに考えるんだ。というのは、メロディーというのはその裏にコードがあって初めて存在するんだ。まったくコードのないメロディーなんてあり得ない、だから僕はほとんどの場合両方一緒に考えるよ。 だけど時によっては先にリズムを考えて、後からその上にメロディーをつける事もある。 ま、だからどっちもあるよ。リズムを作ってからメロディーをつける事もあるし、メロディとリズムと一緒に頭に浮かんでくる事もある。 (これは日本人と根本的に違う所で、日本の伝統的な音楽にはコードは無い。そのため日本人の場合はまずメロディーから考えるのが普通 で、よほどの天才でもない限りコードとメロディーとを一緒に考えたり、先にリズムを考えてその上にメロディーをつける事はできない。従って、いくら速弾きだけできるようになっても、ある程度理論を勉強しないと日本人にはロックの曲は作れない。)
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ソロを弾くときは先にフレーズを考えて弾きますか、それともその場で即興で弾きますか?
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それも両方だよ。自分でソロを組み立てておいていつもその通 り弾くこともあるし、即興で弾くこともある。だから両方だね。
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その時モードなんかは考えて弾きますか?
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もちろん! 僕はいつもモードを考えて弾いてるよ。それはその曲のコードによって決まってくるんだ。コード進行によって何のモードで弾くべきか決まってくるし、僕はいつもトーナリティーを意識して弾いてるよ。
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じゃロック・ギタリストにとって理論を勉強する事は大切だと思いますか?
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どんなミュージシャンでも理論の勉強はとても大事だと思うよ。僕はこう思うんだ。たくさん勉強してたくさんのことを知ると、演奏する時も曲を作る時もそこからたくさんのことを引き出すことができる。もし色んなことを知らないと自分がやろうとすることが狭くなってしまう。 だから勉強できることは学べるだけ学んで、できるだけ多くの知識を身につけるようにする。そうすると自分が何かをする時により多くの方向が見えてくるし、より色んな事ができる、これが僕の考えなんだ。 (よく日本人には“ロックをやるのになんで理論なんか勉強しなくちゃいけないんだ ? ”・・とか言う人がいるが、こういうように一流になる人は音楽に対する姿勢が根本的に違う。テクニックだけではなく、こういう姿勢を見習って欲しい。)
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ギターは何を使ってますか?
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ネックはエボニーが好きなんだ。それとフロイドローズを使ってるけど、これはファインチューナーが無い奴。 ボディーはホンジュラス・マホガニーが好きで、僕のギターの何本かはホンジュラス・マホガニー、あとバスウッドとオールダーのも持ってる。ボディーの材質にはこの3つが好きだね。 それからp.u.はディマジオを使ってて、リアにダブルワーミィ、フロントにアルデイメオラをつけてる。 それと糸巻きはスパーゼル・ロッキン・マシンヘッドをつけてる。で、基本的にはストラトシェイプのギターだよ。 (日本でアルダーと言ってるのは間違い。英語ではオールダーと発音する)
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ファインチューナーが無いとチューニングが大変じゃないですか?
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前にファインチューナーを使ったこともあるんだけど、ちょっと問題があったんだ。と言うのは、ピッキングする時に右手がぶつかっちゃうんで具合が悪いんだ。それでファインチューナーのないフロイドローズを使うことにした。そうしたら右手がぶつからずに弾けるようになった。 で、僕はロックナットは使ってなくて、スパーゼルを使ってる。 これはペグで弦をロックするんだけどチューニングが全然狂わない、これは本当に素晴らしいよ。これのお陰でこのギターはチューニングが狂わないんだ。
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ナットは何を使ってますか?
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僕はグラファイトのナットを使ってるよ。
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あなたのギターのVol.コントロールは普通 のストラトよりも低めについてますけど、これもあなたがそう注文したんですか?
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あ、本当だ! 気がつかなかったけど、今ギターを見てみたら確かにVol.コントロールが普通 のストラトよりp.u.から離れてるね。 今そう言われて思い出したけど、普通 のストラトはVol.コントロールがp.u. に近すぎるんで、ピッキングする手がさわってだんだんvol.が下がっちゃうんだ。だからこれはちょっと離してあるんだよ。
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そうするとヴァイオリン奏法をやる時にやりにくくありませんか?
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そんなことないよ。ちょうど指が届く位 置に付いてて、しかも近すぎないようになってるよ。
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p.u.は何か特別 仕様になってますか?
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市販のまんまだよ。リアのダブルワーミィもフロントのアルディメオラも市販のまんまで、特別 仕様じゃないよ。
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ピックと弦は何を使ってますか?
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ピックはフェンダーのEXTRA HEAVY、弦はディマジオで、008, 011, 014, 026, 038, 048 だよ。
右は当日使用したピック→ |
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いつもLANEYのアンプを使ってるけど、何か改造はしてますか?
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僕のLANEYも市販のままで改造はしてないよ。最近LANEYはちょっとマイナーチェンジして新しい奴は前のと少し違うけど、とにかく僕のアンプはお店で売ってるのと同じで、何も違う所はないよ。
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イフェクトは何を使いますか?
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僕はアレシスのデジタルリバーブを使う。それだけだよ。僕のメインセットはギターをLANEYのアンプにつないで、それにリバーブをつなぐ、それだけなんだ。
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じゃ今回ステージでもイフェクトはリバーブだけですか?
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リバーブだけだよ。僕はアンプで音を歪ませてるんだ。 (これは真空管アンプだからできる事で、トランジスタアンプではできない。)
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リバーブをつなぐときは、アンブとギターの間につないでますか、それともイフェクト・ループにつないでますか?
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イフェクトループにつないでるよ。そうするとイフェクトの音はプリアンプを通 らないでダイレクトにメインアンプに行くから、こうした方がよりきれいな音が出せるんだ。
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教則ビデオを2本出してますけども、あれを録るのにどれぐらい時間がかかりましたか?
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1本目のビデオはちょうど1時間の内容なんだけど、それを僕は1時間15分で録っちゃったんだ。これにはおかしい話があるんだけど、あのビデオを録ったのはニューヨークシティで、僕のうちから2時間ほどの所なんだ。 あの日は二人ビデオを録ることになってて、僕は2番目で、他の奴が先に録り始めた。ところがその先に始めた奴がてこずってていつまでたっても終わらないんだ。 そのうち夜になっちゃって、僕は電車でうちへ帰らなきゃいけないのにちっとも始められない。やっと前の奴が終わって僕の番が来た時には、終電に間に合うまでに1時間15分しかなかった。それで急いでやらなきゃならなくて、1時間15分で録っちゃったんだよ。 だけど僕はそういう速録りは嫌いじゃなくて、2本目のビデオの時なんかもっと速かったよ。 ま、僕は普段からどういう事をやろうか考えて内容をまとめといて、うちでテープに録音してたっぷり練習を積んでたんだ。だから2本目を録ったのは12月だったんだけど、この時は67分で全部録っちゃったよ。つまり、ほとんど一発録りなんだ。 ま、僕は今までに100回位ギタークリニックをやっていつも人の前で1時間半ほどしゃべってたから、そういう事に慣れてたんだ。そのお陰で、一度座ったら一発でできちゃったんだと思うよ。
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今もアメリカでクリニックをやってるんですか?
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いや、今はしばらくやめてるよ。ま、実は今月の終わりにあと5つほどあるんだけど、今は主にうちにいて、次のアルバムの曲を考えてるよ。
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あなたのビデオを見てると高い方の弦を弾いてる時に低い方の弦が全く鳴りませんけど、あれはどうやってミュートしてるんですか?
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じゃあラジオでよく見えるように説明するよ。 基本的に僕は高い方の1、2、3弦を弾く時は・・ 低音弦に右手の掌をのせてミュートするんだ。そうすると低音弦は鳴らないし、もし低音弦をピッキングしても・・ こういうふうにミュートされてるから鳴らない。 つまり高い方の弦を弾く時は右の掌で低音弦を押さえて鳴らないようにしてるんだよ。
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じゃスウィープ・ピッキングの時はどうやって開放弦をミュートしてますか?
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スウィープ・ピッキングの時は基本的にミュートはしないんだ。その代わり左手の指を使って、音を鳴らした後すぐにその音を止めるんだよ。言い替えるとスタッカート気味に弾くんだ。弦を全部鳴らしっぱなしにしないで、済んだ音はすぐに指をちょっと浮かして弦の振動を止めるようにする。 もしそれをしないで全部の音を鳴らしっぱなしにすると音が汚くなっちゃう。 こんなふうにね。 こういうように全部の音がきれいに鳴るんだよ。
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すいませんが、もうちょっとゆっくりやってみて下さい。
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だからね・・・ 一つの音を鳴らしたらすぐにその音を押さえてる指をちょっと浮かしてその音を止めるんだよ・・・ ま、場合によって右手の掌でミュートする事もあるから、実際には両方のコンビネーションかな・・・。
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1本目のビデオで“半音の練習を1フレットずつ上がって又下りてくる”・・・というのがありましたけど、あれは今でも毎日やってるんですか?
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今は毎日はやってないよ。指が少しなまった時だけギターを持ってあれをやって、指を又鍛え直すんだ。
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アメリカのギタープレイヤー誌にはよく“練習のしすぎで腱鞘炎になった”・・・とかいう話が載ってますけど、そういうのになった事はありますか?
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そういうのには一度もなったことはないよ、神に感謝・・・!
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我々日本人は手が小さくてギターを弾くのに色々苦労するんですけども、左手の人差し指を2弦5フレットに置いたらどこまで届きますか?
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そうすると小指はここまで届くよ・・・
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じゃ何かフレーズの弾き方を説明してくれませんか?
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OK!よくLifeforceのフレーズの弾き方を聞かれるから、これを説明しよう。 これはクリーンな音のフレーズで弦をミュートして弾くんだ。レコードの速さで弾くとこういうふうになる・・ これは右手で弦をミュートして弾いてるんたけど、ゆっくり弾くとこうなる・・ この一番最後の音を弾いたらギターのvol.をあげるんだ。
それと、これに僕は4度のハーモニーを重ねてる。これはメロディーの4度下で弾いていくんで、こういう感じになる・・ これもギターのvol.を2か3に絞っておいて、最後の音を弾いたらvol.を上げるんだ。 この2つを弾いて重ねると4度のハーモニーになる。そしてしっかりミュートしてピッツィカート風に弾く。 (真空管アンプの場合、歪んだ音で弾いていてもギターのVOL.を2〜3まで絞ると歪まないクリーンな音になるので、彼は歪んだ音とクリーンな音とを切り換えるのにフットスイッチ等は使わず、ギターのVOL.で使い分けている。そうするとヴォリューム・スウェル・イフェクトと言って、クリーンな音から歪んだ音へ滑らかに変化させる事ができる。これは60年代によく使われた技で、トランジスタアンプではこういう事はできない。)
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じゃあ、最後に何かソロを弾いてくれませんか?
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OK・・・ (この時スタジオにはマーシャル、フェンダー、ハイワット、グヤトーン・・等色々なアンプが置いてあり、“どれがいい? ”・・ときくと彼は“どれでもいいよ”・・と言って一番近くにあったグヤトーンのGA-600FCにギターをつなぎ、ちょっとつまみをいじっただけですぐにレコードと同じ音を出した。自分の音色を持っている人は初めての楽器でもちゃんと自分の音が出せるのだ。しかもウォーミングアップも練習も何もせず、いきなり本番で一つのミスも無い。これが本当のプロだ。)
(ブルーのコメントは放送時の原稿に書き込んであったもの )
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