2000年「ミステリ&ホラー」

映画情報&鑑賞メモ


 ミステリ、ホラーと映画の融合を目指す、当刑務所のメインコーナーです。今年公開された、あるいは公開予定の広義のミステリ作品の情報と、鑑賞済み作品の感想メモです。

公開済み作品

 『リング0』 『ISOLA』

 『ケイゾク』 『アナザヘヴン』

 『クロスファイア』 『千里眼』

 『死者の学園祭』 『仮面学園』

 『ホワイトアウト』 『カオス』 

 『漂流街』 

『トワイライト・シンドローム』

海外作品

 『ボーン・コレクター』

 各作品解説のタイトルのリンクは、オフィシャルぺージにつながっております。

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 邦画公開済み作品

『リング0 バースデイ』

(原作『バースデイ』鈴木光司)

脚本 高橋洋
監督 鶴田法男
出演 仲間由紀恵、田辺誠一、 麻生久美子、田中好子

(原作未読)(鑑賞済み)

 監督が代わったせいか、前作『リング』『リング2』とはまったく趣きを異にする作品。「貞子は二人いた」という前作までにはなかった設定を唐突に付け加えたため、支離滅裂になってました。今まで単なる怪物としてしか描いてなかった貞子を、無理に美少女にしようとするからこういうことになる。どうしても美少女を出したいなら、仲間由紀恵が力の誘惑に堕落していく様を描けば、もう少しおもしろくなったでしょうに……。お粗末。

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『ISOLA 多重人格少女』

(原作『十三番目のペルソナ ISOLA』貴志祐介)

脚本 水谷俊之・木下麦太
監督 水谷俊之
出演 木村佳乃、黒澤優、石黒賢

(原作読了済み)(鑑賞済み)

 原作における、主人公の職業が実は○○○でそれなのに××で人の△を□□しているという唖然呆然爆笑噴飯大激怒ものな設定を、必要のないものとして実にすっぱりとカットした姿勢には、非常に好感がもてました。とか言ってたら、ラストのダークなオチまでカットされ、神戸ルミナリエの映像が……なんじゃこりゃあ! しかしあのラストにしろ「いねーよ、こんな女!」と思わず叫んでしまったあの設定にしろ、嫌な気分になったのは間違いないので、カットされて結果的に良かったのかも……いや、ホラー好きとしては許せませんが。

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『ケイゾク/映画』

監督 堤幸彦 
出演 中谷美紀 渡部篤郎

(原作無し)(鑑賞済み)

 とりあえずTV版スペシャルよりはだいぶん面白かったですね。しかし後半わけわかめになるのはいつものことですが、なんか今回はもうどうでも良くなってしまいました。TV放映時は、あのラストでもけっこう手に汗握ったんですが、正直言って飽きが来てました。終了バンザイ&おめでとう。しつこくシーズン2はやるんでしょうが、私はもうやらないでもいいと思います。しかし中谷美紀のいつにも増したノリノリぶりは特筆もの。ファンなら観ましょう。

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『アナザへヴン』

(原作『アナザへヴン』飯田譲治・梓河人)

監督・脚本 飯田譲治
出演 江口洋介 市川実和子 原田芳雄 柏原崇

(原作読了済み)(鑑賞済み)

 綾辻、京極、両先生がニュースのコメンテーター役で出てました。共に3秒ずつぐらいの登場でした。

 上下2冊けっこうぶあつめの文庫の話を、やはり2時間20分でやろうとするのは無理があったらしく、映画版はエピソードがかなりカットされてました。私的なおいしいシーンがほとんど無くなっていたため、かなりガッカリ。主役の一人、飛鷹刑事も原作では面白いキャラクターなんですが、設定が刈り込まれて単なる頑固オヤジデカ(だから原田芳雄なのか)になってしまっており、もったいないです。

 原作は、文章力と構成力のある人が書いたヤングアダルト、というイメージでした。近作『アナン』でもそうなんですが、大の大人が正面切って「愛」をテーマにしているあたり、非常に好感を持ちました。快作です。ただしかなりホモっぽいので、お嫌いな方は御注意(私は好きですが)。映画よりは断然、オススメです。

 しかしR指定というのも、大した事はないですね。この映画観て食欲なくす人は、よほど神経が細いか想像力が豊かすぎるかどちらかでしょう。

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『クロスファイア』

(原作『鳩笛草』『クロスファイア』宮部みゆき)
監督 金子修介
出演 矢田亜紀子 伊藤英明

6月10日公開 東宝系 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 実は矢田亜紀子、嫌いでした。『ハルモニア』『愛しているといってくれ』でやなやつだったから。ついでに原作もあまり好きじゃないです。『燔祭』はいいけど、『クロスファイア』はもろに『ファイアスターター』のパクりだから……。

 さてさて6月21日、観て参りました。いやいや意外や意外、期待してなかったのに、これなかなか面白いじゃないですか。

 冒頭、モノローグとともにモノクロ画像で、主人公青木淳子(矢田亜紀子)の生い立ちと、過去にその念力放火能力で焼いた一人の男の事件が語られます。その後、どっかで聴いたような音楽とともに、画面と文字の燃えるどっかで観たようなタイトルバックが……『クロスファイア』!! なぜだ? 既視感か? と思うまでもなく、これ監督金子修介で音楽を大谷幸がやってる時点で、平成『ガメラ』シリーズのオープニングそのまんま! 『ガメラ』シリーズのファンだった私としては、なんかだまされてるような気分を抱きつつも、アドレナリンがふつふつと湧き出てくるのを止める事が出来ません。

 ストーリーは『燔祭』がメイン。まずは青木淳子と多田一樹の出会いから物語は始まります。ここの前後でちらちらとパイロキネシスのネタフリ。プールの水を蒸発させたり、雨に濡れた封書を乾かしたりと、大小の能力発揮シーンが披露されます。原作ではかなりの面で制御不能なイメージがありましたが、映画版ではそれより抑制が効いている印象を、この時点で受けます。この印象の正しかった事は、後で証明されます。

 多田の妹が登場、原作とは違って青木淳子と直接会い、仲良くなります。多田兄の妹への想いをはしょり、主人公にそれを抱かせる事で、感情移入を容易にしています。原作における裁きの使者としての役割もかなり軽減されているのがわかります。

 多田妹は青木淳子の「家まで送って行く」という申し出を断ったことで、結果的に小暮昌樹によって殺害されます。小暮は自らを時代の英雄とうそぶき、未成年と証拠の不十分さを武器に不起訴を勝ち取り、自由になります。小暮は有力者である父の後押しで週刊誌や新聞の見出しに、自分の名が躍るのを楽しみます。さて短いカット割りでその一連の見出しが次々と画面に出るのですが、こんなのもたしか『ガメラ』で観たよな……。

 色々あって多田に拒絶された青木淳子、謎の能力者木戸の接触を受け、小暮の次なる犯罪が行われる事を知ります。原作版『クロスファイア』冒頭で出てきたような廃工場がその舞台。バイクに乗って獲物をいたぶろうとする小暮の仲間を、バイクごとパイロキネシスで吹き飛ばすのですが……燃え盛る火球が画面横から飛来し、バイクを直撃するこの映像……「プラズマ火球、ファイヤー!」と叫んでしまったのは私だけでしょうか? またまた『ガメラ』やん!

 原作を遥かに超えるパイロキネシス使用法のバリエーションは、この作品の間違いのない見どころの一つです。料理にこそ使いませんが、炎なしの念動力、全身を熱気の壁で覆うバリヤー状の力、体内から過熱し内部から融解し爆発させる力、前述の火球を直接飛ばす攻撃法、ロウソクに火をつけるピンポイント攻撃、同じ念で生み出す熱で正面から食い止める熱を防ぐ能力、枚挙に暇がありません。しかもこれを主人公は驚くべき精密さで使用します。自分に組み付いている相手に火をつけようとするあたり、相当コントロールに自信があるとしか言い様がありません。ラストに繰り広げられる最後の戦いで、これらの能力は遺憾なく発揮されます。「つ、つええ……!」としか言い様がないその青木淳子の勇姿を見ると、もうほとんど条件反射的に『ガメラ』を連想してしまうのは、致し方ないことなんでしょうか。もうちょっと予算があれば樋口特技監督も呼んできて、火球三連射や周囲の炎の吸収、腹から撃ち出すウルティメイト・プラズマや、右手を炎に変えて叩き込む近接戦闘なんかもやりかねなかったんじゃないでしょうか。

 主役の矢田亜紀子、今までは嫌いだったんですが、どうも役に恵まれてなかったみたいですね。今までは気難しくて性格最悪な女ばかりやってたんですが、今回は気難しいけど性格はいい人をやってまして、なかなか良かったです。見直しました。今後は応援させていただきます。あああ、勇姿が目に焼き付いてはなれんよ!

 今までの『ガメラ』シリーズのメインキャストの幾人かが、ゲスト出演しているのも見どころ。中山忍、藤谷文子、永島敏行、本田博太郎、そして螢雪次郎……。とくに『ガメラ』の一作目で警官、二作目で警備員、三作目でホームレスとどんどん落ちぶれていった螢! 三作目ではホームレス状態から立ち直ってやっと見せ場があるかと思いきやなぜか画面から姿を消してしまい、あれはどうしてだったんだろうねと思ってたんですが、今回の『クロスファイア』でそのわけがわかりましたね。彼は監督に嫌われているんです。

 雑誌記者役で登場した瞬間に、青木淳子に対してまるで『ガメラ』を目にしたがごとく怯える彼、一見シリーズで見せた「臆病だけど根はいい人」のような演技を見せます。が、その後スナッフビデオの販売をする小悪党の本性をさらけ出し、組織の手によって切り捨てられ爆殺されてしまうのです! あまりに演技のスタイルが『ガメラ』シリーズの時と同じなために、昔の彼の役「大迫さん」までもがしょうもないやつでちょろちょろとうっとおしかったような気がしてしまいます。最初はいい人でも、所詮小心者の行き着く先は小悪党にすぎないのか!? 作品を追うごとに扱いが悪くなっていく姿、金子監督は今回、螢のキャラを以前と同じ小心者に設定し、なおかつ救いがたい悪とすることで、過去の役柄をも貶めようとしたふしがあります! どうしてそんなに彼の事を嫌ってしまったのでしょう。たぶん一作目ではいい味出してるキャラとして使い、それで終わりにするはずが、なぜか人気が出てゲストで使うようにプロデューサーに命令され、しぶしぶ使ううちに段々とイヤになり、監督の権利の行使としてどんどん扱いを悪くしていってるんじゃないでしょうか。今回の螢の起用にしても、中山忍と藤谷文子をルンルン気分でゲスト出演させていたら、プロデューサーに「じゃあ螢くんも使いなさい」と頭ごなしに命令され、とうとう陰湿な怒りを爆発させ、あんなひどい役柄にしてしまったのです……たぶん。

 しかしいつだったか開かれたトークショーでは、なんだか仲良くお話してたそうで、やっぱりそんなわけないのかなあと思いつつも、すでに離婚を決めていたにもかかわらず『ロング・キス・グッドナイト』の来日プロモーションで熱愛ぶりをアピールしまくっていたレニー・ハーリン監督とジーナ・デイヴィスの仮面夫婦みたいな例もあるし、真相は謎である、ということにしておきます。

 さて、まとめです。こないだキネマ旬報で金子監督と宮部みゆきが対談してまして、その時宮部氏が「青木淳子は私にとって『ガメラ』なんです」と言ってました。なにを調子のいいことをいってるんだこいつめ、リップサービスもたいがいにしろ、とその時は思ったのですが、映画を観てこう思いましたね。演出、音楽、配役、キャラクター、シナリオ、映像、何もかもが、

「確かに『ガメラ』以外の何者でもないです。すいません」

 原作版は「押す力(プッシャー)」や「装填された銃」という決め台詞など、キングの『ファイアスターター』そのまんまな部分に非常にいらだち、また「ガーディアン」などと大風呂敷を広げたあげくのあの尻すぼみなラストも嫌いであまり評価していませんでした。しかしこの映画版は『燔祭』『クロスファイア』のキャラクターと設定、その他小道具などを混ぜて掛け合わし、『ガメラ』で割る事によって奇跡的な佳作に仕上がりました。ある意味、映画化の見本のような作品です。あまりにさわやかなラストも含め、サイキック・アクションはこうでなきゃなと思わせてくれました。興行的にはこけたようですが、私はこの映画版『クロスファイア』断固として支持します。結論として、この公式を……。

 映画版『クロスファイア』
『燔祭』×原作版『クロスファイア』÷『ガメラ』

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『千里眼』

(原作『千里眼』松岡圭祐)
監督 浅生学
出演 水野美紀 黒木瞳 柳葉敏郎

6月10日公開 東映系 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 前作『催眠』も映画は観てないんですが、原作は読みました。いや〜、いい話でしたね……おでんが。取りあえず、あのおでんには泣けました。あれを読んでおでんを食べたくならない人は、ちょっと人間性疑っちゃいますね。おでん弁当、良かったですね。映画版にはおでんは出て来たんでしょうかね。そしてこの『千里眼』も、映画にはおでんは出てくるんでしょうかね。それだけが気になりますね。

 水野美紀が元自衛官、黒木瞳が鋭い洞察力を備えたカウンセラーで通称「千里眼」、だそうで、いやいやなかなか大人気ない(ほめてます)ストーリーが楽しめそうです。近頃『発狂する唇』『アナザヘヴン』などでも使われていたワイヤー・アクションもあるとか……。

 さて、原作を読みました。一応、この作品、前作『催眠がホラーとして映画化されてたので、このコーナーに収録したんですが……これ、ミステリでもホラーでも何でもねえよ! どうもこの松岡圭祐という人、文章があまり上手くありません。登場するキャラクターも、薄っぺらい事が多いです。……が、しかしこの『千里眼』という作品、バカアクションエンターテインメントとして、かなり笑える小説に仕上がってます。催眠療法、カンフー、自衛隊、F15戦闘機、爆弾テロ、東京を舞台に繰り広げられるカルト教団との壮絶な死闘! ハリウッドのアクション・サスペンス映画の文法を当てはめない限り、ストーリー展開は先読み不能です。元自衛官=F15を自在に乗りこなす、という短絡的かつ大人気ない設定には、大いに好感を持ちましたね。ついこないだ憶えた「UNKNOWN」という単語も出てきて、なかなかタイムリーでした。しかしこれ、ちゃんと映画化してるのだろうか……。下手したら、あのジェームズ・キャメロンがシュワとハリヤーを飛ばすためだけに作った『トゥルー・ライズ』並の予算注ぎ込んでも、おかしくないと思うけど……。

 6月21日、観て参りました! が、しかし……とほほほほ、つまんねえ〜。まず第一、米軍空母の内部でのシーンがあるのですが、このセットがちゃっちい! そして米軍の人達のセリフ、棒読み! まずこのシーンだけでどっと消耗。そして第二に精神病院の医師たちが登場するのですが……あからさまに怪しすぎ……あの〜伏線はもっとさりげなく張ってほしいんですけど……あの〜どうして水野美紀さん、伏線をいちいち黒板に書くんですか? こんな事やられたんじゃ黒幕の正体も、ラストの逆転劇も意外でもなんでもないんですけど……。で、その黒幕の人物描写も全く足りないので、こんな程度の悪役に倒されずに逃げ延びられてしまっても困るんですけど……。興行的にも惨敗したんだしお願いだから続編は作らないでほしいんですけど……。それで……あの……せめてF15は飛ばしてほしかったんですけど……。

 お楽しみのカンフーアクションはまずまず。まあスタッフの技術が未熟なのか吊ってるのもわかっちゃいますけど、やっただけでOKでしょう。

 というわけで、『千里眼』総評。映画は観なくてよし! 原作もよっぽどヒマやない限り読まんでよし! 

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『死者の学園祭』

(原作『死者の学園祭』赤川次郎)
脚本 安倍照男 山田珠美
監督 篠原哲雄
出演 深田恭子 加藤雅也 内田朝陽 セイン・カミュ 筒井康隆

8月5日公開 東映系 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 深田恭子も高校生役やれるのは、もう最後でしょうね。うろ覚えですけど、なんかのドラマで似合わねーOL役やってたぐらいですからね。加藤雅也はいつのまに日本に帰って来てたんでしょう。全然知りませんでした(しかし役に立たない情報コーナーだな)。

 原作読了。しかしチラシに書いてある「ドビュッシーじゃ殺せない」「80年前の恋の伝説」「青い瞳の天使」などのキーワードは、ちらりとも登場せず……。これはかなり脚色されてますね。

 さてさて、鑑賞メモ。しかし何と言うか、実につまらなさが中途半端な作品でした。なまじ原作があるだけにトンデモ映画というほどのものになっておらず、無茶なゆえに笑える部分、突っ込める部分すらなく、不完全燃焼な印象です。

 けっこうなペースで人が死ぬ割にはどうも脳天気な雰囲気の充満していた原作と比べて、やはり立て続けに友達が死ぬだけあってかなり悲愴感漂う演出……なんですが、どうもかえってただ暗くなっちゃっていけません。人が死ぬシーンでも妙に血だけは出てたりして、ややスプラッタを狙ってそうなとこもあり、全体のテイストとして統一感は出ていると思いますが、盛り上がりには欠けてます。深田の泣き顔だけはたっぷりと堪能できますが。

 配役もな……。濃ゆーいお顔の学校の先生加藤雅也がフカキョンと恋愛関係になる部分など、ファンの人は怒らないのでしょうか。どっかと構えてたらそれなりに雰囲気の出ている筒井康隆校長も、長台詞をしゃべりだすと、途端に棒読みです。そして主役の深田恭子も、もちろん棒読み……今いち進歩がないですね……しかし今回は「舞台劇」が話のメインになってるだけあって、深田恭子の台詞も舞台上での稽古や本番シーンなどが中心、つまり「芝居の下手な女子高生が舞台で台詞を棒読みしている」という演技に結果としてなっており、棒読みがかえって効果的に機能している……わきゃねえだろ!

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『仮面学園』

(原作『2年A組探偵局 仮面学園殺人事件』宗田理)
脚本 橋本裕志
監督 小松隆志
出演 藤原竜也 黒須麻耶 栗山千明 石垣佑磨

8月5日公開 東映系 (原作未読)(鑑賞済み)

 とりあえず原題読んで爆笑しました。これを藤原竜也を前面に出して、美少年アイドルものとして売り出そうというんですから、東映も神経が太いですね(僕はまだ彼を美少年とは認めてませんけどね)。しかし『死国』の柔道少女栗山千明が出てるのも、私的にはマイナスポイントですね。

 上記『死者の学園祭』と二本立て同時公開。しかしこれは両作品に言えることですけど、どっちも金かかってませんね〜。特にこの『仮面学園』、セットの狭苦しさは特筆ものでしょうか。

 ストーリー的には大衆の愚かさみたいなものを実に安易に描いており(あっちゅうまに日本中で仮面ブームが巻き起こる)、なかなか分かりやすかったです。「仮面」と「仮面無し」の二項対立! しかし仮面外しただけで治る二重人格っていったい……?

 藤原竜也はこの作品で初めてみたんですが、特に個性のない役柄だったので、判断は下せず。しかし栗山千明には要注目(笑)。今までは嫌いでしたが、いやいや、あのホラー顔は貴重です。可愛いとは思いませんが、あの顔は買います。他にあんなのはいませんから。それでも『死国』の時よりはきれいになってました。『バトル・ロワイアル』次第でファンになる……かも。

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『ホワイトアウト』

(原作『ホワイトアウト』真保裕一)
監督 若松節郎
脚本 真保裕一
出演 織田裕二 松嶋奈々子 佐藤浩市

8月19日公開 東宝系 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 8月26日に観て参りました。鑑賞メモはこちらへどうぞ。ただし原作、映画、ともに壮絶にネタバレしております。未読、未見の方は御注意下さい。

 日本版『ダイ・ハード』とぶち上げた、東宝のバクチ的(らしい)超大作。ダムのスケール感を出せるかどうかが一つの分かれ目でしょうか。しかし織田裕二って、顔濃いよな。

 原作者が脚本やってるってのはいいですね。どうでもいいけど『レディ・ジョーカー』の映画化企画が出た際、高村薫が脚本家の書いた第一稿を引き裂き、「おまえらには任せられへん!」と言って自分で脚本を書き「これそのまま映画化したら8時間ぐらいになるけど、カットせんといてね」と無茶な事を言って、映画化そのものを叩き潰してしまったことがありました。最初から映画化しないでほしかったんでしょうね、きっと。それなら最初からそう言えばいいのにね。でもこういうわがままな人って、けっこう好きだなと思ってしまうのは、やっぱり他人事だからなんでしょうね、きっと。

 予告編を観ましたが、佐藤浩市がヒゲと髪の毛ぼさぼさで、誰かわからんようになってテロリストのリーダー役やってました。なかなかスケールでていてそうで、ちょっと楽しみです。でも織田裕二ってどうも私的に頼れる男って感じがしないんですが。そこがいいのかな? 原作も近い内に読むつもりですが、基本的にこういう話では「戻るって約束したんです」なんて事は最後の方まで言わずにおいて、「何で俺がこんなことに!」とブツクサいいながら頑張ってほしいですね。

 

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『カオス』

(原作『さらわれたい女』歌野晶午)
脚本 斎藤久志
監督 中田秀夫
出演 中谷美紀 萩原聖人

10月21日関東、11月11日関西公開 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 うくくくくくく。全国公開に先駆けて、テアトル梅田(10周年おめでとう!)の特別興業で観てきました! 新本格映画化第1弾!! 

 『リング2』でもそうでしたが、とりあえず中谷美紀(去年撮った映画だから、まだ髪長いっす)をいじくりまわしたい人には絶対のオススメ! 彼女のくるぶしや肩甲骨など、普段のドラマじゃ拝めないセクシーショット満載。そして中田秀夫の舐めるような演出も適度に変態的で冴えてます! 「し、縛るんですか?」「そう、ここを口でくわえて引っ張って」 ギャハハハハ、笑いをこらえるのに苦労しました。

 原作と変わってる部分も多いですが(特に後半)、話の展開もきっちり伏線張って「ミステリ」してます。単なる誘拐ものだと思ったら、大間違いですぜ。全体的にスローテンポですが、いきなり過去回想に飛んだりするので、油断できません。火サスや土ワイ観てるような温い人にはついていけない事、間違い無し。ツッコミどころもありますけどね。

 鏡、口紅、携帯電話など小道具も充実、中田演出。室内の薄暗いシーンなど、いかにも「出そう」。屍体発見シーンは、きっとホラーファンにもささやかなカタルシスをもたらしてくれるでしょう。

 気弱な男が板についた萩原聖人の今後にも期待。変な中年にはならないでね。

 世界一、中谷美紀を美しく撮った映画として、すでに私の中ではDVDで永久保存決定なのですが、ミステリファンにも大いに楽しめる作品です。必見!! 早く公開してほしいものです(俺ももう一回観に行ったりして……パンフ買わないとね)。

 原作は91年に書かれた作品ということで、今だ携帯電話が普及しておらず、自動車電話などのレトロな小道具が満載です。97年に発刊された文庫版の後書きで歌野氏本人が、「携帯電話が普及している時代なら、それを有効活用した、もっとエレガントな電話トリックが考えられる」と言及しています。しかしまあ、映画版もメイントリックの大筋はそれほど変えてません。むしろ携帯電話は、展開をスピーディにするのに一役買ってます。

 しかし、これうまく映画化してるな……。原作前半に登場し、色々と状況を推理して探偵役になるのかと思いきや、後半なぜか姿を消してしまいただ単に状況を説明するために出てきただけだったらしい、妻をさらわれた男の弟など、必要無いキャラをすっぱりとカット! 主人公である「便利屋」のキャラもニヒルな男から、その日暮らしの無気力人間(別れた妻子あり)に変更。後半の展開もガラリと変えて恋愛ものに大胆に脚色! はっきりいって原作より映画の方が面白いです。未読の方は公開を待ちましょう。最後に、私が観に行った当日、マネして言ってみたかったけど言えなかった映画中の萩原聖人のセリフを……。口紅です。

「やっぱりこの色、あんたに似合う」

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『漂流街』    東宝公式ページへ。

(原作『漂流街』馳星周)
監督 三池崇史
出演 TEAH(新人) ミッシェル・リー テレンス・イン 吉川晃司 及川光博

11月11日公開 東宝系 (原作読了済み)(鑑賞済み)

 『多重人格探偵サイコ』のドラマを監督した三池監督の最新作。『中国の鳥人』『極道戦国志 不動』『アンドロメディア』など、雑多な映画を監督してるこの人、でもバイオレンスは得意だと思いますね。

 しかし、何やら上海マフィアの大ボス役で出演しているらしいミッチーが気になりますね。悪の権化なんでしょうか。髪の毛撫で付けて、白スーツで「殺したまえ」とか言うんでしょうか。要注目ですね。

 リムジンのパワーウインドウがぶいーんと開いて、そこからミッチーが!だった予告編観ました。うーん、まあまだようわかりませんなあ。『不夜城』はまずまずの失敗作だったので、今作には期待してるのですが。

 9月8日、原作読了。三分の一程読み進んだ時、突如、オレは強烈なデジャ・ヴに襲われた。突如……とは正確ではないかも知れない。あるいは、読みはじめた時から、オレはすでにその気配を感じ取り続けていたのかも知れない。……覚えがある。この小説は、どこかで読んだ記憶がある……!

 ……っていうかさ〜なんか全部『不夜城』と一緒じゃねえ、これ!? 主人公を中国人と日本人の「半々」からブラジル人と日本人の「あいのこ」にしただけで、テーマもキャラクターも舞台設定もほとんど変わらないように思うんですが、気のせいでしょうか。むしろ、主人公が非情さを増した分、対抗するかのように凶悪さを増した悪役のキャラクターが、残忍すぎるぐらい残忍で人間味無し、なんか記号みたいなキャラに感じました。より救いが無くなった『不夜城』『不夜城3』『ブラジル版不夜城』ですかね。三分の一で飽き、半分で辛くなり、後半は惰性で読んでました。緊迫感と疾走感は十分ですし、つまらないという感じはしないのですが、どうにも物足りない。『不夜城』を読んだ時はかなりのショックを受けたのですが、今回は全くインパクト無し。臭い言い方をするなら、「僕はもう「馳星周」と言う名の刺激に、飽いてしまったのだろうか……?」

 さてさて、11月30日、観てきました。原作との相違点はとりあえずあり過ぎるぐらいあります。いちいち挙げる気がしません。キャラクターの設定も、名前が共通なぐらいで根こそぎ変わっています。ヤクザ伏見(吉川晃司)と中国人マフィア高(及川光博)、ブラジル人と日本人のハーフであるマーリオ(TEAH)の三つ巴の対決なんですが、いきあたりばったりでコロコロと変わる、でもその割に先読みがしやすい展開が原作と共通なため、どうにも盛り上がりに欠けます。冒頭、いきなりミュージッククリップ風にスタートする映像など、嫌いではないんですが、予告編であった某アクション映画のパロディである闘鶏シーンなど、面白いっちゃあ面白いのですが、褒める気がしない。「シュールやろ?」「おもろいやろ?」「かっこええやろ?」と言われているようで、どうもわざとらしく、映像の不条理さが生きていないように思いました。寒いとすら言えるギャグがあるのも、わざとなんでしょうか……? 全然ラブストーリーではないし、冗談そのものの映画です。安い……。

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『トワイライトシンドローム THE DIGITAL MOVIE』

(原作『トワイライト・シンドローム』ヒューマン、Spike制作
監督 舞原賢三
出演 酒井若菜

2000年11月23日関東公開 (原作未プレイ)(未見です)

 カルト的人気?を誇るPS用ソフトが映画化されます。続編に『ムーンライト・シンドローム』など。『ムーンライト』は手をつけたことがあるのですが、なんかようわからんかったので、投げ出してしまいました(あかんがな)。ホラー要素あり? 

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洋画作品

『ボーン・コレクター』

(原作『ボーン・コレクター』ジェフリー・ディーヴァー)
監督 フィリップ・ノイス
出演 デンゼル・ワシントン アンジェリーナ・ジョリー

公開済み (原作読了済み)(鑑賞済み)

 なかなか前半の屍体発見シーンなど、ほぼ完璧と言えるぐらい原作を再現して、がんばってます。……が、後半息切れ。デンゼル・ワシントンはかっこいいんですが、原作のキャラクターの面白さと熱さが生かせてませんでした。3分の1ぐらいにスケールダウンしてます。おいしいシーン、たくさんあったのに……。原作を読んだ人は観なくていい映画。観るならあとで原作を読みましょう。実は映画と原作では後半の展開と犯人が全然違うので、どっちが先でもネタバレにはなりません。

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