2001年読了本リスト(毎月初め頃に更新)
今年読んだ本のリストです。
夏頃から読書量が減る見通しとなったので、今の内にたくさん読んでおきたいところ。
今月は実に何気なく「今邑彩強化月間」。……が、強化しきれず。本格、ホラー、どちらも乗れませんでした。『蛇神』『翼ある蛇』のシリーズも、えらく尻切れとんぼで続編が待たれます。しかし途中に延々と評論が続いたのには閉口。
密かに続いていた藤木稟の強化も、ほぼ終了(未読は『イツロベ』のみ)。『スクリーミング・ブルー』は良かった! 僕も沖縄に行きたいです。
今頃ようやく読んだ『リング』三部作。一作一作はいいんですが、シリーズ通しての整合性は無茶苦茶で損をしてます。『ループ』なんか単体のネタは面白いんですが、これは叩かれるわけだ。作者自身が後書きで、シリーズ化は考えてなくて行き当たりばったりだったと言ってますが、大して面白くもない高山竜司というキャラクターを設定をころころ変えてまで引っ張る必要があったのかは、甚だ疑問。『バースデイ』も読んだ方がいいのかなあ。
『亡国のイージス』もとうとう読んでしまいましたが……冒頭15ページで泣きました。熱い! また「俺の任務だ」とか言ってるし……。これでもかこれでもかという見せ場の連続には興奮。シミュレーション好きは必読。ややキャラクターが前2作と被ってるのが気になりますが、そろそろ新しいタイプの主人公も書いて欲しいですね。
2月の読了本
風邪ひきにつきペースダウン。
ホラー・サスペンス大賞受賞作『そして粛清の扉を』、非常につまらなかった。反社会的なテーマを描くにはまったく書き込み不足ですし、キャラクターの心理や行動も納得がいくものではなく、設定は御都合主義。取ってつけたようなどんでん返しも含め、ハリウッド製の出来の悪いサスペンス映画のようでした。
小林泰三も2作読みましたが、どっちも『玩具修理者』より遥かに面白いではないですか。いいなあ、馬鹿馬鹿しくて。全然怖くはないんですが。
今年中に完成予定の『御手洗潔強化プロジェクト』ついに発動! 何気なく『挨拶』を読んだら……かっこいいじゃないか! え〜実は私、ギターなどの楽器を弾くキャラにすごく弱いのです。御手洗がジャズ演奏やるシーンで惚れてしまいました(笑)。これからどんどん読むぞ〜。
ようやく古本屋で手に入れた『ディール・メイカー』、これも今月はヒット。人気キャラクター「クマのデニー」(プーさんのようなものですな)の著作権をめぐる、企業同士の知略戦……と一見地味でなおかつ馴染みの無い世界が描かれるのですが、著者お得意のポップな作風と、多大な情報量をリズム良く書き込んで蘊蓄の垂れ流し的作品に仕上げていないところが素晴らしい。
3月の読了本
ペースダウンと言いつつもせこせこと読んでますが、全然図書室は更新していないのでした。
ひたすら痛快『神聖喜劇』。なかなか話も読むのも進みませんけど、ぼちぼち行くとします。第二部も笑った笑った。なんだよ、「剃毛」って……。
『彷徨者アズリエル』、なかなか派手な話で面白い。しかしライス作品の吸血鬼や幽霊は弱点がなさ過ぎでやたらと強い。僕もこれなら幽霊になってもいいです。延々と一人語りが続くいつもながらの構成は、キャラが立ってこない序盤はいささかしんどいですが、後半は楽しめますね。
とうとう読んでしまった『西条秀樹のおかげです』。短編なのにオチが無い作品があるのが気になるなあ。まあポルノですから……(笑)。やはりあまり長篇向きの作家とは思えず。今月の初読みは城平京。『名探偵に薔薇を』面白い! サイン欲しいな……古本だからもらうの悪いな……。
辛うじて20冊越え。復活傾向ですな。
今月の初読み作家その1、谷甲州。嗜虐と倒錯のSFバイオサスペンス『エリコ』……う〜ん、あんまり倒錯してませんでした。近未来の大阪や上海が舞台なのですが、雰囲気不足。主人公が己のクローンと寝たりするのは面白いが、やってる事もセックス観も、あまりにノーマルだなあ。
その2、瀬川ことび。『厄落とし』、表題作よりも収録されている『テディMYラブ』には腹を抱えて笑いました。ちょっと可哀想だけど……(笑)。軽い作風で楽しいので、他のも読むとしよう。
あとはお馴染みの作家のみ。今月のヒットは『ハムレット狂詩曲』。著者には珍しく爽やかで後味の善いミステリ。無学な私は、ちょっぴりハムレットがわかったような気分になりました。トリックや展開には疑問があるが『ROMMY』には泣けた! 純愛バンザイ!
最近映画化された『クリスマス・イヴ』、しかしこれはつまらなかった。ここまで展開にもキャラクターにもひねりがないとな……。やはり綾辻行人『殺人鬼』シリーズは傑作だ。クラニーの『サイト』も期待外れ。同じような文章の反復はつらいです。短編でいいネタでは……? 『四重奏』は最後で驚いたから、まあいいや。
服部まゆみや若竹など、いつも後味の悪いものを書く作家の作品が比較的さわやかで喜んでいたのもつかの間、山風先生『忍法女郎屋戦争』が! 後味悪う! いつもはグロい話が妙に爽やかに終わるのに……。
5月の読了本
今月は26冊。好調好調。しかし読んでる作家はいささかマンネリ気味。
今月の初読み作家その1、ミラロド・パヴィチ。いきなりおかしなものを読んでると言われそうですが借り物なので。『ハザール事典』なかなかファンタジックで面白かった。ぎりぎりミステリの範疇か?
初読み作家その2、柄刀一。作家本人がイベントで京都に来るから読んだのだが、まあこんなことでもなければ一生読まなかったかもしれない。2冊読みましたがいまいち面白くなかったんですが……しかしこれ以降の時期の作品は傾向ががらりと変わるそうな……それも読んでみないとね。
贈呈本の余りを著者御本人にいただいてしまった『スパイラル』、やっぱりチャンバラミステリって最高だね。そういえば『魔界転生』の対決シーンなども、こういった理詰めの対決が繰り広げられていたのを懐かしく思い出す(って毎年一回は読み返してるのだが)。
久々登場、『十二国記』。小野不由美はやはり熱い。しかし今回は本当に前振りだけという感じでしたが、これからは待たせないでくれよ。会話シーンがやや多すぎたように感じたのもちょっとマイナス。お馴染みのキャラだから読んでて楽しいが、ノンシリーズだとちょっとうっとうしかっただろう。各国の麒麟が使令軍団を展開して共同戦線、とかそういうあたりは非常にかっこいいのだから、これをもっとやってくれ!
6月の読了本
今月は23冊……しかし職場が変わったので、こんなに読めるのも今月が最後でしょう……(遠い目)。
今月の初読み作家は四人。噂の『建築探偵』シリーズを敬遠していたために今まで読んでいなかった篠田真由美ですが、なんか喰い足りない。なぜだろう? もう少し読んでみればいいのでしょうが、その気にならず……。
新刊『夜のフロスト』発売に合わせて読んだ第一作、『クリスマスのフロスト』ウィングフィールド。最初に聞いていたほど下品でもなく、厚さのわりにはサクサクと読めました。しかしハリウッド映画によくあるバディ物が好きな人間としては物足りない。主人公であるフロストとコンビを組む部下の刑事のキャラクターが弱すぎて対比になっていないのがちょっと惜しい。
続いて『妖都』。これはヒットでした。柴田よしきの『ゆび』も良かった。東京という都市を舞台にしたパニックホラーというくくりにしてしまうと乱暴ですが、どちらも好み。
山田風太郎もミステリを読むのは『妖異金瓶梅』を除くと初めて。この著者の書く物は、根本のテーマに純愛がある事が多いように思いますが、やはりミステリは一方が一方を殺す話なので、そっち方面では「片思い」になってしまうところが切ない。忍法帖は殺し合いやるから「両思い」なんですよね。
他にも期待していなかった作品がヒット続きで、今月は実に充実してました。『イツロベ』『蘭月闇の契り』『今はもうない』なども当たり。後の2作は著者の他の作品がそれほど好きでなかっただけに、見直しました。
『神聖喜劇』もようやく読了。二月終わりから読んでましたが、一気に読んでしまうのはやはりもったいないです。キャラ萌えばっかりしてしまいましたが(生源寺しぶいよね〜とか)、ひたすら痛快で終始楽しく読みました。ラストは切ないですが……。
7月の読了本
今月は12冊……やっぱりがた落ち……。
次の『幻想文学』に特集記事が載るらしい『ΑΩ』、これ最高! 著者お得意のスプラッタゾンビホラーな第一章、いきなりハードSFでイマジネーション不足な僕にはついていけません第二章、そして第三章で取りあえずついたオチ……くそっ、延々前フリやったんはこれがやりたかったからかい! やはり小林泰三は果てしなく邪悪だ……。著者ベストワンに推したいです。
映画『トゥルー・ロマンス』を思い起こさせるラストな『倒錯の庭』表題作、全編が作者の願望にあまりにも忠実?
『イツロベ』を読んでると倍面白い、『テンダーワールド』。しかしなんちゅう大風呂敷なのだ……いつ終わるんでしょうか。サービス精神旺盛なのはいいんですが、『朱雀』シリーズほど舞台設定のムードが出てないのがもったいない。
8月の読了本
今月は9冊か……なんかの冗談のようだな……。
やっぱり熱い酒見賢一、やっぱりエリート主義者?な恩田陸、どうしてパニックものだとドリフになるのか若竹七海、猫好きだから一応読みました柴田よしき、ガンダム好きには面白かった福井晴敏、しかし今月は特筆すべき事もなし……かな……。
わーい、16冊!
今まで名古屋という都市をちょっとバカにしてましたが、『少年たちの密室』を読んで考えを改めました。すいません、僕が悪うございました。『美濃牛』も読んで、今月はやや本格づいてたような。森真沙子『青衣童子』も前作『朱』に続いてヒット。薄いよな……もっと大作にすればもっと面白かろうに。
とうとう発売された『忍法創世記』が期待に違わぬ面白さで大満足。どうしてこれがいつまでも出版されなかったんでしょうね。
貫井徳郎『神のふたつの貌』、途中まではめちゃめちゃ面白かったのですが、サプライズは想像通り。またも「だから何?」のパターン。早乙女のキャラクターをもう少し外から追った視点があった方が、良かったんじゃないかな。
10月の読了本
ずいぶん冊数が少ないが、比較的分厚い本ばかり読んでいたせいだろう(言い訳)。
昨年の『処刑の方程式』以来ひさびさのマクダーミド。『殺しの……』シリーズがほったらかしなのが気に入らないが、今回も緻密な書き込みは健在。作中作なんてものも挿入し、どんどん上手くなってる印象があります。リンカーン・ライムものの続編はディーヴァー、これを読んで『処刑の方程式』もちょっと思い出しました……ってややこしいな。相変わらず文句たれの車椅子の先生が最高です。
新人賞デビューの二作、『脳男』『スリル』どちらもそれなりに面白く読めましたが、どうも読み手に想像の余地がないぎりぎりさ加減、世界観の奥行きのなさが好きになれない。これは新人ゆえの余裕のなさでしょうか?
11月の読了本
16冊読了。なかなか健闘してます。これで200冊読了のめどは立ちましたね。
職場であらすじをしゃべったらずいぶんうけた『生ける屍の死』、同じくタイトルがうけていた『月曜日の水玉模様』、相変わらず職場でばかり読んでます。山口雅也は初読みでしたが、なかなかの面白さ(オールタイムベストというほどの物かと言うとちょっと疑問ですが……)。加納朋子は好きで読んでますが、この毎回の爽やかさはただ事ではない。きっと作者は悪魔のような人間に違いない。
あやうく著者ベスト1を奪取しかけた『トニオ、天使の歌声』、主人公のキャラクター像とホモテイストの全開ぶりにくらくら。復讐物って最高だね。アン・ライスはこんな作品も書けたのか、と感心することしきり。イメージと路線を固定化した『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』の功罪とは。
『夜想曲』にはかなりやられました。ダラダラした文章と、ネタのためにわざとやってるとおぼしき中途半端な描写、読んでる最中に何度も放り出しそうになりましたが、我慢して読むとそれらにも本格的に意味があった事がラストに発覚! そうかそうか、こういうわけがあったのか、なるほど……でも二度と読まん。
12月の読了本
なんとか200冊超えました。来年はもっと減りそうですが……。
『快楽殿』はかなりヒット。近年のホラーブームにのっかって、森真沙子はどんどん面白くなってますね。『三人のゴーストハンター』も良かった。こいつらも来年が楽しみです。
『薔薇の環』はまさに時代を超えた傑作。やはりたまには古い作品も読まんとな……。