日本の学校地図教科書にみる北方領土
昭和9年発行 帝国書院 中学校社会科地図帳(帝国の部)
(昭和9年9月12日発行)
この時代は、千島・南樺太は日本の領土だったので、そのように記載されている。
北海道と国後島の間、歯舞と色丹の間に点線がある。歯舞は根室に属し、国後・択捉・色丹は千島に属している。
択捉島は明白に千島列島に該当している。
昭和13年発行 帝国書院 中学校社会科地図帳 改定 新選詳図(帝国の部)
(昭和13年2月28日 文部省検定済 師範学校・中学校・高等女学校・実業学校地理科 昭和12年6月23日発行 昭和13年2月17日訂正再販発行)
昭和9年発行のものと同じ図です。
昭和21年11月初版印刷、昭和23年11月第8版発行 帝国書院 新日本地図
(中等学校生徒の学習参考書)
この地図では、北方領土はソ連の領土になっている。
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北海道地図の一部 クナシリ島は日本から省かれている。 水晶島が日本の領土のようになっている |
日本の位置を示す図 |
左の図の北海道近辺の拡大 北方領土や樺太は日本ではない |
この地図では、北方領土はソ連の領土になっている。
樺太・大陸間を『タタール海峡』としている。
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日本および周辺図が色塗りされています。 樺太・千島は北方領土を含めてソ連の領土になっています。 朝鮮は独立してハーヌ民国になっています。 クリックすると画像を拡大します |
アジア主要部地図の一部です。 全樺太、全千島はソ連領になっています。 クリックすると画像を拡大します |
北海道地図の一部です。 クナシリ島や歯舞諸島は外国になっています。 クリックすると画像を拡大します |
昭和27年発行 帝国書院 中学校社会科地図帳
(昭和27年7月30日 文部省検定済 中学校社会科用 昭和27年11月29日発行)
この地図では、クナシリ・エトロフ・色丹島はソ連の領土になっている。昭和25年発行の教科書と、大きな違いはない。
上の右側の地図では、クナシリ・エトロフ島はソ連の領土、ハボマイ・シコタン島は日本の領土になっている。
左図は、一部を拡大表示したものです。
昭和30年発行 日本書院 高等地図(高等学校社会科地図帳)
(昭和28年8月5日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和29年8月20日改定 昭和30年2月8日発行)
この地図では、北方領土はソ連の領土になっている。ただし、千島に国境線が描かれていない地図もある。
択捉島はクーリル(千島)列島に該当している。
樺太・大陸間を『タタール海峡』としている。
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国別色塗り図を見ると、クナシリ、エトロフ島がソ連の領土になっていることが分かります。 クリックすると画像を拡大します。 |
左の図を拡大したもの。 印刷がずれているけれど、エトロフ島・クナシリ島にはソ連と同じ薄茶色の網目模様が塗られています。 クリックすると画像を拡大します。 |
昭和38年発行 日本書院 高等地図(高等学校社会科地図帳)
(昭和37年4月20日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和38年2月8日発行)
この地図では北海道・千島列島・樺太に日ソの国境線は書かれていない。現在韓国との間で領有権争いがある竹島は書かれているが国境線はない。
択捉島は千島列島に該当している。
樺太・大陸間を『間宮海峡』としている。
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日ソの国境線は描かれていない。竹島が書かれている地図があるが、日韓の国境線はない。 クリックすると画像を拡大します |
昭和39年発行 日本書院 最新高等地図(高等学校社会科地図帳)
(昭和38年4月20日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和39年2月8日発行)
この地図では北海道・千島列島・樺太に日ソの国境線は書かれていない。現在韓国との間で領有権争いがある竹島についてもかかれていない。
択捉島は千島列島に該当している。クナシリ・エトロフなどは「北方領土」ではなくて「南千島」となっている。
樺太・大陸間を『間宮海峡』としている。
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地形図。クナシリ・エトロフは南千島と記されている。 クリックすると画像を拡大します |
ソ連図 日ソ国境線は書かれていない クリックすると画像を拡大します |
ユーラシア図 日ソ国境線は書かれていない クリックすると画像を拡大します |
北海道地方図。 日ソの国境線は描かれていない。 クリックすると画像を拡大します |
昭和41年発行 帝国書院 新詳高等地図(高等学校社会科地図帳)
(昭和37年4月20日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和41年3月25日発行)
この地図では、千島列島と樺太に国境線が描かれていない。日本・ソ連どちらの領土であるのか、分からない。
択捉島は千島(クーリル)列島に該当している。
樺太・大陸間を『間宮海峡(タタール)』としている。
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ソビエト連邦地図の一部。 千島・樺太に国境線は描かれていない。竹島を日本の領土としている。 クリックすると画像を拡大します |
北海道地図の一部 クリックすると画像を拡大します |
北海道地図の一部(左図の千島図部分) 千島に国境線は描かれていないが、カムチャツカと占守島の間に赤い線がある。赤い線は凡例によれば、県境に該当するが、どのような意味だろう。 クリックすると画像を拡大します |
昭和42年発行 二宮書店 高等地図帳(高等学校社会科地図帳)
(昭和41年4月11日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和42年1月15日発行)
この地図では北海道・千島列島・樺太に日ソの国境線は書かれていない。現在、韓国との間で領有権争いがある竹島は日本の領土になっている。
択捉島は千島列島に該当している。
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日ソの国境線は描かれていない。竹島は日本の領土になっている。 クリックすると画像を拡大します。 |
昭和44年発行 日本書院 詳蜜高等地図(高等学校社会科地図帳)
(昭和41年4月11日 文部省検定済 高等校社会科用 昭和44年2月8日発行)
この地図では北海道・千島列島・樺太に日ソの国境線は書かれていない。現在、韓国との間で領有権争いがある竹島は日本の領土になっている。
択捉島は千島列島に該当している。
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日ソの国境線は描かれていない。竹島は、日本領になっている。 クリックすると画像を拡大します |
昭和48年発行 帝国書院 中学校社会科地図帳
(昭和46年4月10日 文部省検定済 中学校社会科用 昭和48年3月25日発行)
この地図では、北方領土は日本の領土になっており、さらに、千島列島と南樺太はソ連領ではないようになっている。この記述は、昭和46年から現在まで義務付けられており、これ以外の記述は教科書として認められない。
択捉島は千島(クーリル)列島に該当しないようにも読める書き方となっている。
樺太・大陸間を『間宮海峡(タタール)』としている。
(参考)
最近の、日本の中学校教科書でも、北方領土がロシアの領土になっている地図がある
日本の教科書検定では、北方領土が日本の領土であると書くことを強制している。このため、日本の教科書には、北方領土がロシアの領土であるように書かれた地図は存在しないことになっている。しかし、厳密には、必ずしもそのようになっているわけではない。
外国の地図を引用する形で、北方領土がロシアの領土であるように書かれた地図が掲載されている教科書が存在する。
平成17年発行 わたしたちの中学社会 地理的分野 日本書籍新社
P5 世界の地図のいろいろ
このページに、日本以外の国で発行された地図が幾つか紹介されている。この中の、ペルシャ語で書かれた地図(イラン)では、北方領土がロシアの領土になっている。