一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部に提出した北方領土問題についての調書


この資料は、日本政府は公開を拒んでいます。しかし、オーストラリア公文書館で発見され、内容が明らかになっています。日本の北方領土要求に致命的な打撃を与える可能性があります。



 日本は平和条約を締結するに当たって、日本政府の立場を説明するために、日本は米国に対して36冊に及ぶ資料を提出、日本の立場を説明している。1946年11月作成の「千島列島・歯舞・色丹」、1949年1月作成の「樺太」、1949年4月作成の「南千島・歯舞・色丹」の3冊が、樺太・千島を扱ったものである。(『日本外交史27 サンフランシスコ平和条約』 西村熊雄/著 鹿島平和研究所/編 鹿島平和研究所出版会 1971)
 現在これらの資料を日本政府は非公開としているが、1946年11月作成の「千島列島・歯舞・色丹」は、1996年にオーストラリア公文書館で発見された。この資料によると、日本政府は、国後・択捉をクリール列島に含めいる。1956年以降、日本政府は、北方領土はクリール列島に含まれないと説明しているが、発見された資料によれば、日本政府の説明は完全な虚偽であることが分かる。
 このように、既に明らかとなってしまった資料であるが、日本政府は、内容についての確認を拒んでいる。



 一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部外交局に対して、“Minor Islands Adjacent to Japan Proper. Part I. The Kurile Islands, the Habomais and Shikotan"(『日本本土に隣接する諸小島。第一部、クリル列島、歯舞群島及び色丹島』)という英文の本文十頁、巻頭地図二葉、末尾付図七葉の調書を提出した。

 以下は、1996年にオーストラリア公文書館で発見された資料の一部。

(クリックすると画像を拡大します)


図の出典:『サンフランシスコ平和条約の盲点』 原貴美恵/著 渓水社(2006.6.10)



<参考>


平成十八年二月十五日提出 質問第七二号

一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部に提出した北方領土問題についての調書に関する質問主意書
提出者  鈴木宗男

--------------------------------------------------------------------------------

一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部に提出した北方領土問題についての調書に関する質問主意書

一 一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部外交局に対して、“Minor Islands Adjacent to Japan Proper. Part I. The Kurile Islands, the Habomais and Shikotan"(『日本本土に隣接する諸小島。第一部、クリル列島、歯舞群島及び色丹島』)という英文の本文十頁、巻頭地図二葉、末尾付図七葉の調書を提出した事実があるか。
二 一の調書において、「エンサイクロペディア・ブリタニカ」並びにリッピンコットの「世界地図」では、色丹島はクリル諸島に含められているとの趣旨の記述があるか。
三 一の調書において、近年、日本ではクリル諸島が北部、中部、南部の三つに分けられ、南クリル・グループは国後、択捉、色丹を含んでいたが、歯舞群島はクリル諸島には含まれていないとの趣旨の記述があるか。
四 一の調書は一九四六年十一月時点での政府の公式の立場を反映したものか。

 右質問する。


平成十八年二月二十四日受領 答弁第七二号

  内閣衆質一六四第七二号  平成十八年二月二十四日

内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部に提出した北方領土問題についての調書に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

--------------------------------------------------------------------------------

衆議院議員鈴木宗男君提出一九四六年十一月に外務省が連合軍総司令部に提出した北方領土問題についての調書に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 御指摘の調書の存否を含め、平和条約の締結に関する交渉(以下「交渉」という。)の内容にかかわる事柄について明らかにすることは、今後の交渉に支障を来すおそれがあることから、外務省としてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号)にいう千島列島とは、我が国がロシアとの間に結んだ千八百五十五年の日魯通好条約及び千八百七十五年の樺太・千島交換条約からも明らかなように、ウルップ島以北の島々を指すものであり、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島は含まれていない。



北方領土問題の先頭ページへ   北方領土問題関連資料のページへ