このページは、以下の書籍からの抜粋です。
  日ソ基本文書・資料集 茂田宏 他編 世界の動き社 1988/11



米国代表ダレスの演説  -抜粋-

(一九五一年(昭和二六年)九月五日  サンフランシスコ会議における発言)



第一章は、戦争状態を終了し、日本国民の完全なる主権を認めるものであります。その認められた主権は「日本国民の三権」である点に注意しましょう。日本主権の領域はどうでしょうか。第二章においてそれを取扱っております。日本は日本に関する限り六年前現実に実施されたポツダム降伏条項の領土規定を正式に承認しております。
ポツダム降伏条項は、日本及び連合国が全体として拘束される平和条項の定義のみを規定しております。若干の連合国の間には若干の私的了解がありましたが、日本も又他の連合国もこれらの了解に拘束されたのではありません。従って、本条約は、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びその他の諸小島に限られるべきことを規定した降伏条項第八条を具体化しております。第二章第二条に包含されている放棄は、厳格に且つ慎重にその降伏条項を確認しています。第二条(C)に記載された千島列島という地理的名称が歯舞諸島を含むかどうかについて若干の質問がありました。歯舞を含まないというのが合衆国の見解であります。
しかしながら、もしこの点について紛争があれば第二十二条に基いて国際司法裁判所に付託することが出来ます。若干の連合国は、第二条はポツダム条項に従って単に日本国の主権の境界を定めるばかりでなく、旧日本領土の一つずつの最終的処分を明確に規定すべきであると提案しました。こうすれば領土の処分は明らかにもっと整然としたものになったでしょう。しかしながら、この提案は、現在一致した回答の得られない色々の問題をひき起したことでしょう。私達は、ポツダム降伏条項に基づいて講和を日本に与えるか、然らずんば日本が放棄する用意があり、且つ、放棄することを要求されているものを如何に処分すべきかについて連合国が争って居る間日本に講和を拒否しなければなりませんでした。賢明なる道は、日本に関する限りこの条約以外の国際的解決策に訴えることによって疑点の解決を将来に残して今進むことであることは明らかでありました(以下省略)

(外務省サンフランシスコ会議議事録)



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