千島の定義


平成十七年十月三十一日提出
質問第五四号

「千島」の表記に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男


「千島」の表記に関する質問主意書


一 千島の定義如何。
二 千島列島の定義如何。
三 南千島の定義如何。
四 北方四島は千島列島に含まれるか。
五 外務省作成冊子「われらの北方領土―二〇〇四年版―」資料編十九頁に一九五一年九月八日付サン・フランシスコ平和会議における吉田全権大使の発言から「日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後両島が日本領であることについては、帝政ロシアもなんら異議を挿さまなかったのであります」との文言が収録されているが、右文言は吉田全権大使が国後島、択捉島を千島の一部と認識していたことを示すものではないか。
六 五の資料を外務省はどのような意図をもって掲載しているのか。
七 北方四島返還運動において、日本政府が誤解を招きやすい「千島」、「南千島」という用語を用いないようにと指導した事実はあるか。
八 社団法人北方領土復帰期成同盟と外務省はどのような関係にあるか。
九 過去に社団法人北方領土復帰期成同盟で不適切な経理が行われ、使途不明金が発生したことがあるか。これに対して外務省はどのような対応をとったか。
十 外務省作成冊子「われらの北方領土―二〇〇四年版―」三十四頁に「二〇〇三年十一月、北方領土返還運動の統一的なシンボルとして、北方四島に分布する『千島桜』が社団法人北方領土復帰期成同盟により選定され、リーフレットやステッカー等の各種啓発資料に使用されています」との文言とローマ字で「CHISHIMAZAKURA」との表記がなされた図画が収録されているが、これまで北方四島返還で誤解を招く恐れがあるとして使用しなかった「千島」の呼称を突然用いるようになった真意はどこにあるのか。

 右質問する。


平成十七年十一月四日受領
答弁第五四号

  内閣衆質一六三第五四号
  平成十七年十一月四日

                         内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員鈴木宗男君提出「千島」の表記に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員鈴木宗男君提出「千島」の表記に関する質問に対する答弁書


一から五まで及び七について

 日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)にいう千島列島とは、我が国がロシアとの間に結んだ千八百五十五年の日魯通好条約及び千八百七十五年の樺太・千島交換条約から明らかなように、ウルップ島以北の島々を指すものであり、北方四島は含まれていない。国後、択捉の両島につき「南千島」ないし「千島南部」と言及した例が見られることと、千島列島の範囲との関係について述べれば、例えば、昭和三十一年二月十一日の政府統一見解もこれら両島が、樺太・千島交換条約に基づく交換の対象たる千島として取り扱われなかったこと、及びサンフランシスコ平和条約にいう千島列島に含まれないことを確認している。
 なお、昭和三十九年の外務事務次官発関係省庁あて公信において、国後、択捉の両島を「南千島」と呼ぶことは、無用の誤解を招くおそれがあり、北方領土問題に関する我が国の立場上好ましくないため、「南千島」との用語の使用を避けることが適当であるとしている。

六について

 お尋ねについては、事実関係を掲載したものである。

八について

 社団法人北方領土復帰期成同盟は、昭和四十年四月に外務大臣の許可を得て設立された社団法人である。

九について

 社団法人北方領土復帰期成同盟については、御指摘のような事実があり、外務省としては、主務官庁として監督指導を行った。

十について

 「千島桜」という植物の種名を用いたものである。



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