「固有の領土」とはどういう意味か
平成十七年十月二十八日提出 質問第三九号
南樺太、千島列島の国際法的地位などに関する質問主意書
提出者 鈴木宗男
南樺太、千島列島の国際法的地位などに関する質問主意書
一 固有の領土の定義如何。
二 竹島は日本国固有の領土か。
三 尖閣列島は日本国固有の領土か。
四 北方四島は日本国固有の領土か。
五 千島列島は日本国固有の領土か。
六 日本国が一九〇五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部(以下、「南樺太」という)は日本国固有の領土か。
七 領土問題の定義如何。
八 竹島を巡る領土問題は存在するか。
九 北方四島を巡る領土問題は存在するか。
十 尖閣列島を巡る領土問題は存在するか。
十一 「南樺太」と千島列島はロシアの主権下に置かれているとの立場を政府はとっているか。
十二 外務省が発行する「われらの北方領土―二〇〇四年版―」資料編七十一頁には、二〇〇一年一月二十九日に在ユジノサハリンスク総領事館が開設された旨記されている。この関連で、十一に対する回答が、「南樺太」と千島列島はロシアの主権下に置かれているとの立場を日本政府はとっていないという場合、「南樺太」のユジノサハリンスクに日本国が在外公館を設置するということは、日本国が「南樺太」がロシアの主権下に置かれているということを承認する効果をもたらすのではないか。
平成十七年十一月四日受領
答弁第三九号
内閣衆質一六三第三九号
平成十七年十一月四日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員鈴木宗男君提出南樺太、千島列島の国際法的地位などに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員鈴木宗男君提出南樺太、千島列島の国際法的地位などに関する質問に対する答弁書
一について
政府としては、一般的に、一度も他の国の領土となったことがない領土という意味で、「固有の領土」という表現を用いている。
二について
竹島は、我が国固有の領土である。
三について
尖閣諸島は、我が国固有の領土であり、現に我が国はこれを有効に支配している。
四について
択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の北方四島は、我が国固有の領土である。
五及び六について
我が国は、日本国との平和条約(昭和二十七年条約第五号。以下「サンフランシスコ平和条約」という。)に基づき、千島列島及び我が国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部等(以下「南樺太」という。)に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、千島列島及び南樺太は、我が国の領土ではない。
七について
政府としては、一般的に、他国との間で解決すべき領有権の問題という意味で、「領土問題」という表現を用いている。
八について
竹島をめぐる領土問題は存在する。
九について
北方四島をめぐる領土問題は存在する。
十について
尖閣諸島をめぐる領土問題は存在していない。
十一及び十二について
ユジノサハリンスクを州政府所在地とするソビエト社会主義共和国連邦及びこれを承継したロシア連邦の行政区画であるサハリン州は、我が国企業が参加する大規模資源プロジェクトの実施等により多数の邦人が進出する等、邦人保護等の領事事務の必要性が高まっていた。政府としては、我が国がサンフランシスコ平和条約に基づき、千島列島及び我が国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した南樺太に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄しており、その帰属についての見解を述べる立場にないこと、我が国がこれらの地域についてサンフランシスコ平和条約に基づきすべての権利、権原及び請求権を放棄して以降、ソビエト社会主義共和国連邦及びこれを承継したロシア連邦が継続的に現実の支配を及ぼしており、これに対してロシア連邦以外のいかなる国家の政府も領有権の主張を行っていないこと等を踏まえ、千島列島及び南樺太を含む地域を管轄地域とする在ユジノサハリンスク日本国総領事館を設置したものである。
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