1961年10月16日、参議院予算委員会で小坂善太郎外務大臣は、北方領土をソ連が占拠することを、不法占拠と答弁した。




昭和36年10月16日  参議院予算委員会

39-参-予算委員会-4号 昭和36年10月16日

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○岩間正男君 きわめて抽象的な言葉です。そうして難局という言葉は、よくこれはまあ戦時中使われた言葉でありますが、そういう言葉をあなたはまたしておられる。おそらくいろいろ外交、さらにあなたの今当面している一枚看板の経済政策の破綻の問題をさしていられるのだと思うのです。しかし、私はここで言いたいのですが、あなたはいかにも国家や国民の難局というような言い方で言っておりますが、しかし、池田内閣のこれはむしろ難局なのじゃないか、池田内閣がアメリカとの関係でみずから作り出し、しかもみずからそこにはまり込んでいる難局としか受け取れないのです。私はこの点をまあいろいろの点からただしたいと思うのですが、時間の関係から今問題になっている日ソ間の問題についてお聞きしますが、あなたは過般の衆議院予算委員会で社会党河野密氏の質問、つまり領土問題については日ソ両国間では決定できないので、国際会議できめるべきである、こういう質問に対しまして、国際的にきめるのは私は同感です、日本はこれにタッチすべきものではございませんと答えているのでありますが、この義はどういうところにあるのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(池田勇人君) 中、北千島並びに南樺太は日本がサンフランシスコ条約で放棄したのであります。他の国がやる……。

○岩間正男君 あとのほう、よく聞こえなかったのですが、もう一回。

○国務大臣(池田勇人君) 日本は放棄したのでございます。

○岩間正男君 外務大臣、その根拠を、今の根拠をですね、国際会議でなければきめられないと、こう言っている根拠を。

○国務大臣(小坂善太郎君) サンフランシスコ講和条約で日本は北方の領土について放棄したことになっております。それには千島と言っております。千島とはウルップから北の十八の島を言うということは、これは明らかになっております。そのウルップ以北十八の島は日本はこれを放棄しましたけれども、どの国に向かって放棄したということは書いてないわけです。したがって、その帰属は関係国においてきめるというのが筋であると思います。

○岩間正男君 私がお聞きしているのは、国際的にきめるのはこれは必要だと、しかし、日ソの間だけできめることはできないというようなこれは見解をとっていられるのですが、これは終始一貫なんですか。今までの自民党内閣になってからの態度ですか。

○国務大臣(小坂善太郎君) 終始一貫、そういうような態度であります。

○岩間正男君 それでは私はお聞きしたいのです。第二十五国会の日ソ共同宣言批准当時の特別委員会の会議録があります。ここで領土問題に関する政府の統一見解として、はっきり私はこの画院の論議を通じて確立された事項があると思うのです。それは今のような見解じゃないと思う。サンフランシスコ平和条約の条項にかかわらず、領土問題について、日本とソ連が今後交渉を継続し、また、ここでその最終的帰属を決定しても少しも差しつかえない、こういうことをはっきりこれは確認していると思う。これは速記録をあなたも御検討なったと思うのですが、速記録を私も読み、そういう点は、論議を通じてこれは出ています。そうしてこれは重光外務大臣を初めとしまして、政府の関係者が終始一貫してとってきた確定解釈であります。まあ私は時間の関係から、あまりここで例をあげる時間がないのですが、簡単に一、二をあげてみますが、たとえば昭和三十一年の十一月二十四日の衆議院特別委員会において、社会党の穂積七郎氏は、この点について決定的な質問をしています。こう書っておる。日ソ間の領土問題については、日ソ間だけで独自に話し合いをしてきめてよいのか、それとも国際会議を待たなければならないのか、この点についての質問に対しまして、重光外相は、はっきりこう答えています。「条約上のことなら、はっきりお答えをします。これは矛盾はないと私は申し上げる。矛盾はないというのだから、その意味はどうかというと、日ソの間にこの領土の問題について交渉をし、妥結をするということは差しつかえないと私は思います。」これに対しまして、穂積氏はさらにこれを追及して、二つの国の合意にさえ達すれば、それが必要にしてかつ十分なる条件である、こう解釈していいわけですね。念を押しておきます。こういうように追及をしております。これに対しまして、重光外務大臣は、「条約上そう私は解釈して差しつかえないと思います。」明白にこの点を答弁しておるのであります。そうして、このことは単に重光外相だけのこれは答弁ではございません。もっとも重光外相の答弁で十分なわけでありますが、さらにこれを確認するために、そのあとに下田条約局長がその理由を詳細に説明し、またそこにいる林法制局長官が「条約局長の答弁で尽きていると思います。」と、太鼓判を押しておる、そうしますというと、あなたの今の答弁とこれは全く食い違ってくることになるわけですね、この点いかがですか、池田総理にお聞きします。

○国務大臣(小坂善太郎君) 国後、択捉、歯舞、色丹、これはわれわれの固有の領土であります。これが不法に占拠されておる、こういう問題については、これは別であります。放棄した千島・ウルップから北の島については、これは日本は放棄したのでありますから、これは関係国が……、重光さんの答弁を引用されましたが、重光さんは、おそらく関係国の黙示的な了解があれば、その上で関係両国が交渉することはできる、こういうことだと思います。

○岩間正男君 まあこの速記録を見ると、あなたは、当時質問に対して、サンフランシスコ条約と抵触をするのだ、そういうような立場から、反対的な立場で質問をしておられるのだから、今のような答弁をされると思うのでありますけれども、それはほとんど確定的なものです。両院の審議を通じて明白になった点は決して――サンフランシスコ条約の条項にもかかわらず、明白にこれは日ソ間でこれを交渉して決定することはできる。そういうことの見解を明白にとっており、そうして林法制局長官も、そこでそれを念を押しておる。その間に政府側の答弁としては何らのこれは食い違いはなかったはずであります。ところが、今のこの説明を聞きますというと、これは国後、択捉は固有の領土とか……、こういうようなことでこの問題を新たにあなたたちは提起しているのですが、こういう問題についても、これは私はここで論議しようとは思いません。ただ問題は、これを国際条約でなければならないという、こういう政府の見解というものは、当時の二十五国会で明らかにされた政府の統一解釈、そうして全国会がこれを承認して、政府もはっきりそのような方針を堅持してきめてきた問題とは非常に違うのです。この点で私は、当時の全権の一人であり、しかもこの日ソ共同宣言については非常に力のあった河野国務大臣に、一体どのような方針をとっておられたのか。現在これは非常に私は食い違いがあると思うので、この点明確にあなたからお聞きいたしたいと思います。

○国務大臣(小坂善太郎君) 河野大臣がお答えになります前に、ちょっと速記録に関係したことのお話がありましたから、その当時の速記録を読みまして、そうしてあなたの御質問がどうもちょっと問題をはずしていらっしゃるということを明らかにしたいと思います。
 すなわち重光さんは、領土問題を最終的に決定する一番いい方法は、ソ連を含めて各国が集まってきめること、そういう考え方にもしソ連もアメリカも異存がなければそうしたいという意思表示は日本ははっきりさせてきたのであります。さらに下田条約局長は、日ソ間に、日本の主張どおり北方領土をすべて日本に取り返した場合には、サンフランシスコ条約締約国はおそらく黙っているでしょう、こう書っておるのであります。念のために申し上げます。

○政府委員(林修三君) 当時のことは私もよく存じておりますが、ただいま岩間委員のお読みになりましたところだけでなく、全体の速記録をお読み下されば全体の趣旨は出てくると思います。今外務大臣の言われましたとおりの大体考え方で、とにかく四つの島につきましては、これは日本が放棄していないから、日ソ間のもちろん交渉である、北方領土につきましては、これはもちろん連合国側の了解がいるのだということはもう前提としてやっております。ただそれが全部日本に帰属するというような場合に連合国が文句を言うかどうかということについては、今下田条約局長の言った答弁を引用されましたが、そういうことはないと思っております。

○岩間正男君 それは望ましいということを言ったのであって、現実にはそういかなかった。しかも、それなら日ソ間で交渉する道はないかというと、それはサンフランシスコ条約のこれは当事者じゃない、ソビエトは。したがって、日本はサンフランシスコ条約の条項の拘束を受けないで日ソ間で交渉することは何ら差しつかえない。これは何回も重光外務大臣が念を押しておられる、その点なんです。ところが、今日政府の解釈は、これは国際条約でなければできないとはっきり、先ほど申しましたように衆議院では答えておるのです。この点は、今後の日本の外交上日ソ間の問題を処理するためには、私は基本的なこれは重大な問題だと思うので、この点を念を押しておるのでありまして、先ほどのような、これは外務大臣の答弁は、希望としてはこうだと、しかし、そんなことでは政治にはなりませんよ。現実の問題は、はっきりそのような希望が実現できない、そういう態勢の中にあって、なおかつ日本の極東における平和と安全を切り開いていく、そういう態勢からあのような方式がとられ、そうしてしかもそのことは何らサンフランシスコ条約には抵触しない、こういう点では全くこれは一致しておる。あなた自身もなぜそれならこれに対してその当時明確に確認をされたのか。林法制局長官は確認しておる、間違いございません、こう言っております。これは時間の関係で、私は非常に時間が少ないので、この点をほんとうに詳細にすることができないのは残念でありますけれども、これは明白です。河野国務大臣から今の問題はっきり私はお聞きをしたい。あなたはとにかく鳩山内閣の屋台骨をしょっていた大臣でありますから……。

○国務大臣(河野一郎君) 当時私は国後、択捉、歯舞、色丹、この四つの島がわが日本の領土であるということをソ連側に交渉するために、私は鋭意その努力をいたしたのでございます。その他の点は、私も何分外交の問題はよく勉強しておりません。その四つの島を日ソの間において解決したいということで全力をあげて努力したことはまことにはっきりいたしておりますが、他のことについては、あまり記憶が明瞭でございません。

○岩間正男君 あなたは池田内閣の現在閣僚だという立場で遠慮をしておられるかもしれません。しかし、鳩山内閣が国民の多年の要望をになって非常にアメリカの圧迫のもとで、苦しい態勢の中で、しかも極東における平和と安全を切り開く道としてあのような政策を大きく前進されたということは、これははっきり歴史に残る問題であります。これは鳩山さんの功績であり、同時に、河野さん、あなたの功績だと考えることができるのです。ところが、あなたは今その点は明瞭でない、あなたは非常に記憶のいい方だと私は考えているのですが、この点もう一度、せっかく飛行機を延ばしてここに列席してもらって一おるのでありますから、この点もう一度お聞きしたいと思います。

○国務大臣(河野一郎君) 今お答え申し上げたとおりでございます。その当時の外務大臣の重光さんが、政府の考えを速記録に明瞭にしておられる、そのことが一番正しいことでございます。私は今突如としてここにお尋ねをいただきましても、当時の事情については、私の記憶は、歯舞、色丹、国後、択捉、この島についてフルシチョフ氏と交渉する、それに私は全力をあげてやった、それは私は明瞭に記憶いたしております。その他の点については、記憶が明瞭でございません。

○岩間正男君 今、重光外務大臣の答弁が唯一の正しいことだ、こう言われました。そして私はそのことをたくさん例証としてあげることができますけれども、時間の関係から省きます。これは両院の国会議員が、ほとんどの九九%が賛成をしておる。そして両院でほとんど満場一致でもって決定された問題であります。私は念のために、だからあのときの本会議における衆議院の特別委員長の植原悦二郎氏のこれは委員長報告を読んでみたいと思います。こう言っておるのです。「また、桑港条約によって、日本は、千島列島、すなわち国後、択捉を放棄している、それで、将来この島々の帰属を決定する場合、法理論士、連合国会議によってその帰属は決定さるべきものか、または、これに最も関係ある日ソ両国間で決定して、必要があれば連合国の了解を得るということでよいのか、そのいずれであるかとの質疑でありました。それに対して、政府は、これらの島々の帰属は、法理的に日ソ両国間で話し合い決定し、必要あれば連合国と政治的折衝すればよいと考えておるとの答弁でありました。」こういうふうに述べ、これに対して自民党の砂田重政氏は、無条件にこの鳩山全権初め各全権の言明を信頼してこれに賛成すると述べております。また、社会党の松本七郎氏その他のこれは賛成がありました。両院で考えますというと、自民党を初めとして社会党、共産党その他の会派がこれに全く賛成をして、政府国会の意思は全く決定されたのです。私はこのような決定を見るに至った背景には、そこにはソ連との間の戦争状態を一日も早く終結し、アジアの平和と将来にとって重大な日ソの関係を全面的に発展させることを念願する。多年にわたる国民の要望と運動があり、日ソ共同宣言が可決を見たものであります。このような明確な政府の確定解釈、それを承認して批准を可決した国会の意思並びに国民の意思を池田総理は今日否定し、まるで反対の立場に立って、国際会議でなければこの問題は折衝できないという見解に立っておる答弁をしておられるということは、非常に私はこれは国会の運営、さらに国策の一貫性から考えましてもどうかと思うのでありますが、この点いかがでございますか、池田総理にお伺いしたい。

○国務大臣(池田勇人君) 外務大臣のお答えしたとおりでございます。

○岩間正男君 外務大臣の答弁は答弁になっていないと思う、全然。そういう明らかな転換をやるそれだけの理由というものは、何も明らかでない。そうしてあなたたちは、勝手に、今日日ソ共同宣言できめられ、領土の帰属の最終的な決定の問題はあくまでも今後継続する、このやり方に対して、非常にこれは違った方向をとっているのですが、この点いかがですか。

○国務大臣(小坂善太郎君) さっき申したように、連合国の黙示的な了解があれば、領土問題というものが両国間で決定できるであろうという前提に立って重光さんは発言している。そうして条約局長も、先ほど読んだように、日ソ間で日本の主張どおり北方領土のすべてが日本に取り返された場合には、サンフランシスコ締約国はおそらく黙っているだろう、こういう前提のもとにこの議論をしているわけです。
 なお、領土問題の継続審議については、共同宣言の審議についての委員会で、当時の松本全権もこういうことを言っています。共同宣言には平和条約の継続審議ということがあり、領土問題の継続審議ということが出ていないで懸念する向きがありまするが、最初から先方は平和条約の継続審議に異論のないこと、この平和条約の中には当然領土問題の処理を目的とした条項が入るということは先方も十分考えているので、その点については何らの疑問も持っていない。ということを言っております。また、重光さんも、国後、択捉の現在の地位は、今回の日ソ交渉前の双方の主張に返るわけである。主張は一致しないままになるわけであるけれども、これは関係国間で当然調整する、こういう前提に立っているという趣旨を答えております。

○岩間正男君 私は先ほど申しましたように、明白に現実の問題をはっきり切り開く態度で、サンフランシスコ条約とは抵触しないという方針が、あなたいろいろなそういう解釈で違った点で、あなたたちの現在の政策がまるで変えたやり方を合理的に言おうとしますが、これは絶対に納得ができないところです。
 私は、先ほどこれと関連して、あなたの答弁の中に不法占拠という言葉があったわけです。これはどういうことです。この不法占拠の根拠について……。

○国務大臣(小坂善太郎君) 正当な理由なくして占拠しているという意味であります。

○岩間正男君 もっと内容を言って下さい。そんな子供だましのようなものではだめだ。

○国務大臣(小坂善太郎君) 歯舞、色丹については、これはソ連としても日本の領土であることを認めておるわけです。ところが、たまたま、終戦当時に日本の兵営があったということで、そこに進駐してそのままに居すわってしまっておる、これは不法だと思います。国後、択捉についても、これは条約上も固有の領土である。暴力あるいは権力によって奪取した土地ということでないという意味であるならば、この榛太、南樺太並びに北千島についてもそうでございます。中千鳥、北千島についてもそうでございます。しかしながら、国後、択捉はこれは本来固有の領土でございまして、これはカイロ宣言、ポツダム宣言からいっても固有の領土を奪わない、領土拡大を戦勝国も意図しておるのではない、こういうことからいえば、当然占拠する理由はないわけです。しかも、占拠しておるから不法であるというのでございます。

○岩間正男君 河野国務大臣の意見をお聞きします。不法占拠と思いますか。

○国務大臣(河野一郎君) 私が交渉いたしました過程におきまして、今外務大臣が述べられたことはおおむね正しいと、こう思います。

○岩間正男君 これは非常にやはり違ってくるのです。それは日ソ共同宣言が結ばれないうちは、そういう解釈も成り立ったかしれない。しかし、これに対してははっきりやはり同じく審議の中に明確に出ています。下田条約局長はこの点について明確にしています。従来は、戦時占領であったが、日ソ共同宣言発効後はその第一項によって占領状態は終了したので不法占領ではない。歯舞、色丹は九項に引き渡し規定があり、日本は日ソ平和条約締結後は日本に返されることを条件として、それまでの占領を認めている。国後、択捉については、日本はすぐ取り返すという主張をやめて、継続審議で解決するという建前をとっているので、解決がつくまでソ連が占領することは不問に付すという意味合いで、これも不法占拠とはいえない、こういうふうに答弁をしているのですが、この解釈を今日くつがえすのですか。

○国務大臣(小坂善太郎君) 国後、択捉については、松本・グロムイコ書簡の趣旨から見まして、平和条約締結に至るまで継続審議に付せられるものでありまするから、日本の立場としては、領土権は日本に帰属する、ソ連がこれを占拠することは何ら法的に認めていない、こういうことでございますから。他方、この継続審議が終結するまでの間はソ連が占領することは、純粋に法的に突き詰めていけば不法占拠である、こういうことであります。しかし、まあ力関係で実情を黙認している、こういうことであります。なお、北千島及び南樺太に関しては、領土の最終属帰は未定でございますので、わが国としてはこれに対する一切の権利、権原を桑港条約で放棄しておるわけでありますから、ソ連の占領の合法性を否認するかいなかは、桑港条約の締結をいたした当時の連合国の態度によってきまる。

○羽生三七君 関連して。ちょっと疑問の点があるので承りますが、歯舞、色丹、国後、択捉は日ソ間で交渉ができる、それからいわゆる千島といわれる北方領土ですね、これはサンフランシスコ平和条約で放棄しておるから、これは国際会議でと、こういうのですか。千島列島全部、歯舞、色丹、国後、択捉を含めて、これは全部国際会議でと、こう言われるのか。明瞭に分けて、歯舞、色丹、国後、択捉は日ソ間の交渉対象。ソ連が何というか、これは別です。日ソ間の交渉。それ以外についてはサンフランシスコ条約で放棄しているから、これは国際間の話し合いの問題であろう、日本の関知するところではない、こういうことなんですか。

○国務大臣(小坂善太郎君) さようでございます。国後、択捉、歯舞、色丹は、日ソ間の合意があれば決定できる。他の千島と樺太、これはウルップから北の島をいうのでありますが、これは桑港条約で日本が放棄しておる、したがってこれは関係国の会議である、こういうことであります。

○岩間正男君 あなたのさっき読んだのは何ですか。何による……。

○国務大臣(小坂善太郎君) 私の意見でございます。

○岩間正男君 そうじゃなくて、さっき読んだの何ですか。何によったのですか。

○国務大臣(小坂善太郎君) これはわれわれ研究の結果をまとめたものでございます。すなわち、政府の意見……。

○岩間正男君 こういうことではっきりしていますよ。あなたたちはあのとき反対して、おそらく退場した組でしょう。そういう連中がまるで、これに対して今のような解釈。そんな解釈を私は聞いておるのではない。国際法的に明らかになったその根拠について聞いておる。私は、なぜ一体こういう態度を今日政府がとっているか、その一体目的は何か、そのことをお聞きしたいのです。日ソ共同宣言でせっかくアメリカの介入と圧力をはね返して切り開いた独立、平和への突破口をふさいで、そうして領土問題を蒸し返して、これによって立ちおくれた国民層を反ソ反共にかり立てる、こういうねらいでないのか。さらに、ドイツの報復主義者たちがナイセ、オーデルの返還を要求して反動的な民主主義をあおった。それと同じように、このドイツやアメリカのやり方と呼応して、極東でも同じようなことを、同じような条件を作り出そうとしていること、このことこそが池田・ケナディ会談後の池田内閣の外交方針ではないのか、私はこう結論づけざるを得ないと思うのです。そうしてこのことは、日韓会談に対する政府の方針を見れば一そう明らかです。池田内閣は、目下日韓会談を急いでいますが、その理由はわれわれを納得させることのできない危険かつ奇怪なものであります。
 そこで、まず私はお聞きしますが、今回韓国側の首席代表になって日本にくると伝えられている裴義煥氏の経歴について、どんなこれは人物なのか。外務省ではこれを調査したと思いますから、その内容を聞きたい。

(省略)


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