衆議院 外務委員会-4号 昭和31年02月11日 昭和三十一年二月十一日(土曜日)



(省略)

○池田(正)委員 実は私この委員会ははなはだ不勉強で、たまたま参りまして質問を許していただきましたが、野党の諸君の御同情によりまして簡単に質問をさせていただきます。
 まず私からお尋ねいたしたいことは、昨年以来のロンドンにおける日ソ交渉は、回を重ねること二十回、ここで明瞭になって参りましたことは、つまり領土の問題、この日ソ交渉の何と申しましてもポイントであり山となる領土の問題に関しまして、ソビエト側から公式に歯舞、色丹だけは返してもよろしいということを明確にして参りました。ところでけさのロンドン電報によりますと、ソビエト側はこれを返還するという言葉を使わないで、特に譲渡といい言葉を使っておる。このことは、われわれ日本人として、軽く聞き流すわけには参りません。これについて一体外務当局は、譲渡という言葉を使っておるソ連の意図が那辺にあるとお考えになるか、そしてこれでいいのか、このことについて一言お尋ねいたしたいと思います。

○森下政府委員 歯舞、色丹をそういうふうに考えてはおりません。歯舞、色丹は、元来これは歴史的にもそういう何ものもないのでございます。これは北海道の一部とも考えておるのでございますから、断じてさようなことはございません。

○池田(正)委員 政府はつまり譲渡という言葉では承服できない、あくまでも日本の領土であるから、返還を要求するという建前を堅持するというふうに了解いたしてよろしいのでありますね。

○森下政府委員 さようでございます。その通りでございます。

○池田(正)委員 それならば私も了承いたします。
 そこで問題は、わが日本国といたしまして、ソビエトに要求しているのは歯舞、色丹だけではなしに、南千島というものをはっきり要求しておるはずであります。しかるにソビエト側は歯舞、色丹だけ、そして南千島のいわゆる択捉、国後については、何らこれに言及しておらぬ。これに対して政府は、歯舞、色丹だけでがまんしようとするのか、南千島をも返還するのでなければがまんはできない、あくまでもこれを強硬に主張しようとするのか。私はこの際これをはっきりさせておきたい。それは何となれば、国内のいろいろの説を見ますと、いろいろな政治的な意図や、いろいろな角度から、この際は領土問題はあとにして単に国交の調整だけでよろしいのだというような説さえなされておる。従って、これに対して国民は非常に迷っておる。これを明確にするためにも、これはここで今最終的な段階に当って、歯舞、色丹だけは返してもよろしいということを正式にソビエトから回答があった以上は、これに対して日本政府としては、この際――松本君は懸命に、これだけではいかぬということを言っておるようでありますけれども、政府としてこれに対してそれで満足するのか、これでは満足できないのか、この点の政府の決意を明確にしてほしいと思います。

○森下政府委員 お答え申し上げます。これは松本全権の主張を全面的に、かつ強力に支持するものでありますことを、ここにかたく言明いたします。
 それと同時に国後、択捉につきまして、一つここでよく御説明を申しておきます。

○池田(正)委員 ちょっと待ってください。つまり今政務次官の言われるのは、南千島も当然あくまでも要求する、こういう建前に立つということなんでしょう。

○森下政府委員 さようであります。

○池田(正)委員 そこでこの南千島をわが国があくまでも要求する、政府があくまでもこれを堅持していくということについては私も同感なんです。このことについては、当然わが党にいたしましても、党のいわゆる緊急政策として天下に公表してあるところであります。同時にまた政府もこれを強く要求しておるはずなんです。しかるに一体何の根拠に立って、南千島というものをわれわれは強く主張するかということについて、残念ながら一般の国民は実は御存じない。実は驚いたことには、この院内におきまして、社会党の方々は賢明だから御存じであるかもしれませんけれども、わが党の諸君も外務委員会に御出席のこれらの方々はいずれも御存じですけれども、それらに関係のないような方々は御存じない。言論界の方々も、きょうおいでのような外交専門におあずかりになっておるような方々は御存じかもしれませんけれども、他の方々に開いてみますと、いかなる理由に基いて、日本は南千島を要求するかということについて、これを明確に知っておる人に、私は今日まで不幸にして一人も出くわしておらぬ。(岡田委員「根拠がないからだよ」と呼ぶ)賢明な岡田君でさえも、ただいまかようなヤジを飛ばすほど、いかにこのことが国民の間に不明確になっておるか、なぜ一体それを明確にしないか。これは私の考えるところによりますと、当然南千島というものは歴史的に日本のものである。その根拠はどこにあるかといえば、すなわち幕末、徳川末期に千島北辺が危うく、常に騒がしかった。これを何とかしなければならぬというので、詳しくは申し上げませんが、いわゆる安政元年に下田港において調印された俗にいう下田条約の第二条においてそこで初めて当時のロシヤと日本との国境というものは明確になった。このことを残念ながら世間の一般の方々は御存じない。あの下田条約の第二条によって見ますと、これは得撫から北側がソ連の領土であって、択捉から南が全部日本の値土であるということをここに明確にした。(発言する者あり)これは諸君もはっきりしたらいい。社会党の諸君もそういうふうに知らないからヤジを飛ばす。その次の条約は明治八年の樺太・千島交換条約において明確にしておる。このことは国民が御存じない方が多いのです。これは現実です。理屈でありません。こういう歴史的な事実の上に立って、従ってロシヤと日本との国境というものは得撫島と択捉島との中間であることは明確になっておる。(「ロンドンに行ってやれ」と呼ぶ者あり)このことを外務当局はなせ一体国民に知らせない。この歴史的な事実によって――外務大臣、総理大臣の演説においても、そういう抽象的な演説によって国民に知らす努力をしていない。何というばかな……。怠慢もはなはだしいじゃないですか。そこに日本の外務省の弱体性がある。日本の外務省の役人諸君が私は無能だとは申しません。しかしながら日本の外務省の弱体は何であるか、国内情勢を知らぬからだ。君らが不勉強のためなんだ。外務省というものは何もわが党の外務省ではない、日本の外務省だ。それだからわれわれはこれを言うのだ。ここに日本の外交の弱体性がある、本質的なものがある。日本の国民はこういう問題についてどういう知識を持って、どういう感覚を持って、どういう考え方を持っておるかということに対する思いやりが諸君の中にない。これは日本の外交の最も弱体の本質的なものです。なぜこれをやらないか。外務当局はこの歴史的な事実を明確にして、国民に知らせる義務を諸君は持っておるはずだ。何という怠慢だ。外務政務次官、この点を明確にしてもらいたい。

○森下政府委員 サンフランシスコ条約は千島の範囲を決して決定してはおりませんし、これを放棄したようなことはないのでありまして(「その通り」)その点を……(「二条C項を見ろよ」と呼ぶ者あり)南千島は入っておりません。[「入ってないということを反証しろ、具体的に言えよ」と呼ぶ者あり〕

○前尾委員長 静粛に願います。

○森下政府委員 一応それでは今の南千島の問題のそういう誤解を解くために、ここにはっきりと一つ声明をいたします。
 この南千島、すなわち国後、択捉の両島は常に日本の領土であったもので、この点についてかつていささかも疑念を差しはさまれたことがなく、返還は当然であること。御承知のように国後、択捉両島の日本領土であることは、一八五五年、安政元年下田条約において、ただいまお述べになったように調印された日本国とロシヤ国通好条約によって露国からも確認されており、自来両島に対しましては何ら領土的変更が加えられることなく終戦時に至っております。一八七五年、明治八年の樺太・千島交換条約においても、両島は交換の対象たる千島として取り扱われなかったのであります。
 サンフランシスコ平和条約はソ連が参加しているものではないが、右平和条約にいう千島列島の中にも両島は含まれていないというのが政府の見解であります。同会議において吉田全権は択捉、国後両島につき特に言及を行い、千島列島及び南樺太の地域は、日本が侵略によって略取したものだとするソ連全権の主張に反論を加えた後、日本開国の当時、千島南部の二島すなわち択捉、国後両島が口本領であることについては、帝政ロシヤも何ら異議を差しはさまなかったと特に指摘しておるのであります。また連合国はこの今次戦争について領土の不拡大方針を掲げていたこと、また太平洋憲章、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言はすべて過去において日本が暴力により略取した領土を返還せしめるという趣旨であり、日本国民は連合国が自国の領土的拡大を求めているものでないことを信じて疑わない。日本の固有の領土たる南千島をソ連が自国領土であると主張することは、日本国民一人として納得し得ないところであります。
 この南千品は日本人の生業に欠くべからざる島であることも、これを伝えなければなりません。国後、択捉両島は北海道に接近しており、沿岸漁業の獲得高から申しましても、戦前千島列島の年十万トンに対し、この国後、択捉両島のみで年十五万トンに達していた事実等でも明らかな通り、両島は日本国民の日々の平和な生活を続けてきておったものであります。
 ここにこれをかたく声明をいたす次第でございます。

○池田(正)委員 最後に、ただいまの御答弁でやや明確になってきましたが、実はそれだけでは私あまり感心しないのであります。ということは、つまり樺太・千島交換条約の際における条文の内容等についても、もう少し詳細に説明すべきだと私は思う。それはたとえば第三款に、この条約の中にはっきり書いてある。これは日本全権は榎木武揚、ソビエトの全権はアレキサンドル・ゴルチャコフ、この両全権によって調印された。この内容を見ますと、クーリール列島上に存する両者の権利を互いに相交換する、こういうことを書いてある。そういったことから、もう少し詳細にいくべきで、ここに第二款には千島列島のことを、第一占守島から第二阿頼度島というふうに、第十八得撫島とも計十八島の権利、こういうふうに明確に書いてある。こういうことをもっと詳細に国民にわかるように、外務当局はこれを知らす必要がある。そういうことを諸君はやってない。それから今の千島という概念、これはどこからきておるか。なるほど明治以後の行政区画として、今の歯舞、色丹だけは北海道という行政区域に便宜上入れた。南千島のこの二島は、便宜上千島という行政区画に入れたというところに社会党の諸君などは錯覚を起している。そういうところに誤解の根源があったように思う。従って南千島と北千鳥と同じじゃないかという概念を国民が抱いておる。日本の国民にそういう考えを抱かしめておいて、そうしてソビエトに向ってそれをよこせ、返還せよ、これは無理なんだ。そういう感覚で諸君が外交をやったんでは外交が成功するはずがない。いやしくもわが党は、南千島を断じて要求する、一歩も譲らぬということを天下に声明しておる。それに従って政府もそれを声明しておるはずでありますから、あくまでもこれを堅持して、どこまでも一歩も下らぬという態度をもって今後臨まれんことを私は切に希望いたしまして、私の質問を打ち切りたいと思います。

○穗積委員 関連して一問だけ。実は日ソ交渉における領土問題については、私は重光外務大臣に今まで二回にわたってお尋ねいたしております。しかしそのたびごとに時間が制限されておりまして、いまだ質問の継続中の状態にあるわけでございます。本日も外務大臣が出席されたならば、ぜひその点をお尋ねしたいと思っておったのですか、こまかいことについては、外務大臣が次会に出席される約束ですから、そのときにいたしまして、きょうは一問だけ政務次官にお尋ねしたい。
 第一にお尋ねしたいのは、いろいろな順序がありますが、われわれの考えでは、終局的には南樺太、千島全体にわたって領土権の要求をすべきであるというふうに考えております。ところが政府は、ソビエトとの交渉において、南千島だけで最終的に打ち切られるつもりであるかどうか。それが一問。それから第二には、もし北千島その他についても、領土権をいろいろな順序を踏んで交渉されるつもりであるならば、なぜ一体北千島と南樺太をサンフランシスコ条約で放棄されたか、その理由を明らかにしてもらいたい。この二点を一括してお尋ねします。

○森下政府委員 ただいま申されましたそのほかの島は、国際的な機関を通して解決したいと思います。

○下田政府委員 桑港条約におきまして、日本は千島、樺太に関します一切の権利、権原等を放棄するということをいっております。それはまだ連合国側の間におきまして、その最終的帰属についての意見の一致を見ないので、とりあえず日本だけは権利を放棄するということを宣言させるという、何と申しますか、中途半端な領土問題の解決をせざるを得なかったというのが、桑港会議当時の情勢であったのであります。(「桑港条約なんてやめたらいいじゃないか。なぜやったんだ。なぜ放棄すべからざるものを放棄したんですか」と呼ぶ者あり)。ポツダム宣言におきまして、われらの決定するというところに日本は従って、領土問題の処理を向うの決定に一任したわけでございます。でございますから、桑港会議におきましてもう文句を言えない立場に、日本は降伏の際からあったわけであります。ところがその決定なるものが、最終的の決定に到達しなかったのであります。日本の手から一応とるということだけの決定しかできなくて――通例の平和条約におきましては、領土の処分については、何々国のために譲渡するなり、放棄するなり、そういうことを書くことが普通でありますが、桑港会議のときにはそこまでできなかった。連合国側の意見が一致しなかったのであります。そこで半分しかきまらなかった。
  〔「一致するはずがない」と呼び、
  その他発言する者あり〕

○前尾委員長 静粛に願います。

○下田政府委員 一致するはずはないのであります。ですから今日になりまして、なぜ桑港条約を受諾したのかということを提起されましても、これは終戦の経緯にかんがみまして無理なことであります。
 それからもう一つ、先ほどの件に関連して言えますことは、クーリールといいまして、クーリールなるものの範囲も、これも連合国間で何ら意見の一致を見ていないのであります。従いましてその意見の一致を見ていないクーリールなるものの範囲について、固有の日本の領土たる国後、択捉はクーリールに含まないと言うことは、日本の自由なりということになっているのであります。であるとするならば、今日日本が、最終的の領土処分を行いました平和条約がない以上は、日本の利益に従ったところを最大限まで主張するということは、これは当然のなすべき処置であると私は考えます。

○穗積委員 ただいまの外務省当局の御説明ははなはだしくあいまいであって、そんなことで領土問題が国際的に解決できるなんと思ったら、大間違いだとわれわれは思う。だからわれわれは、あくまでやはり終局的には千島列島全体と南樺太について領土権を主張すべきだと思う。それには正当なる国際条約における論理をもって当るべきであって、因縁情実をつけて、そういうことで交渉すべきではないとわれわれは思う。従ってただいまの答弁ははなはだわれわれは納得することができない。ということは、日本の利益のためにという、そのような論理では国際的に通用いたしません。ですからその答弁についてははなはだしく不満でありますが、きょうは開進質問でございますし、責任者であります重光大臣もおられませんから、この問題についての質問は留保いたしまして、私はきょうは打ち切ります。

○前尾委員長 並木芳雄君。

○並木委員 私も領土問題のことについて質問いたしたいと思っておりましたが、幸いに池田委員から発言がありましたから、その点は省略したいと思いますが、ただ一点だけ、手続の問題になりますが、ただいま問題になりました千島、南樺太の処理をする場合に、あらためて国際間の相談にまかせたいという政府の方針でありますが、その場合の国際間ということは、具体的にはどことどこの国を予定しておられるか、それを伺っておきたいと思います。要するに、平和条約であのような取りきめができておりますから、平和条約に参加した国々全部との間で、事実上は平和条約の条項を変更していくような話し合いを進めていくのか、それとも別個の新しい国際的なグループに頼むのか、どういうことを予定しているか聞いておきたいと思います。

○森下政府委員 これからやることであって、今それは予定してありません。
  「そんなことで交渉ができるか」
  と呼び、その他発言するあり」

○前尾委員長 静粛に願います。――並木君、領土問題はきょうは留保して……。

○並木委員 委員長のお話もありましたから、次に私は、これは緊急な問題ですが、あるいは下田条約局長に質問した方がいいかと思いますが、実はきょうの外電によりますと、ソ連が日本のサケの漁業に対しての問題を取り上げております。日本が北洋においてサケの乱獲をやるという口実のもとに、漁業条約を将来結ぶまでは漁業を停止する、そのような何か発表をしておるのですけれども、これは容易ならぬことだと私は思うのです。実際そのようなことが国際法上行われていいものかどうか、私はこういう理由をもって、国際法上漁業条約を結ぶまでは漁業を全然停止するというようなことは絶対に言えないと思うのですけれども、この点について政府の見解を明らかにしておいていただきたいと思います。

○下田政府委員 海洋漁業につきましては、日本は現行国際法の基礎の上に立ちましてもう原則を確立しておるわけであります。大体三大原則と申し上げることができると思うのでありますが、第一には、公海における漁業を関係国のうちのある一国のみが一方的に規制するということはいかぬということであります。必ず関係国が相談して、その合意のもとに規制を行うべきだというのが第一原則であります。第二の原則は、その規制は科学的根拠に基いて行われければならないということであります。調査の結果これは確かに魚類が減少しつつあるという証拠が立証された場合にのみ規制せらるべきであるというのが第二の原則であります。第三の原則は、このいかなる規制も関係国に平等に適用されなければならないということであります。ある一国のみにきびしく、自国には寛大にというような不公平な規制の適用ということはいけないというのが日本の根本的の原則であります。
 この三大原則は北太平洋の漁業会議におきましても日本が強く主張したことであり、またこの原則を認めないがゆえにアラフラ海におきまして濠州との間に国際司法裁判所の事件を起し、また李承晩ラインの問題につきしましても、この原則に立って日本は強い主張をなしておるわけであります。ソ連に対しましても全く同じであります。ソ連が一方的に規制しようというようなことには日本は服することができません。またソ連が調査の結果科学的に立証した根拠なくして、ただ規制しようというようなことがあるとするならば、これも日本は服することはできません。第三に、ソ連自国民のみに寛大に適用し、日本国民にのみ厳正なる適用をしようというようなことは、これも服することができません。でございますから、御指摘の外電がいかなるものであるか、まだ公式の情報を入手しておりませんが、私どもはソ連といえども先ほど申しました三大原則に反するようなむちゃな規制を強行しようという意図はないものと、その善意を疑わないのであります。と申しますことはただいまワシントンでやっております、ソ連が参加しているオットセイ会議におきますソ連の代表の出方を見ましても、非常にリーズナブルである。科学的な根拠に基いて、また関係国の立場をそれぞれ考慮して、そうしてオットセイ漁業の規制をしようという態度になっておりますので、平和条約ができましたあと日ソ間の漁業条約を交渉する際に、ソ連がそうむちゃな態度に出てくるということは私は予期いたしておりません。日本の三大原則は、現行国際法のもとに立って十分堂々と主張し得ることでありまして、わが方の要望を必ず聞いてくれるもの――ただここで注意しなければなりませんのは、戦前の日ソ漁業条約に規定しておりましたような、ソ連の領土に入ってソ連の領土上に工場を設けるとか、あるいはソ連から三マイル以内あるいは至近の距離において川の出口に網を張って出てくるサケをみなとるというようなことは、日本側はすべきではないと思うのであります。あくまでも国際法の原則にかなった、そうして日ソ双方に公平に適用されるリーズナブルな漁業協定を平和条約ができたあと交渉しなければならないと思っております。大体あなたのただいま御指摘の外電が正確なものであるかどうかという点を私ども確認する手段が今まではないのでありますが、しかし先ほど申しました日本側の公正な態度によりまして、漁業条約を円満に交渉して妥結に到達するものと期待いたしておるわけであります。

○前尾委員長 並木君、それはあと回しにして、船田長官が帰ってしまわれるから長官に対する質問をしてもらいたい。それは長官が帰られたあとでやっていただきたい。

○並木委員 それではあと一点でやめておきます。
 今の点は政府の態度が非常にはっきりいたしました。しかしソ連としておそらくそういうことはないと思うというのは善意な考え方であります。火のないところに煙は立たないと思うのですが、もしこういうことが事実であったとしたら政府はどのように抗議を申し込むか、あるいはソ連として現在行われておる日ソ交渉を有利に導くために持ち出したのかもしれません。そうだとするならば、松本全権を通じてこの抗議を申し込むか、あるいは別個に外務省からどういうような方法で抗議を申し込むか、その点を明らかにしてもらいたい。

○法眼政府委員 この点につきましては、情報その他を確かめまして、事実をはっきり認定した上で慎重な措置をとりたいと思っております。

○並木委員 それでは外務政務次官にこの問題だけを質問いたします。この前私が中共貿易の輸出禁止緩和の点で重光さんに大いに努力するように質問しておいたのですが、昨今ようやく日本の政府が中共貿易禁輸緩和についてココムにおいて交渉しておるというふうに伝えられておるのです。ただ政府の口からはっきり私ども聞いておりませんので、この点をどういうふうに交渉を進めておるか、その見通しなどについて明らかにしていただきたい。
 それからもう一つは、原水爆禁止の決議を国会の両院でいたしましたが、これに対する関係各国べの申し入れは当然政府としてやらなければならない義務がありますけれども、その申し入ればすでにきのうきよう行なったかどうか、まだ行なっていないとすればいつどういうような内容をもって行うか、その二点だけを質問して私は今日は打ち切っておきます。

○森下政府委員 それは政府として行なっておりますから、そのこまかいことは経済局長をして答弁いたさせます。

○湯川政府委員 一つの御質問でありますココムで対中共貿易統制緩和をどう交渉しておるかという御質問に対しましては、ココムにおける日本代表部としましては絶えずこの点については努力しております。たとえば自由諸国全体の利益から考えられるということで、禁輸品の特認といったようなことも相当に活用していっておりますし、またいらいろな制限品目の定義というものの解釈をきめる際に、戦略性が乏しいといったものについては除外する、こういった努力は絶えずやっております。それとともにリストの大きな改訂ということは非常に大きな政策になりますので、ときどき開かれますいわゆるコンサルタティヴの会議、諮問委員会で方外を決定するわけでありますが、それにつきましては、その事前に主要国ともある程度意見を一致させた方がいいと思いまして、昨年度ワシントンにおける百米会談以来、CGの特に有力メンバーであるアメリカといろいろ話し合いをして日本の要望を伝えております。最近アメリカ大統領とイーデン英国首相との会談で、その共同声明によりますと、両国は中共における貿易統制が継続されるべきこと並びにこれが制限のワクについては、今後情勢の変化に応じ、自由世界の利益に最も役立つよう定期的検討を加えることに意見の一致を見た、こういうことがございますが、この定期的検討というのは、当然自由諸国関係問の会議、具体的に言えば、ココムあるいはCG、そういったところで行われるわけであります。その際にはわれわれの要望も妥当な考慮を加えられるものと期待しております。

○並木委員 原水爆の問題について……。

○森下政府委員 お答え申し上げます。この原水爆実験禁止の決議は、アメリカには在米大使を通じてアメリカの政府へこれを伝え、それからイギリスにはイギリスの西大使をしてこれを伝え、ソ連の方へは西大使が伝えるように本日電報を発しました。(「イギリスにいる人がソビエトにどうして伝えるのか」と呼ぶ者あり)イギリスのソ連大使から伝えてもらうことにしました。(「どういう申し入れをしたかということだ、院議無視だぞ、そういうことは「「院議の通り申し入れをやっている」と呼び、その他発言する者あり)院議の通りの申し入れであります。そういう決議のあったことを伝えようということを伝達いたしました。
 〔「そういうことではいけないのだ
 よ」と呼び、その他発言する者あり〕

○前尾委員長 静粛に願います。

○並木委員 こういう決議のあったということを伝達するのじゃ、ただあれでしょう。この間の決議はもっと強いものなんです。重光外務大臣が、やめてもらいたいということは言えないのだということを国会で答弁しておるにもかかわらず、われわれは与党であってもなおかつああいう決議を提案したんです。実験を禁止してくれということなんですから、禁止はできないという外務大臣の答弁以前のものなんです。以前に戻って政府はもう一ペんそのことを……。

○森下政府委員 これを禁止してくれということはたびたび伝えております。

○前尾委員長 松本七郎君。

○並木委員 委員長、答弁を明らかにしてもらいたい。われわれも決議に参加しておるのですから、その決議に基いて政府としてはどういう内容の申し入れをするのか、あるいはしたのかということを私は聞いておる。それは明らかにできると思います。
  〔「質問に対して明確にすべきであ
  る」と呼び、その他発言する者あ
  り〕

○前尾委員長 いやそうでなしに、あとで時間が幾らでもあるから、防衛庁長官の質問をできるだけ早くやってもらいたいんだ。だからその問題はあとで幾らでも取り上げればいいんです。

○森下政府委員 決議を伝達せよという決議であったのだから、それを伝達したのであります。
  〔違います、もう一ぺん決議を読
  んでみなさい、森下君も議員じゃ
  ないか、そんなでたらめがある
  か」と呼ぶ者あり〕

○並木委員 委員長、あとでやります。

○松本(七)委員 今の政務次官の答弁、は、重大な答弁ですよ。

○前尾委員長 これはきょうもう一ぺんやるから、防衛庁長官の質問を先にやってもらいたい。

○松本(七)委員 それはわかっておりますけれども、委員長にも聞いてもらいたい。国会でこういう重要な決議をして、それを実行する責任を政府は負っている。それをただ国会でこういう決議をしましたといって伝達するようなことでけ、政府の責任を果せませんよ。委員長も一緒になって政府のネジを巻くくらいのことはやってもらわなければならぬ。これは重大な問題ですから、あとでやりますけれども、さっきの並木さんの漁業問題に関連して、ちょっと御質問したい。
 それはさっき並太さんの御質問の中で、何かソビエトの閣僚会議でもって禁止をきめたという話がありましたが、私の知る限りでは、禁止をきめたわけではないので、日本の漁業者が乱獲をやっている。従って何か適当な機関において処置をしたらどうかということを、閣僚会議で勧告をしているらしい。私はそれがほんとうだろうと思いますけれども、私が聞きたいのは、乱獲の事実なんです。これは実は日ソ交渉に関連して私は今までいろいろなことを聞かされておった。それは、日本の水産界では、一部には日ソ交渉が早く妥結して、漁業協定ができることを希望している向きもある、ところが中にはむしろこの漁業協定ができないで、日ソ交渉が長引いて、特に本年は漁獲期が過ぎるまで日ソ交渉が成立しないことを内心希望して、今のうちに乱獲して、とれるだけとれというような気持で、すでに船までふやして乱獲をやっておるということを私は聞いておった。そういうことをやっていると、日ソ交渉が妥結すればいいが、妥結しない場合に、下手をすると、ソビエトが今度は李承晩ラインのようなものを一方的にやってくることになって、またこれはソビエトと日本の間によけいな紛争を起さなければならぬことになるので、憂慮にたえないと思ってかねがね心配しておった。そこへきょうの外電でソビエトの閣僚会議でああいう勧告をやっているところを見ると、やはりこれはある程度日本の乱獲が実際行われているのではなかろうかということを心配する。この点どういうことでし参ようか。

○法眼政府委員 現在日本の漁業が乱獲しているということは承知いたしておりません。日本の根本的態度は、先ほど条約局長が説明いたしました通り、公正なものでありまして、さような観点から、ただいまの情報を詳しく事実を突きとめまして――あるいはロンドンにおきまして松本全権にマリクが何か言っているかもしれませんが、そういう点も含めて確かめまして、先ほど申し上げましたように、慎重に検討したいと思っております。現在の漁業は決して乱獲しているとは思いません。

○前尾委員長 岡田春夫君。

○岡田委員 船田さんにお伺いしたいのですが、その前にちょっと一点だけ。先ほどからだいぶ重大な問題が出ているので、原水爆禁止の国会の議決の問題に関連してあとで御質問があるようですから、これは私はこの場合に参おいては遠慮いたします。
 日ソ交渉の領土問題について、先ほど森下政務次官と下田条約局長から御答弁があったのですが、私は先ほどのお話を伺っておって、これは国際法上の通念から見て、どうしても納得のできない点を条約局長も言っておられるが非常に不思議に思うのです。それはどういう点かというと、池田君から先ほど古い帝政ロシヤ時代における条約の問題が出された。これに基いてこれが生きているではないか。従って南千島の諸島は日本に所属すべきものである、こういうように解釈をすべきであるし、これについて日本の外務省がなぜ主張しないか、こういう点についての主張があった。これに対して先ほど森下政務次官は何か書いたものを読まれたわけでありますが、読まれているところを聞いていると、サンフランシスコ条約の第二条の(C)項に書いてある千島列島の中には、南千島が入っておらないのだ、こういうような解釈の規定を一貫して、外務省としてはとって主張しているのであるというように私は受け取った。そこで国際法の通念ということを申し上げたのだが、国際法の通念からいうと、戦争宣言が発布された場合においては、相手の国において従来取りきめられておったところの条約というものは、どのようになるかということについて、国際法上の通念の規定がある。一つの解釈をもってするならば、これは当然今まできめられておった条約というものは、全部破棄されるのであるという解釈が一つの解釈であります。(「冗談言うなと呼ぶ者あり)二つの解釈があるんだよ。一つの解釈はこれだと思う。第二の解釈は、その条約というものは戦争の済むまで一時効力を停止する、こういう形になるのだという通説がある。大体この二つであると私は解釈しておるのであるが、そうすると第二の解釈の説をとってみても、既存の条約というものは一時停止されておると理解しなければならない。そうして戦争が終結後においてこの問題をどうするかということが、平和条約によってきめられると理解しなければならないと思う。とするならば、日本のその当時の政府である吉田政府が、日本は戦争が終結したという立場に立って、その間においていろいろな事情があろうとも、サンフランシスコにおいて平和条約を結んだ。この平和条約において千島列島についての取扱いというものが、日本の国の立場として規定されているわけだ。そこで私の申し上げたいのは、もしこの平和条約において、従来の条約についての取扱いが規定されているものとするならば、この千島列島の領土の地域というものはどこどこであるということの解釈の規定が行われなければならないと思う。クーリールに南千島が入っているか入っていないかという問題を規定するのは、もし吉田政府の立場が日本の立場に立つものであるとするならば、平和条約のときに明らかに何らかの解釈規定が行われていなければならないと私は思う。とするならば南千島の二つの島が入っておらないということが、サンフランシスコ条約のときに吉田政府のもとにおいて、アメリカその他の国と何らかの交渉の行われた事実があるのかどうか。正式の議事録なりその他においてこのような規定が残されているかどうか、こういう点が一番この交渉の問題としては重安な問題になってくる。私はこの点についてまず伺いたいのだが、そういう交渉の経過があるかどうか、議事録にそういうものが残っているかどうか、こういう点をまず伺いたいし、残っておらないとするならば、日本がいかに主観的にそれを主張したとしても、日本の権利、権原を放棄したという、この平和条約の第二条(C)項によっては、千島列島のどの島をも返せということを日本の国から主張するという立場がないことだけは明らかであるし、主観的に日本の国民の感情をもって、ただ要求しますといったところで、これは国際法上通らないということを、先ほどから社会党の諸君も言っているわけだ。ただ感情的に何を返せ、かにを返せといっても、それは国際通念上通らないものは通らないのだ。そんなものはばかにされるだけですよ。ばかにされるようなことをやるような日本の外務省なら、おやめになった方がよかろうというのがわれわれの意思なんです。そういう点について、国際法の立場をはっきり守っていかなければならない。条約局長として、あるいは政務次官でもけっこうです、この点はどのようにお考えになるか、この点だけをまず領土問遜については伺っておきたいと思うのです。

○下田政府委員 岡田先生の法律論、私どもその大部分につきましては同感なんでございます。千島・樺太交換条約の効力も、日ソ平和条約でそういう政治的条約の運命を決する条項が入ると思います。現に交渉中の何にもそういう条項がございます。それでそれらの効力は、最終的には日ソ平和条約で規定されることになると思います。それまでの間、それじゃどういう意味を持つかということが私根本問題だと思うわけであります。その意味のいかんによっては仰せの通り日本はもう主張できないのかもしれません。しかし私どもの見解によれば十分主張できると信じておるわけであります。
 第一は桑港条約の当事国の問題であります。これはソ連は桑港条約の当事国ではないという点から、桑港条約にいかに規定しておりましても、それが直ちに日ソ間には妥当しないという大前提がございます。それはそれといたしまして、もう一つ大きな点は、桑港条約の今の第二条の(C)の点でございますが、いろいろ桑港条約の主たる起草者たる米国政府その他に聞きまして、クーリールに限ってソ連に引き渡すという言葉を使っております。それが出ましたのはヤルタにおけるチャーチル、ルーズヴェルト、スターリンの三巨頭会談から起ったわけであります。三巨頭が一体ソ連にクーリールを引き渡すという場合において、どういう範囲の島のことであるかを三巨頭が認識しておったのであるかどうかという質問に対しましては、いや、実は三巨頭はそんなことはちっとも知らなかったという話でございます。クーリールに日舞、色丹が含まれるのであるか、あるいはクーリールに南千島が入るのであるかどうか。大体日本語の千島とクーリールという言葉とはちっとも一致するとは感じていないのでございます。偶然訳語にクーリールのことを千島と訳した条約もございますけれども、しかしこれは千島という言葉は、日本人が勝手に昔から使っていた言葉でございまして、クーリールという言葉もロシヤ人その他が勝手に使っておった言葉でありまして、クーリールと千島が一致するという見解は一つもないのであります。そこで一八七五年の条約あるいは五五年の条約を、それでは今日いかなる角度から取り上げるべきかというと、これは日ソ交渉において双方の主張を根拠づけるところの資料としての価値であると思うのであります。そうしますと、三巨頭の間にクーリールの範囲について、実に何も御存じないできめてしまったというのが実情なんであります。ですから、北海道の一部であった国後、歯舞、色丹等もクーリールの一部であると主張することができるかもしれません。しかし、そんなことはちっとも知らないで勝手に行われた。かつて日本の固有の領土であって、一度も外国の支配下になかった国後、択捉、それも取り上げることを主張しておったのかどうか、そんな明確な主張はちっともなかったということであります。そうでありといたしますと、歴史上直接の関係国たる日本とソ連が当事国となっております条約上の定義というものが、最も権威をもって現われてくるわけであります。日ソが直接の両当事国であって、先ほど申されましたように一八五五年条約では日ソ両国の境は択捉と得撫の間にするということになっておるのであります。さらに七五年の条約ではこれは千島・樺太交換条約、ロシヤ皇帝が日本に千島を譲渡するというときに、譲渡するというからには、自分のものであるから譲渡できるわけであります。ロシヤ側ではこの得撫以北の十八島を自分のものであると認めたからこそ、これを日本にやる、しかしそのかわり樺太はおれの方にやる。今日領土問題に直接の関連を持つ日ソ両国の過去の歴史上における条約上のデフィニションがそうであるとすれば、しかもそのデフィニション以外に三巨頭初め何ら明確な考えを持っていなかったとしますならば、この最もオーセンティックな条約上の規定を資料として今日の交渉上に取り上げるということは、私は、これは十分できることであり、またしなければならないことだと信じておるわけであります。

○岡田委員 今の問題にはその説明それ自体に非常に論理的な矛盾がある。なぜ論理的に矛盾があるかというと……。(「ないさ、ないさ」と呼ぶ者あり)ないかあるか言わなければわからない。
  〔発言する者あり〕

○前尾委員長 静粛に願います。

○岡田委員 なぜあるかというと、あなた自身が言っておられることは、三首脳の話も出ているけれども、もしその三首脳の話が出ているとするならば、その面に関してはポツダム宣言に――今私の言おうとしていることは、この戦争が終結したということはポツダム宣言に基いて政争が終結したのである。だとするならば領土の問題、千島の問題に関してはソ同盟だけと交渉して解決のできる問題ではないはずだ。こういう立場をもし外務省がおとりになるとするならば、ソビエトだけに千島の所属の問題を交渉するのではなくて、ポツダム宣言に参加しておる連合諸国との交渉というものが行われなければならないと思う。だとするならば、サンフランシスコの平和条約のときにこの点についての何らかのそれを取りきめ得る機会があったわけなんですが、その機会を放棄しておいて、今ソビエトに対してのみこれを交渉するということ自体、外務省の立場として論理的な矛盾があると私は思う。こういう点からいっても、あなたの御説明だけでは私は承服ができないのです。この点についてはあとで重光さんが来たときに、もっとゆっくりいたします。
 それからもう一つは、先ほど私の伺った点についても、その私の質問に対する論拠としては下田さんは言われたけれども、なぜ議事録にこれを載せなかったかという点については、お忘れになったのかどうか知らないが、私は御答弁がなかったように記憶をいたしておりますが、こういう点について私今ここでいろいろ聞いていると、船田さんの問題がおそくなるので、議事録にあるのかないのか、この一点だけを一つ伺っておきたいと思います。

○下田政府委員 その点は実はお答え申し上げるのを忘れたのでございますが、桑港条約の会議の当時、吉田全権は歯舞、色丹にも、国後、択捉にも触れておられます。しかしその吉田全権の主張というものは連合国側にその際取り上げられてはいなかったのであります。ということは拒否されたということではなくて、ポツダム宣言にいうところのちれらの決定なるそのデシジョンができなかったということであります。デシジョンはできなかったが、日本側の主張、言い分は吉田全権が言っておられ、これは桑港会議のオフィシャル・ミニッツにちゃんと記載されております。

○岡田委員 それでは吉田全権は、南千島すなわち択捉、国後は返してくれ、こういうことを正式に議事録に載るような形で述べている、こういうように今の御答弁を理解してよろしいのですか。それならば、今後この問題は重大ですから、その資料を提出していただきたいと思います。

○下田政府委員 その資料はアメリカでも市販にされておりまして入手し得るものでございますから、その部分をタイプいたしまして御提出いたしたいと思います。

○岡田委員 今度は船田さんに伺いますが、船田さんはお忙しいようですから、問題点だけ取り上げて参りますから、一つ簡明率直にお話をいただきたいと思います。
 まず第一点は、この間の予算委員会、日にちは二月七日ですが、このときに総括質問として川上貫一君が質問に立って、重光外務大臣が答弁をいたしておりますが、これは軍事基地の問題です。日本の軍事基地というものは安保条約に基いてアメリカの使用する軍事基地ではないか、アメリカの軍事基地ではないのかということを川上君が質問したのに対して、重光外務大臣は、日本にある軍基地は日本の軍事基地でありますということを答えております。防衛庁長官として、たとえば立川にある、今砂川で問題になっているあの軍事基地は、日本だけの軍事基地であるのか、アメリカの軍事基地であるのか、この点は一体どのようにお考えになっているか、この点から伺っていきたいと思います。

(以下 省略)



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