一部、旧字が新字になっているところがあります


降伏後の対日基本政策


(一九四七年六月一九日極東委員會政策決定)
(一九四七年七月一一日極東委員會發表)

この文書は、降伏後の日本國に關する一般的政策の聲明である。この交書は、日本國の占領に關する政策の決定を必要とする一切の問題を取り扱っているものではない。この交書に含まれていないか、又はこの文書で完全におおいつくされていない場合は、別に取り扱われる。

前 文
 一九四五年九月二日に、日本國は連合國に対して無条件で降伏し、現在においては、連合國最高司令官ダグラス・マックアーサー元帥の指揮の下にある右連合國の軍隊の軍事占領下にあるので、
 次の諸國、すなわち日本國に封ずる戦争に從事したオーストラリア、カナダ、中華民國、フランス國、インド、オランダ國、ニュー・ジーランド、フィリピン國、ソヴィエト社會主義共和國連邦、連合王國及びアメリカ合衆國の代表者が、日本國が降伏條項に基くその義務の履行を完成することのできるために準拠する政策、原則及び基準を定めるために、モスコー外務大臣會議の決定に基いて、ワシントンにおいて極東委員會として曾合したので、
 右委員曾を構成する諸國は、ポツダム宣言の意圖を遂行し、降伏文書を履行し並びに國際的安全及び安定を確立する目的をもつて、
 右の安全及び安定は、第一には、日本國が過去敷十年の侵略の遂行に用いた主な手段であった軍事機構の完全な破壊にかかっており、第二には、日本國における軍國主義のいかなる復活をも不可能とするような政治的及び経濟的條件の確立にかかっており、第三には、日本人をして自己の戦争意欲、自己の征服計画及び右計画の達成のために用いられた方法が自己を滅亡にひんさせたことを悟らしめることにかかっていることを意識したゆえに、
 日本國が、軍國主義をその一切の面において放棄することを決意し、且つ、世界の他の部分と平和に生活することを希望するに至るまで、又民主主義的原則が日本國の政治的、経済的及び文化的生活の一切の分野において確立されるに至るまでは、日本國は再び自己の運命を支配することを許されることはできないことを決議し、
 よつて、
 連合國に對する日本國の義務の履行を確實にすること、
 全面的な武装解除、戦争能力を日本國から奪うことを目的とする経済的改革、軍國主義的勢力の除去、戦争犯罪人に對する嚴重な処罰を含み、且つ、嚴重な管理の期間を必要とする措置によって日本國の物質的及び精神的非軍事化の任務を完了すること、並びに
 日本國民が自己をして自己の妥當な個人的及び國家的必要をみたすことを得しめ、且つ一切の國との永久に平和な關係に自國をもたらすような経済的及び文化的の線に沿って、各自の間及び他國との間における交際を民主的社會のわく内において發展させることのできるような手段を自己の利益及び一般世界の利益のために見出すことについて日本國民を援助することに意見一致し、
 日本國の処理に關し、次の基本的目的及び政策を採択した。

第一部究極の目的

 一 日本國に對する降伏後の期間に關する政策が準拠しなければならない日本國に關する究極の目的は、次のとおりである。
  い 日本國が再び世界の平和及び安全に對する脅威とならないことを確實にすること。
  ろ 自己の國際的責任を果し、他國の権利を尊重し、且つ、國際連合の目的を支持する民主的且つ平和的な政府をできるだけ早く樹立させること。日本國におけるこのような政府は、日本國民の自由に表明された意見に從って樹立されなければならない。
 二 これらの目的は、次の主要な手段によって達成される。
  い 日本國の主権は、本州、北海道、九州、四國の諸島及び今後決定されることのある周邊の諸小島に限定される。
  ろ 日本國は、完全に武装解除され、且つ、非軍事化される。軍國主義者の権力及び軍國主義の勢力は、全面的に除去される。軍國主義及び侵略の精神を表明する一切の制度は、強力に抑圧される。
  は 日本國民は、個人の自由に對する欲求並びに基本的人権特に信教、集會及び結社、言論及び出版の自由の尊重を發達させるよう奨励されるべきである。日本國民は、民主的且つ代議的團体を組織するよう奨励されるべきである。
  に 日本國は、自己の経済をささえ、且つ、公正な現物賠償の取立を可能ならしめるような産業を維持することを許されるべきであるが、自己をして戦争のために再軍備することを得しめるような産業を維持することを許されるべきでない。この目的のために、原料の支配とは区別して、原料の入手を許されなければならない。世界貿易關係への將來における日本國の参加は、許される。

第二部連合國の権限

(以下省略)

(日本占領及管理重要交書集第一巻基本篇)




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