現代語訳

『諏訪大明神画(絵)詞」 ※写本によって若下の表記揺れがある。

 蝦夷が千島と云へるは、我国の東北に当て大海の中央にあり。日ノモト・唐子・渡党、此三類各三百三十三の島に群居せりと。
 一島は渡党に混ず、其内に宇曽利鶴子別と前堂宇満伊犬と云小島どもあり。此種類は多く奥州津軽外の浜に往来交易す。
 日ノ本・唐子の二類は其地外国に連て(中略)禽獣・魚肉等を食として、五穀の農耕を知ず、九沢(訳)を重ぬとも(どんなに通訳しても)語話を通じ竪(難)し。
 渡党は和国の人に相類せり。(中略)言語俚野也(言葉が田舎じみている)と云ども大半は相通ず。
 戦場に望む時は丈夫は甲冑・弓矢を帯して前陣に進み、婦人は後塵に随て木を削て弊幣の如くにして、天に向て誦呪(祈りをささげる)の体あり。
 男女共に山壑を経過すと云ども乗馬を用ず。(中略)彼等が用る所の箭(矢)は遺骨を鏃として毒薬をぬり、纔に皮膚に触れば其人斃ずと云事なし(死なないということはない)。

出典:加藤博文・若園雄志郎/編集『いま学ぶアイヌ民族の歴史』 山川出版社 (2018/4)



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