レビュー第18回目
ジャンピューター
(CopyRight:サンリツ電気株式会社)

長く遊べた麻雀ゲーム

  

CopyRight:サンリツ電気(株)(上記2画像)



 -館主談-

ゲーセンっ子花盛り学生時代(しつこくてどうも申し訳ありません)。
時期は1981年秋頃。
土曜日2時限目ともなれば授業を受けずにトンズラするのが館主の相場。

名前を呼ばれて「はい!」と元気良く返事をするなり教室後ろの出入り口から
飛び出して… 約15分後に辿り着いたのは毎度の駅前ゲーセン7○7。

薄暗い店内からここかしこ響き渡る乾いた効果音の数々、置いてあるのはどれも
テーブル筐体ばかり。
やはりいつもの場所は気分が落ち着く。今はすっかり斜陽の音楽物等の
大型筐体など当時は無く、プレー開始と同時に乱入されるような心配も無かった
のどかで良い時代だったのだ。
皆訪れる目的は一つ。テーブル筐体で100円分楽しく遊びたい連中ばかり。
当時は100円分充分楽しめるゲームが山ほどあって困ったものだった。

店内を見渡してみると、スズキのトラディッショナルで一足早く着いていた
同級生のOKB(仮名)がジャンプバグをやっているのに気が付いた。
相変わらずうまい腕前、軽く挨拶をくれてやり、館主も負けじとルート16など
を見つけてプレー開始。

その後も次々テーブル筐体をハシゴする館主、
…やがて店内右手の方にあったジャンピューターに行き付いた。
館主なんのためらいも無く筐体にコインを投入。

CopyRight:サンリツ電気(株)
当時らしい実にシンプルな仕様の画像。

軽快に響き出すVGM、ハイスコアは…当時は気にもしなかった。
(実は「999万点」の位までハイスコア表示が可能だとの事ですが…。)
当時は
「いかに長い時間遊ぶか」
が最も重要なポイントだったのだ。
たまたま出したハイスコアなど当時は長く遊んだ末の結果論だった。

ジャンピューターは上がった点数がそのまま残時間に加算されるゲームであり、
運が良ければ残り時間が初期よりも増えてくれる。
極力ツモから切るまでの時間を節約するよう黙々とプレーを続ける館主。
ボタンのレスポンスが今一つなのはこの機種の御愛嬌。
やがて、
… … …

「パッパラパー、パーラーラーパーラーラーラー…」

CopyRight:サンリツ電気(株)

うむ、今日は結構調子が良い。

このゲーム、今の脱衣もののようにCPUの難易度がバカみたいに上がる仕様は
無い。(と思われる。)
ひたすら自分の腕を信じ、早めの聴牌、高上がりを目指せば20分程は楽に
遊べる嬉しい機種だ。

と、その時…。
「おー、あっくん。こんなもんやってんのかよう。」
どこからかやって来て対面に座ったヤツ…見ると同じB組の内田(仮名)だった。

館:「う…ああ。」(- -;
内:「なんだあ、ツモ悪いヤツだな、リキねえぞリキ!」

どうも一緒にいると調子が狂うヤツだ。決して悪いヤツではないが、座る早々
いつも好き勝手な事を言う。
いやいや、惑わされじと再びゲームに没頭する館主。

内:「あ、フリテンこいてんの!ダッセー。」
館:「う…ああ。」(- -;

話を半端に聞き流していた館主、内田が手持ちぶたさな仕草を始めた時…
…突如として異変が起きた。

館:「?? ? ボ、ボタンが利かないっ!!!??」

なんと今し方まで正常に機能していたコンパネのボタンが利かなくなってしまった
のである。
刻々と減る残時間、焦りが顔に浮かんで来る館主。

内:「へへへ」
館:「あれ?ボタンが利くようになった…?」
内:「へへへへ」
館:「ボ、ボタンが利かない!!」
内:「へへへへへ」
館:「ボタンが利く…」
内:「へへ…」
館:「おめえはよ

うっかりパンツを履いたまま風呂に入ってしまう失敗を犯す程鈍い館主でも、
対面に座っている男が犯人である事には気が付こうと言うもの。
そう、内田はイタズラ心を起こして2P側のコンパネのボタンを押し続けては離し
を繰り返していたのである。

内:「はははは、わりいわりい」

全くトンでもないヤツ。
(皆様は真似しませんよう。)

だんだんツキにも見放されて来たような気になり出す。
そうこうしているうちに響いてきた筐体からの音。

「SYUTOTOTOTON…」(文字にて表記不能、リーチ音。)

CopyRight:サンリツ電気(株)


内:「ほら、リーチしたぞリーチ」

言われなくても判ってる。
CPUに上がられたら点数分残時間が引かれてしまう厄介な事態になる。
時間がマイナスになればゲームオーバーである。

何とかこちらも対抗して手作りを進める。
…だが、今日はギャラリーが悪過ぎた。

「パッパラパー、パーラーラーパーラーラーラー…」

CopyRight:サンリツ電気(株)

CPUにツモられてしまった…。

内:「あはは、ツモられてやんの。」
館:「… … …」

どうも調子が狂う。
同じ組の井村(仮名)と言い、どうしてこう大人しく見ていられないのだろう。

そうこうしているうちに連続でCPUに上がられてゲームオーバー。
やれやれ、10分も経たないうちにお終いかとションボリする館主…。

…ふと店内を見渡すと、いつの間にか同じ組のヒロ君(仮名)も登場しており
何かを熱心にやっているのに気が付いた。

館:「… …四人、揃ったな…」

OKB,内田,ヒロ君,館主といつもの面子が揃ったら、やる事は一つしか
あるまい。

館:「おーい、麻雀しようぜ!」

当時の学生は皆「バイク」「煙草」「麻雀」の3つの嗜好を持つ共通点があった
ものだ。
(最近の学生さんは「煙草」「麻雀」はあまりやらないようで…これも時代なんで
しょうね。)

レートは館主が決めた「点0.5」…ハコでゴットー付けて200円…
(賭麻雀は立派な違法行為ですが既に20年前、時効のお話しです。)

これで内田を負かしてジャンピューターの厄払いしてやろうと考えた館主では
あったが…

この日に限って何故か内田はツキにツキ捲り。
イーピンをツモっての四暗刻まで披露してみせてトップ賞。片や館主はドベ
(しかも館主、この日は2局目最後にやっとタンピンツモ1回を上がったきり
だなんてあんまりなオチまで付いて…。)

「やれやれ、今日は内田とトコトン相性が悪い日だこと…」
と溜息混じりにボヤいてはみたが、また良い時もあるさと気を思い直し、
そそくさと2階のバッ○ル(喫茶店)に漫画を読みに出向く館主なのであった…。

… …

何とも他愛の無い話ですが、今の脱衣麻雀のような詐欺的な強さは無い
ジャンピューターでお判りになるように、当時の機種は大概一般客がのんびり
長く遊べた良き時代でありましたその雰囲気を感じ取って下さいましたら幸い
です。(^^)

そう言えば当時はパチンコも1万円あれば半日は遊べたのですが、ねえ?(笑)



 -基板のウンチク-(素人な館主談)

この基板、CPUはZ80が2つ載ってます。
(1つは音源の制御に使われているようです。)
音源はPSGのAY3-3-8910とSN76477の2つを使用しており、
あとはROMが10個(16K?)載った位の簡単なものです。

ただ、ご覧になればお判りになりますように、どうもジャンパーコードが
ここかしこ飛んでおり、取り扱いで切れる事が無いか少々心配になってしまったり
する仕様になっています。(^^;

それでも現在の麻雀基板用コンパネの外部配線を繋ぎ変えるだけで
キーマトリクスそのままで遊べるのはラッキーでしょう。

…と言うか、この当時の仕様がその後ずっと引き継がれていると言う事なんで
しょうね。(^^)

それにしてもこの基板、基板屋さんでめっきり見掛けなくなりましたね。
昨年ファントムさんで3Kでリストに上がったのが最後でしたでしょうか…
(念の為申し上げておきますが、こんな安値が付く事はもう無いと思います。)


−あとがき−

麻雀ゲーム、今はすっかり変わりましたよね。
何ですか、当時麻雀ゲームにギャルの絵を入れたら(雀豪ナイト当たりかしら?)
妙にインカムが良くて、試しに脱ぐようにしたら高インカムが得られて、その後
「麻雀」=「脱衣」の図式が成り立つようになったと聞きます。

そう言えば当時、
「最後まで脱がしたら…チョウチョが止まってたんだようっ!」
と友達がこぼしていましたが、はてさて、あの脱衣麻雀の機種名は何と言いました
でしょうか…今となっては思い出す術もありません。
まあ良識ある友達からから散々金をむしり取った悪魔のような機種でしたので、
思い出したいとも思いませんですが。(笑)

ひょっとしてムーンクレスタ当たりが脱衣だったら今頃は
「シューティング」=「脱衣」の図式が一般的になっていたかも知れませんね。
日物内部では当時脱衣シュー企画があったけれども内容が過激過ぎてボツに
なったそうで、1面の教育的指導敵キャラ(コールドアイ)やドッキングの
フィーチャーはその名残りだと言うのは全くのデマです。

                                  by館主



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