2005. 6.5UP


−こいばな第29話−
せりあん

HP:〜キバンのススメ〜
http://www.kiban.ath.cx/
HP管理人:HINさん

さてさて、コンテンツの更新は1年半ぶりでしょうか、月日の経つのは早い
ものですね。
皆様変わらず基板を楽しまれていらっしゃいますでしょうか。(^^)

少々唐突ではありますが、今回は館主の良い基板仲間、せりあんに纏わる逸話を
紹介させて頂きたいと思います。

館主が知る限り、せりあん程濃い基板ライフを過ごしていた人物はいない
でしょう。
自宅に置かれた29インチ大型筐体が2台(縦画面,横画面専用)におよそ
1,000枚に近い基板。…また良く集めたものです。

この業界、ややもすると所有基板枚数が多く珍しい基板を持っている程
いかにもそれが高いステータスで偉いことのように誤解したり、またはされたり
しがちですけれど現実はたかが道楽の遊び道具かと思います。

せりあんは実際その辺良く承知しておりまして、珍しいロケテの没基板を
持っているからと言ってそれをただの一度も自慢した事はなかった思慮深さを
持つ好人物。
遊びたい基板を学生時代から集めていたら結果そうなっていたと言うか、
彼の本当の素晴らしさは入手した基板を次々とクリアするけれど、その腕前の
凄さを決して自慢する事は無かった等、その生き様にあったように思います。

さて、つまらない逸話ばかりかとは思いますが館主に取っては良い思い出。
中年親父の独りよがりな文章、斜め読みでもして頂けましたら幸いです。


−逸話その1−

せりあん、ある日CP2を立ち上げた際に煙が吹き出して異様な臭いが部屋に
立ちこめる異常事態が発生。
…どうやらハーネスの挿しズレが原因で電解コンデンサがパンクした模様。
その後システム基板は二度と立ち上がる事が無く、粗大ゴミ化決定。

「まいっか!」

…せりあん瞬時に諦める事に。
せっかく購入した基板、少しは何とかならんものか考え込みそうなものだが
立ち直りが常識外れに早いと言うか。(笑)

実はせりあん、基板の取り扱いが結構ラフ。
特に麻雀もの等のゴミ基板に対しては容赦無し。
検品前の基板が剥き出しで部屋に放置されていたりで、立ち上がらない基板を
放り投げては仲間内を驚かせたものだった。

「ゴミですな、捨てましょう」

これ、私が最も好きな彼の名言の一つ。
基板が壊れたからと言って、それはおもちゃが一つ壊れただけのこと。
皆様も見習いましょう。

基板を一枚失ったからと言って人生変わるものでは無いこと、それよりも他に
遊びきれない基板が多くあることを館主せりあんから学ばせて貰いました。
基板が壊れたからと言って延々嘆くものではありません。

尚、せりあんはプチプチで基板を定期的に包み直すマメさもあったこと、
彼の名誉の為に補足しておきましょう。プチプチは一年程で静電防止の効果が
薄れると聞いた記憶があり、これは見習うべきでしょう。

補足ですが電解コンデンサが過電圧でパンクした際に発生する煙が目に
入ると失明の恐れがあると聞きます。基板を剥き出しで遊ばれている方は十分
お気を付け下さいましたら。


−逸話その2−

ある日の事、せりあんから唐突なショートメール。

「あっくん、冷蔵庫いる?」

…どうやらせりあん邸で不要になった冷蔵庫がある模様。

自慢では無いが当館には冷蔵庫が無かった。
当館から歩いて数分の距離にサンクスと言う大きな冷蔵庫があった訳で
基板は買うけれども冷蔵庫の購入は後回しにし、気付けば長年の月日が経って
いたと言うダメ人間ぶりを暴露していた館主。
それを覚えていてくれた事を嬉しく思いつつありがたく申し出を受ける事に。

やがて届いた冷蔵庫。
早速開梱し、扉を開けてみたところ…

…基板が出てきた。

「…や、やるなせりあん…」

冷蔵庫に基板が入っているのを見たことが無い館主、初めての出来事に思わず
狼狽えモード。
確かにこれなら輸送で基板が壊れる心配が無い。
冷蔵庫に基板を入れていけない法は無い。
ややあって彼がオークションで出品していた基板を館主何枚か落としていた事を
思い出す事に。

せりあん、普段はぶっきらぼうな装いをしているくせに、実はさりげなく
友達思い。当館に冷蔵庫が無い事をずっと覚えていてくれたのだった。

さて冷蔵庫をゲットできた館主。
冷蔵庫と言えば家電の三種の神器(テレビ,洗濯機,冷蔵庫)の一つ、自慢で
仕方が無い。
残念ながら当館には現在「テレビ」なるものが揃っていないが(本当)、
暫くの間当館を訪れる来客は冷蔵庫の自慢話を聞かされる事となった。

館「さて、余ったおかずはしまっておこうかな、冷蔵庫に
 「ジュースを冷やしておこうかな、
冷蔵庫で

今までサンクスで買った氷は溶かすばかりだったけれども、余った氷も保存
できる事に気付いた館主、嬉しくて仕方がない。
氷の買い置きがいくらでもできるなんて夢のようだ。

後日、基板仲間のHさんから「氷は買わなくても製氷皿があるでしょう」とありがたく突っ込んで
頂きました。 …

皆様のご家庭にも一台いかがでしょうか?冷蔵庫。
…と言うか…

今の家電の「三種の神器」はどうも定義が違ってきているみたいですね…(汗)


−逸話その3−

スクランブルのコピーを出品したせりあん、生憎彼が所有している筐体には
たまたま−5Vの電源出力が無く(または壊れていたのかも知れません)、音声確認が
できず。
やむなく「ジャンク」として出品する事に。

…ところが…
落札者から「音が出ない」とクレーム。
どうやら本当に音声が出ない故障基板だった模様。
出品のコメントとして明確にジャンクである旨明記していたと聞くが、どうも
相手が悪かった。

やりとりの末基板をもう一枚発送したとのことで

「結局大損ですよ…(T_T)」

とは彼の弁。

館「…優しいなあ…(^^;; 」

なんだかんだ言ってこんな理不尽な落札者に対応してしまうせりあんの
心優しさを垣間見る事ができた出来事。
もし館主が出品でこんな目に遭ったら真っ向から迎撃したでしょうね。(笑)


皆様、オークションで「ジャンク」と明記されている基板を落札しておいて
「動かない」とクレームを付けたりしませんよう。
笑われるだけです。


−逸話その4−

当館現役運営中の頃の話。
せりあん、往年の親友Hさんと二人連れで当館に遊びに来る事に。
当館ご近所のG氏も加わり基板のオフ会が始まった。

さて、せりあんのプレーのさりげないうまさと言ったら。
一度ソンソンを始めたと思ったら延々終わらない…
聞いてみたところ「以前8周位したが終わらなかった」とかで館主には到底
マネできない。
一見実に簡単そうにプレーしているが、本当の達人ともなると往々にして
そのように見えるものなのであろう。

次々と基板を遊ぶ中、引っ張り出して来たのはストIIさくら。
早速対戦、館主(さくらで)挑むものの、手もなくひねられボコボコに。
…どうやら戦う相手を間違えたようだ。

次の対戦相手はG氏。
ゲームにはすこぶる腕に覚えがある全一ハイスコアラー。
相手に不足は無い。
館主の仇を打ってくれる事を密かに期待したが…
どうもいつもと様子がおかしい。

G氏(ザンギの名手)も勝手が違う事に気付き始めた様子。
結局G氏の勝率が悪いまま対戦終了。


「…実はせりあん、都のストII大会で優勝してるんですよ」

とボソリ館主に真実を伝えるHさん。
言葉が持つ意味の凄さに驚く館主。

「…あいつ、途中手加減してたよな…」

ともう一方でボソリ呟くG氏。

目が節穴な館主には対戦の賭け引きが高等過ぎて何も判らないが、どうやら
上級対戦者同士であるとそれとなくその辺気が付くらしい。

何も言わないけれど実はとても強いと言う漢の格好良さ
を見せ付けられた館主。
それにしても、そんな事を普段一言も言わなかったとは、
せりあんも人が悪い。(笑)

蛇足ですが、せりあんの影響を受けた後の館主、当館に訪れる会社の同僚
(中年親父)相手に「みんなのゴルフ」で対戦し、ほんの数打差でいつも
勝つよう手加減するようになりました。

…後で同僚にうっかりセーブデータを見られ、実はみっっっちり猛練習していた
事実を知られて二度と対戦して貰えなくなってしまいましたけれども。
「このゲームどうやるのか良く判らないんだけれど〜」と初めにオチャメして
いた事が嘘とバレてしまった訳ですけれど。
「あれ〜、勝っちゃったー」と素直に喜ぶふりして内心優越感に浸っていた訳
なんですけれど。

…せりあんの真似をしたつもりですが、なぜかこれ、ちっとも格好良い気が
しないのは館主だけでしょうか。

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−2005年6月11日追記その1−

追記1.
 Hさんより補足のコメントを頂きました。
 ・彼が対戦の大会で優勝したのは都の大会ではなくて、とある
  ゲーセンで行われた大会でした。
 ・参加人数は確か40人ぐらいだったと記憶しています。

 館主、当時のオフで話を聞き間違えていたようでどうも申し訳ありません。
 それにしても「トーナメント戦+決勝だけ総当たり」の対戦ルールで
 強豪相手にせりあんは無敗だったようで、やはり半端な強さではないですね。

追記2.
 G氏から頂いたメールを無断掲載。(本人未承諾)
 「格闘ものは1Pの点稼ぎばかりで対戦自体はあまりうまく
  ないんです f(^^;;;;」
(原文ママ抜粋)

 確かにハイスコアラーと言えば普段CPU相手に点稼される方々。
 対CPUと対人とではいささか勝手が違いました。(笑)
 全国ハイスコアラーの方々の名誉の為に補足させて頂きます。

 
>基板をローラーで轢いて修理に持って行った話と…

 そんな逸話もありましたね。(笑)
 折角ですからせりあんのローラー事件、追加しておきましょう。

 せりあん、工事現場で基板をローラーに轢かせてペチャンコに。
 煎餅基板を基板屋さんに持ち込み「修理をお願いします」と差し出した
 ところ速攻でゴミ箱に投げ棄てられたとのこと。

 …いや、何か意味あるんですかねこれ。
 せりあんやることが滅茶苦茶です。

以上、追記その1終わり
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−逸話その5−

2004年6月頃、せりあん大型バイクの免許を取ることに。
唐突に言い出すよりも早く即行動に移すのが彼の性格。
「おかあさん、実は僕大型バイクの免許を取ったんですけれど」
と免許を取ってからいきなりお母様に見せて驚かせたりとか、ご子息の性格を
一番把握されているご両親でさえいつも驚かされ通しだった模様。

さて、元々凝り性を絵に描いた性格の彼のこと。
半年の間に走った距離は3万5千キロ程だったとかで愛車XJ1300の
改造がまた半端では無く、留まる事を知らなかった。
メッシュのブレーキホースやらスタビライザーやらパーツの交換に交換を重ね…
気付いたら100ン十万のローンを抱える事に。

それでも所有基板をオークションに出し捲り、売れないゴミ基板は某基板屋さん
に持ち込んできっちりこれを返済したその持ち前の行動力は凄かったと言うか。

「店に買い取って貰っても○○円にしかなりませんでしたよ…(T_T)」

と彼は嘆いていたが、後日買い取りした某店側の情報によれば
「本当にゴミばかりでした…(^^;; 」とのことでそれは自業自得かと。

なんですか、せりあん親友のHさんが大型筐体を2台購入するか悩んでいる
ところに「じゃ、取りに行こうか」と後ろ押しして4tトラックを準備して
本当に東北まで取りに行く手伝いもしたのですから…
まあ、何か思い立ったら有無を言わず即行動の性格、ものぐさな館主にはまず
真似できませんで、是非見習いたいところでしょう。(笑)


−逸話その6−

かなり以前、あるオークションでの出来事。
たまたまブロックギャルの出品を基板仲間に教えて貰った館主。
当館のブロックギャルは生憎変換基板とパドルが無く、すっかりプレーを
諦めていたが…
P付きで即プレーできるとあれば刹那に欲しくなると言うもの。

館主うっかりある事を忘れ、これに入札してしまったのであった。

入札直後速攻で掛かって来た電話。

「あっくん、なんで入札したのっっ!?」

せりあんの声だ。何故か怒っている。

…?
なぜこのように言われるのか、にわかに理解できない館主。

「Sさんが作ってくれるって言ってたじゃない!」

…!!
Sさんが変換基板とパドルを一式作って次のオフで持って来てくれる事に
なっていた事をうっかり忘れていた館主。(汗)
(実はSさん、この道が本職。)
自分からSさんに商談を持ち掛けておいて、これ程忘れっぽい自分を恨んだ
事は無い。

館「しまったあ、どうしよう…オロオロ(T_T)」
せ「あーあ、この入札者、途中で諦めたら手を引く人だよ」
 「あっくんの落札で終わりだね!」

…また良くそんな事まで知っているものだ。

入札額は館主が入れた最高額に差額あと500円で止まったままでいる。
刻一刻と迫る終了時間。

「た、頼む、あと千円、千円入れてくれればあなた様が落とせますから…」

普通はこれ以上入れないでくれればと願うところだが、この日は違った。

結局その日はせりあんの予想が外れ、終了間際相手の方が高値を更新して
下さり、目出度く無駄な出費を回避。
…一気に身体から力が抜けた館主。

「…よ、良かった…(T_T)」

もしせりあんの電話が無かったらまた無駄な入札を続けていたはず。
館主感謝する事しきり。

後日オフに訪れたSさんからパドルを受け取り、無事ブロックギャルが遊べる
ようになった館主ではあったが…
それにしてもせりあんの情報入手の早さ、情報量の多さはどこから来るのか。
情報に疎い館主に取っては到底真似できるものでなく、未だ謎のままだったり
するのである。


−逸話その7−
この話はせりあん学生時代からの親友お二方から教えて頂きました。

およそ10年前。
せりあん、学生身分で基板を購入するものだから当然仕送りが底を付く事に。
漢は一度欲しいとなったら子供が飴ほしがるようなところがあり、例えそれが
自分の生活レベルが落ちる結果を招いても一向に差し支えないもの。
(その昔、漢たこやきのともぐいさんが基板を買った為に財が尽き、カロリーメイトだけで2週間暮らして
死ぬ目に遭った、なんて事がありましたね)

財布の中身が底を付き掛け、いよいよ食べるものに困り出した頃になって
彼が取った行動は…
レトルトカレーを一袋買い、それで大盛りご飯を食べると言うものだったそうだ。
少ないルーを駆使しつつ、大盛りのご飯をかき込んでとにかく腹を膨らませる
手法、ひたすら貧しい食生活いや涙ぐましい思い付きである。

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−2005年6月11日追記その2−

HINさんの記憶によれば、
「カレー一つで5合とか食ってたような…。」
との事でした。

米の量がまた半端じゃありませんね。(^^;;;
一体どうやってルーを駆使したんでしょう…私も見てみたかったです。

以上、追記その2終わり
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なんですか、せりあんが当時買ったレトルトカレー、実は「セーラームーンカレー」
だったそうで。 …(さすがにご両親には内緒とのことで)
買う段になると刹那に恥ずかしくなるような気がするのですが、どうやら
なりふりかまっていられなかったようです。

基板の為に生活を捨てていた漢せりあんに乾杯。

…ちなみに、例えせりあんのご両親が仕送りを倍にして下さったとしても、
せりあん変わらず同じ生活を繰り返していたのではないでしょうか。
漢ってそんなもんです。


−あとがき−

せりあんのホームページ「〜キバンのススメ〜」はせりあんの親友だった
HINさんのご好意によって復活致しました。
せりあんの往年の濃い基板ライフを知る事ができて懐かしくもあり嬉しくも
あります。

享年三十歳、あまりに早過ぎる貰い事故による他界。
せりあんのご冥福を心からお祈りします。

せりあんがどう思っていたかもう知る由もありませんが、私のような人間と
何の屈託も無く付き合ってくれたこと、今でも感謝の念に耐えません。
基板の良さ、バイクの良さ等を心から理解を示してくれ、教えてもくれた
友達を失ってみて館主初めてその存在の大きさを知りました。
ご両親、そして親友の皆様方の心中、察しようがございません。

ただ一つ申し上げておきましょう。
彼はそんなにも良い家庭環境とそんなにも良いご両親に恵まれ、これ以上は
無い程多くの愛情を注いで頂いて自由奔放に人生を送る事ができた、大変な
幸せ者だったと言う事。

皆様も所有基板の枚数やゲームの腕前をよりどころにせず、
さりげない気遣いをして気付かないふりができ、刹那に自分の事よりも人の事を
考える事ができる、せりあんのような良い漢になって下さいましたら。

このコンテンツを故せりあんに捧げます。

−by館主−



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