-バッテリーバックアップ基板について-

さてさて、基板と言うものは外から電気を貰って動作するものなのですが、実は
一部の基板にはバッテリーを搭載しているものがあるのです。

バッテリーって、平たく言えば電池です。電池と言うものは寿命がありますよね。
バッテリーバックアップは基板に電気を入れなくてもゲームに関連するデータを
保持する目的で付いているものです。

この電池が切れてしまった基板はどうなるのか、いくつか例を挙げていきますので
未然にトラブルを防ぐ、又は対処する為の情報として頂ければ幸いです。
バッテリーと言えば寿命が来たら交換すれば済むはずなのですが…
まあ、以下をご覧下さい…。



-バッテリーは何に使われているのでしょう?-

バッテリーバックアップは何の目的で行われているのか、以下に挙げます。
目的は色々です。

 ・大切なゲームのデータをコピーされないように敢えてROMを使用せずRAM
  を使用する為。(ROMは電気を消してもデータは保存される素子ですので、
  不法にもコピーが可能なのです。コピーする為には記憶素子を外す必要があり
  これができないようにしているのです。
  (これ以上の詳細説明は避けます。)

 ・ゲームのシステム設定を保存する為。難易度設定、残機設定、エクステンド、
  コンティニューの有り無し、コイン当たりのクレジット数等の、通常はディップ
  スイッチで行われる設定を保存するものです。
  この手の基板は画面上で設定を行います。
  バッテリーバックアップが無いのに画面上で設定し、記憶させるものもあります
  が、これは「EEP−ROM」等を使用しているものです。(蛇足です。)

 ・ゲームプレー回数、プレー平均時間等、オペレーター用の稼働率を示すデータ
  
を保存する為。
  マニアがプレーするに当たってはあまり意味の無いデータです。

 ・ゲームのハイスコア保存等。ハイスコアキャンペーンなどある基板に採用される
  ことがあります。これも上記2.と同様、EEP−ROMが使用されているもの
  もあります。

それでは、実際にバッテリーバックアップを使用している機種を紹介し、バッテリー
切れで何が起こるか説明します。知っておけばいざと言う時に慌てずに済みます。



その1.19XX(CAPCOM)

カプコンのシステム基板、CPシステムIIはゲームシステムプログラムをバッテリー
バックアップしている代表機種と言えます。
外観は以下に示す通りです。
中を開けてお見せできないのが残念ですが、(もし開けたら、2度とメーカーの
修理を受けられなくなる可能性が高くなりますので、皆さん注意して下さい。)
中には樽型の3V程の特殊な電池が入っております。

勿論、19XXに限らず「クイズ七色ドリームズ、虹色町の奇蹟」とか、あとは
どうでもいいですが「春麗」「ブルチラさくら」「モリガン」が出てくる
館主に取って大好きなギャルゲいや格闘技ゲーも同じCPIIです。

バッテリーの寿命は3年とも5年とも言われていますが、湿気の多い場所で保管
する等、条件によって寿命は異なって来るようです。
初期スーパーストIIの頃はチャージャブルなバッテリーだったので、定期的に通電
しておけば充電されたようですが、5年程前の円高不景気のあおりで安い
ノンチャージャブルタイプが採用されるようになったようです。

ついでにサブボードに付いていたコインカウンターや、開封阻止の為の封印棒
も廃止されてます。おかげでアノ機種のバグ対策はディストリビューターで対処
できて良か(以下略)

最近は10年は持つスーパータイプに電池が変更されたとか…すみません、
館主の記憶違いがありましたらどなたかご指摘下さい!

… … … … …

−2002年2月9日追記−
ご自身で多くのCP2の電池を交換されていた方から、
「充電タイプの電池は見なかった」と言う情報を頂きました。
上記の件、館主の記憶違いで充電タイプの電池が初めから使われていなかった
可能性が大いにありますのでここで補足しておきます。
補足終わり。

… … … … … 

この電池が切れるとどうなるかと言うと、
一面青い画面等が拝めるようになります
どんなにあがいても大切なデータが飛んでしまった以上、ゲームプレーは不可能
になります。もうこうなったらメーカーに修理に出すしかありません。
始めは送料込み1万円程だった手数料が、あまりの件数の多さからか、2万円程
になったとか。スーパーな電池に変更されたのはこういう背景からかしらん…?
まあ、こまめに通電していれば、ダイオードを通してバッテリーラインに電圧が
加わるので、若干の延命措置になるような気がします。
…気休めかも知れませんが。(笑)

このたぐいの基板は延命の為にこまめにプレーすることをお進めします。
何も悪い事をしていないのにある日突然基板が死ぬ…
まあCP2を購入する際にはこういう覚悟が必要と、きっぱり割り切って下さい。
本来商品の性格上、数年も稼働するはずは無いものですから、これでも問題は
無いのです。
まさかマニアが家庭で末永くプレーすることなどメーカーはいちいち考えては
おりません!

…しかし誰が命名したのか「いぢわる電池」!!…言い得て妙ですよね。

その他、同様のコンセプトの基板、長い間放置しておくと確実に死が訪れる基板に
雷電2」「リバーパトロール等のオルカ社の基板」が挙げられます。
(…後者をここで今更挙げる意味があるのかは…?)(笑)



その2.フリスキートム(日本物産)

ええと、フリスキートムと言っても、初期バージョン(基板の長手方向の寸法が
一回り大きい方)の方です。
後期バージョンはディップスイッチ仕様に変更されておりますね。
(超マイナーネタで申し訳ありません。)
基板のバッテリー部分を下に示します。元々バッテリーホルダーも紛失していた
故障基板で、館主が勝手に修理しているものですからオリジナルのものとは外観
が異なります。
余談ですが、あまりに古い基板なので修理を断わられてしまいましたが(笑)、
わざわざ配線表をFAX下さったり、日物さんはとても親切でした。

このバッテリーが死んでも、ゲームができなくなる訳ではありません。
ゲームのクレジット設定、残機設定、エクステンド点数の設定がバックアップ
されています。
バッテリーが死ぬと設定が消えてしまうので、電源をいれる度に再設定する
煩わしさが発生します。まあ、バッテリーが切れてもさして影響は無いですが
バッテリーはあった方が良いと言う程度ですね。
これと同じコンセプトの基板に「QIX」(TAITO)がありますが、これは
もっとコンフィグ内容も複雑多岐に渡り、輸出を睨んでゲーム画面で使用される
言語まで設定するシロモノです。

参考までに下にQIXのバッテリー部分を示します。
しかし変な格好の電池ですねえ…既に電池は切れており、立ち上げる度に
再設定…ああ面倒臭いったらありゃあしません!



その3.マリオブラザース(任天堂)

一世を風靡したマリオ兄弟の大元はこのゲーム。(ルイージ初登場)
マリオ兄貴だけはドンキーコングに抜け駆け出演していましたね、
どうでも良い事ですが。

バッテリー部分を下に示します。

この基板のバッテリーバックアップで保存されるデータはプレー回数(クレジット
数)やプレー時間の集計等です。オペレーターに役立つデータですが、基板マニア
にはあまり意味がありませんね。まあ、電池は無くても全然影響ありません

同様なコンセプトの基板にS−TVマザーボード(SEGA)があります。(下の
画像がそうです。)こちらは時計機能も付いていたりして、NEOGEOのマザー
ボード同様、日にち毎のインカム集計の情報がバックアップされています。



その4.ゲーム天国(JALECO)

ジャレコシステム基板、メガシステム32に対応するゲームですね。マザーボード
は「湾岸戦争」のサブと共に某所で出張稼働中の為画像データがありません。(^^;
確かマザーに水銀電池が付いていた記憶がありますが、ひょっとすると
サブボード中でバックアップが行われているのかも知れません。
(しかもEEP−ROMだったりするかも…ごめんなさい恐くて開けられません)
ええと、これに付いては現在ブツが手元に無く全く推測のお話ですので
「その4」に付いてはどうぞ読み飛ばして下さいと言うことで…


-まとめ-
以上拙い説明でしたが、どうぞこんな仕様の基板もあるのだなあと知って頂け
れば幸いです。
説明でお判りになったかと思いますが、やはり一番問題になるのは「CP2」
でしょう。
でも、くれぐれもカプコンさんを逆恨みしてはいけませんからね!!

ある筋の情報でCP2を解体し、バッテリーラインを無理やりプルアップ
しながら電池の交換に成功した!…そんなデインジャラスな話がありましたが、
確かに電池代だけで数年間の寿命を新規で得られるのは魅力ですが、万一失敗
したら2度と修理を受け付けて貰えなくなりますから、館主は表向き絶対に
お薦めしません



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