ディスペンシングの基礎


1.ピクニックフォーセットでのディスペンシング

泡入れが済んだら、いよいよビールを飲みましょう。ケグに入れて数日から一週間程度(揺すってガスを入れた時はその日のうちに)で飲めるわけですから、瓶詰めにくらべるとかなり早く飲めます。この点もケグの良いところでしょうか。

さて、飲みたいビールの入ったケグにガスラインをつなぎ、リキッドアウト側にもコネクタとホース、そしてピクニックフォーセットをつなぎましょう。ガス圧はとりあえず泡入れ時の圧を掛けてください。この状態でピクニックフォーセットのノブを絞ると、ビールが出ますが、勢いが強すぎて泡が多くなる様ならガス圧を下げ、逆に勢いが弱い場合はガス圧を上げてください。なお泡の勢いを弱めようとして、フォーセットのノブを少しだけ絞るようにすると、かえって泡が増えてしまいます。全開にして抵抗を少なくした方が泡を少なくできます。

ケグ内の残留圧が強すぎる時、いくらガス圧を下げてもビールの勢いが強すぎることがあります。そういう場合はレリーフバルブを開いてケグ内の圧力を少し抜いてやると良くなります。ただしケグの中の圧力を減らすと、ビールに溶けていた炭酸が今度はケグの上面に抜け出てしまいますので、飲み終えたらガスを再度入れ、適正な圧力に戻すようにしておきます。

2.ノーフォームライン

元のビールが過度に泡入れしたものだったり、温度が高すぎる場合は、確かに泡が多くなります。しかしこれらが最適であっても、タップから出るビールの勢いが強すぎれば、結果的にグラスの中の泡は多くなってしまいます。この解決方法としてケグの中の圧を抜く方法もありますが、毎回これをするのは面倒です。そういったことをせずにタップから出るビールの勢いを弱めるにはどうしたら良いのでしょうか。

ホースを通る時、ビールはケグから出たそのままの勢いでタップまで到達するわけではなく、徐々に勢いを減らしながら出口にやって来ます。それはホースをビールが通る時に抵抗を受けるからです。そしてこの抵抗はホースの径が細ければ細いほど大きくなり、またその長さに比例します。ですから、100mものホースをケグにつないだとすれば、ビールはおそらくタップまで到達できないでしょう。以下はホースの径と抵抗の関係を表したものです。

ビニールホース1メートル当たりの圧力低下量
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内径 1/4"(約6.35mm):0.2 kgf/cm2
内径3/16"(約4.76mm):0.7 kgf/cm2
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タップの出口でのビールの最適圧力は 0.2kgf/cm2 程度と言われています。そこまでビールの勢いを減衰させるためには必要なホースの長さは、以下の式で求めることができます。

L = (IF - OF) ÷ RT
L:ホースの長さ、OF:タップの出口での圧力、IF:ケグ内の圧力、RT:ホースの抵抗。

例えば使うホースが内径1/4"のビニルホースとすれば、ホースの抵抗RTは0.2となります。そしてケグの内圧が1.5kgf/cm2だった場合、
L(m) = (1.5 - 0.2) ÷ 0.2
となりますから、長さは6mとなります。6mでは長すぎるので3/16"のホースを用いればRTが0.7となり、長さが1.9mで済むことになります。


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