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太陽と情熱の国 ・・・スペインといえば、ふつうまっ先に思い浮かぶのはこんなイメージでは? さらに、スペインはあと2つ絶好の条件をそなえているように思います。 もうひとつ旅行者の私にとって好都合なのは、人口の割りに鉄道やバス等の公共交通機関が発達していること。「こんなに人がいない所なのに?」と思うような地域にまで、なかには1日1便あるいは週1便といった場合もありますが、「交通弱者」を生まないための配慮がなされているようです(たぶん1990年代半ばまで社民政権が13年間続いたおかげ)。Naturistビーチはへき地にあることが多いので、これはとてもありがたいことです。 | ||
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・・・・・これまで
スペインでは1930年代にはヌーディズム運動がある程度普及していたといいます。ところがその後、スペインのヌーディズムは他の西ヨーロッパ諸国とはかなり異なった道を歩んできました。というのも30年代なかばに始まった「スペイン市民戦争」にファシスト派が勝利し、軍事独裁政権の支配が1970年代なかばまで存続したからです。軍事独裁政権下では治安警察が国内での民主化や自由を求める動きに目を光らせていたため、Nudism/Naturismは「公序良俗に反する行為」とみなされおおやけに実践することはほぼ不可能でした。 それでも観光の大衆化によってスペインを訪れる外国人観光客の数が爆発的に増えた1960年代には、「ヒッピー」たちもやって来て地域によっては「自由」を求めて裸で集い、当局とあつれきを起こすようなこともありました。 そして1975年の独裁者フランコ将軍の死とそれに引き続く民主化の流れの中で、スペイン社会は短期間のうちに大きな変貌を遂げます。せきを切ったような「自由化」の動きが始まったのです。民主主義の確立や検閲の廃止や地方自治の急速な進展とともにそれは道徳観念の荒廃や犯罪の増加を招いた面もありましたが、EUの一員となって政治的、経済的地位が向上したのと同様にあるいはそれ以上に、スペインは「Naturism大国」への道を歩んで来たのです。 もちろん民主化後のスペインでもNaturismが社会にひろく認知されるようになるまでには、それを排斥しようとする人々(それは時と場所により、例えば地主、警察、地方当局、保守的な地域住民、一部の保守的な司祭、のぞき趣味の人達、等々)との間でさまざまなあつれきや闘争がありました。ビーチに裸でいるだけで石を投げられたり警察に拘束されたりすることも起こりました。このような事態を少しずつ誤解や偏見を解くことによって打開していった先駆者達の努力のひとつとして、Naturist団体の設立があげられるでしょう。1977年の「カタロニア・ナチュリスム協会」の設立を皮切りとして現在に至るまで少なくとも10以上の州で同様の団体がたち上げられ、これらの連合体として「スペイン・ナチュリスム連盟(FEN)」があり、これがまた「国際ナチュリスト連盟(INF)」に所属する、といった構成をとっています。 これらの団体のほかにももっと小さな単位で地域のグループがビーチの維持管理に携わったりしていることや、世界各地からのツーリストや長期滞在者を迎え入れているNaturistリゾートやキャンプ場がいくつも存在していることも忘れてはなりません。また私が多数出会ったようなごく一般的なNaturist、つまり日常生活の合間にあるいは週末に身近なビーチでしばしば気軽に裸で過ごすことを楽しんでいる個人個人が、むしろ今日のスペインのNaturismの主役だと言っていいかもしれません。 ビーチに関して言えば、1978年にCabo de Gataのボロナル入江がNudistビーチとして公式に認定されて以来、公認ビーチは全国に増え続けています。これらは地域の役所の役所の所轄官庁に申請して認められ、「Nudist/Naturistビーチ」の表示が掲げられたタイプのビーチです(役所がこのような申請を認めることは日本では信じられないことですが、「自由」や「国民の利益」を最大限に尊重する価値観と観光を重要産業として振興する姿勢が寄与しているに違いありません)。このほかに公認ではないが表示のあるビーチと公認も表示もないがNaturismが一般化しているビーチを合わせると、現在その数はスペイン国内に無数にあると言っていいでしょう。私の手元の資料の一つでは217ヶ所、資料によってはもっと多かったり少なかったりしますが、とにかく増え続けていることだけは確かです。
Playa de Torimbia
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こんにちのスペインのNaturism状況は、以下の2点が特徴的だと思います。 1.どこでも楽しめる! もちろん「どこでも」というのはどんな場所でも裸になれるという意味ではなく、地域の偏りが少ないということです。1970年代後半以降の急激な「自由化」「民主化」は、中央集権体制からの解放=地方自治の確立でもあったせいか、沿岸部の各地域では「自分たちの場所でNaturismを最大限に楽しみたい」という意識が強く、結果としてまんべんなく各地方にNaturistビーチが点在しています。他の国々に多いような「外界から閉ざされたNaturistクラブ」や「お金持ちにしか利用できないNaturistリゾート」は割合いとしては比較的少ないと言えます。 ですから、旅行者としてスペインを訪れた場合スペインのNaturismの全貌を知ろうとするのはあまりにも地域的な広がりが大きいのでかなり困難なものの、観光のついでに近場でちょっと楽しむ、といったことなら(スペイン人達が日常生活の合間にちょっと楽しんでいるのと同様に)わりと容易に実行可能です。 (内陸部では海岸地域のようにはいきませんが、それでもNaturistリゾートはいくつかありますし、近年各地のNaturism団体によって湖畔や川沿いのビーチが生まれています。)
2.Nudist/Naturistビーチがなくなる? ほんとうにだんだんと消えて行くかもしれません。とは言ってもNudism/Natirismの衰退とはまったく反対の意味で、普及したおかげであえて特定のビーチとして存在する意味がなくなっていくということです。かつては特定の趣味の人達の限定された活動として目につきにくいビーチで行なわれ、次第にそれらのビーチが公認されてきたのがこれまでの歴史でしたが、現在のスペインでは裸の人と水着をつけた人達が混在するビーチの方が数多く見かけられるようになり、こんな光景は少しずつメジャーなビーチまで広がりつつあるように見受けられますし、法律上も理論的にはどこのビーチで全裸になっても罰せられることはないそうです。Naturismが健康的なライフスタイルのひとつとしてすっかり一般に認知されていることは、私がスペイン滞在中にたまたま目にした新聞(一般紙)の特集記事や映画のシーンなどから判断しても、ほぼ明らかです。Naturism専門誌「todo naturismo」は99年に廃刊になってしまいましたが、直接の理由はともかくこれは悲観すべきことではなく、Naturismが特殊なものではなくなってきたという現在の状況を象徴することのような気がします。 もしあなたが、「まわりが全員裸の場所なら私も安心して裸になれるかも・・・」と期待してスペインを訪れたとしたら、多くのビーチではそんな状況はちょっと難しくなってきていることに気づくかもしれません。Nudist/Naturistビーチの表示があるないにかかわらず、各自がそれぞれの好みや価値観に応じて全裸になる人もいれば水着をつけている人もいる、といった光景を目にする可能性が高いでしょう。互いに見ることも見られることも気にせず(意識しないというのではありません、お互いに過剰な興味や差別意識も被害者意識もないという意味です、念のため)、自分のライフスタイルを実行できるという理想的な状況が、徐々に広がりつつあるようです。 最後に課題をひとつだけ。 (02年冬 記)
(追記 09年夏) | |||
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スペインのNaturism状況