- (1) 減価償却資産を取得した際の税務上の取り扱い
減価償却資産を取得した場合、一旦資産計上した上で、税務上認められた限度額の減価償却費を費用計上することとなります。
法人税法では、法人が任意に税法上の限度額の範囲内で損金経理した金額が損金になりますが、所得税法では、税法上の限度額を必ず必要経費とすることとなります。
- (2) 少額の減価償却資産
取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得し、事業供用した場合、取得価額の全額を損金にすることができます。
税務調査においては、次の項目等が調査されます。
- @ 10万円以上のものが損金にされていないか。税込経理の場合、税込で10万円未満の判定を行います。
- A 事業供用されているか。
- B 判定単位が間違っていないか。
- C 付随費用を取得価額に含めず、損金になっていないか。
- (3) 一括償却資産
取得価額が20万円未満の減価償却資産を取得し、事業供用した場合、取得価額を3期に渡り均等償却することができます。例えば、当期に15万円の資産を取得した場合、当期、翌期、翌々期に5万円ずつ損金にすることとなります。
税務調査においては、(2)@ABC同様(10万円を20万円に読み替えて)の項目等が調査されます。
- (4) 中小企業者の少額減価償却資産の特例
青色申告を行う中小企業者が平成26年3月31日までに、取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得し、事業供用した場合、取得価額の全額を損金にすることができます。
税務調査においては、(2)@ABC同様(10万円を30万円に読み替えて)の項目等が調査されます。
また、適用限度額が年間300万円となっているので、300万円を超える部分が損金になっていないかも調査されます。
さらに、確定申告書に明細書を添付する事が要件となっていますので、正しく記載された明細書が添付されているかも調査されます。
- (5) 判定単位
取得価額を判定する際、例えば、パソコン・増設メモリー・増設ハードディスク・プリンターを一式で取得した場合の少額の減価償却資産の判定で、個々の取得価額が10万円未満でも、一式の合計額が10万円以上なら、資産計上すべきこととなります。
- (6) 付随費用
取得の際の引取運賃・購入手数料・関税等の付随費用や、事業供用のために直接要した費用は、取得価額に含めなければなりません。
ただし、不動産取得税・自動車取得税・登記費用などの費用は、取得価額に含めないこともできます。