- (1) 交際費等の定義
交際費等とは、交際費、接待費、機密費、その他の費用で、得意先、仕入先、その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいいます。
- (2) 交際費等の税務上の取り扱い
所得税法においては、特に交際費課税の規定は設けられていないので、個人事業主の場合、事業関連性の明確な交際費等は、全額必要経費に算入できます。
法人税法においては、資本金1億円超の法人は、交際費等の全額が損金に算入できません。
資本金1億円以下の法人は、交際等の額のうち年600万円までの金額の90%が損金に算入できます。
税務調査においては、他の勘定科目に交際費等に該当する費用がないか調査されます。
また、交際費等の中に役員賞与に該当するものがないかも調査されます。役員賞与と認定されるとその全額が損金に算入できないばかりか、源泉所得税まで課税されます。
- (3) 5,000円以下の飲食費
一人当たり5,000円以下の飲食費については、所定の記録保存等を要件に交際費等から除かれます。裏を返せば、参加者・参加人数等の記録が不明確な場合は、交際費課税の対象となります。
また、役員や従業員に対するものはこの規定から除かれます。
- (4) 福利厚生費との区分
専ら従業員のレクリエーションのために通常要する費用や、従業員に支給する一定基準の慶弔費用は、交際費等になりません。
ただし、一部の幹部社員だけの親睦を目的とした旅行、忘年会等は、交際費等になります。
- (5) 広告宣伝費との区分
カレンダー、手帳、タオル等を贈与するために通常要する費用は、交際費等になりません。
単価が高額で特定の顧客に贈与するようなものは、交際費等になります。
また、一般消費者に対して広告宣伝効果を意図して支出する一定の招待旅行のための費用は、交際費等になりません。
- (6) 会議費との区分
会議に関連する茶菓、弁当代等を供与するために通常要する費用は、交際費等になりません。
通常の昼食程度の食事なら少量のお酒を伴うものでも、会議費として差し支えないものと考えられています。
判断が難しい場合は、(3)5,000円以下の飲食費に該当するかを判断基準にすれば、問題が生じにくいとでしょう。
- (7) 売上割戻し(リベート)との区分
一定の基準に基づき得意先に支払う売上割戻しや販売奨励金は、交際費等になりません。
ただし、得意先の役員、従業員に取引の謝礼として支払う場合は、交際費等になります。
- (8) 販売手数料(情報提供料等)との区分
事業者に支払う仲介料や情報提供料は、交際費等になりません。
非事業者に支払う情報提供料等で次の全ての要件を満たす場合は、交際等になりません。
- @ あらかじめ締結された契約に基づくものであること。
- A 役務の内容が契約において明らかにされており、実際にその役務の提供を受けていること。
- B 金額が役務内容に照らし相当であること。
税務調査においては、契約書や紹介料規定の有無、その内容の妥当性
が調査され、恣意的な支払がされている場合、交際費課税の対象となり
ます。