- (1) 福利厚生費の税務上の取り扱い
社員の福利厚生を目的として支出する経費については、税務上、福利厚生費として単純に経費とされるもの、給与課税の対象となるもの、交際費等となるものに区分されます。
税務調査においては、税務会計上、適切に区分し処理されているかどうか調査されます。
福利厚生費として認められるためには、社員全員に均等に機会が与えられていること、会社負担額が多額にならないことが、重要なポイントになります。
- (2) 社員旅行
社員旅行については、社会通念上一般的な旅行で、4泊5日(海外の場合は現地滞在日数)以内で、かつ、全社員の50%以上が参加している場合、給与課税はされません。
金額的には一人10万円以内が目安とされています。
ただし、自己都合の不参加者に金銭を支給する場合や、役員だけの場合は、参加者全員について給与課税されます。
- (3) 福利厚生施設
社員が利用する福利厚生施設(リゾートマンション等)の運営費等を会社が負担する場合でも、その額が著しく多額である場合や役員だけを対象としている場合を除き、給与課税はされません。
- (4) 食事
会社が支給する食事については、支給を受ける人がその価額の50%以上を負担し、かつ、会社負担が月額3,500円以下である場合は、給与課税されません。
- (5) 永年勤続記念品
永年勤続記念の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待したり、記念品等を支給する場合でも、その額が社会通念上相当なものであり、かつ、勤務年数がおおむね10年以上(2回目以降はおおむね5年間隔)の人を対象するものは、給与課税されません。
- (6) 商品等の値引き販売
会社が社員に商品等を値引き販売する場合でも、値引き販売価額が通常販売価額のおおむね70%以上であり、かつ、値引率が合理的に定められており、かつ、値引き販売数量が通常の家事消費程度のものである場合には、給与課税されません。
- (7) ゴルフのプレー費
社員がゴルフのプレーをするのに要する費用を会社が負担する場合、業務上必要なものについては、交際費等となりますが、それ以外のものについては、給与課税されます。
- (8) 社宅
会社が社員に社宅を貸与する場合、税法上規定されている賃料相当額と本人負担額との差額が、給与課税されます。
賃料相当額は、対象者が、使用人か役員か、役員の場合、会社所有か賃借物件か、小規模住宅に該当するか、豪華社宅に該当するか等の区分により計算方法が定められています。詳細については別の機会に譲ります。