- 1.現行の評価方法
年金受給権(年金を受け取ることができる権利)の現行法上の評価方法は、次のとおりです。
- (1) 確定年金の評価方法
確定年金の評価額 = 年金受取総額 × 下記表の倍率
残存期間 |
倍率 |
5年以下 |
70% |
5年超10年以下 |
60% |
10年超15年以下 |
50% |
15年超25年以下 |
40% |
25年超35年以下 |
30% |
35年超 |
20% |
-
(2) 終身年金の評価方法
終身年金の評価額 = 年間受取額 × 下記表の倍率
年齢 |
倍率 |
25歳以下 |
11 |
25歳超40歳以下 |
8 |
40歳超50歳以下 |
6 |
50歳超60歳以下 |
4 |
60歳超70歳以下 |
2 |
70歳超 |
1 |
- 2.評価方法の改正
年金受給権の相続税・贈与税の評価方法が次のとおり改正される予定です。
- (1) 年金の受取が開始している場合
次の金額のうちいずれか多い金額
- @ 解約返戻金相当額
- A 一時金相当額
- B 予定利率等を基に算出した金額
- (2) 年金の受取がまだ開始していない場合
解約返戻金相当額
- 3.適用時期
平成22年3月31日までに契約を締結し、かつ、平成23年3月31日までに相続・贈与等があった場合は、現行法で評価されますが、それ以外の場合は、改正法で評価される予定です。
- 4.対応策
- (1) 概要
現行法によるか、改正法によるかは、契約締結日と相続・贈与等があった時期により決まります。相続開始の日は人為で決められるものではありませんが、贈与の時期は計画的に決めることができますので、贈与による対策を考えるべきです。
年金受給権は、年金の受取が開始した時に、保険料負担者から年金受取人へその権利が贈与されたものとみなされます。
-
(2) 対策のポイント
年金受給権の贈与による節税対策のポイントは次のとおりです。
- @ 契約形態
契約者 : 贈与者(=保険料負担者)
被保険者 : 受贈者
年金受取人 : 受贈者
保険料 : 一時払い
据置期間 : 1年
- A 契約締結時期 : 平成22年3月31日まで
- B 年金受取開始時期 : 平成23年3月31日まで
- (3) 対策の効果
- @ 暦年課税で元本2,000万円の年金受給権を贈与
保険料2,000万円、受取総額2,400万円(年間60万円×40年)と仮定
評価額 : 2,400万円×20% = 480万円
贈与税 : (480万円−110万円)×20%−25万円 = 49万円
実効税率 : 49万円÷2,000万円 = 2.45%
- A 相続時精算課税で元本6,000万円の年金受給権を贈与
保険料6,000万円、受取総額7,200万円(年間180万円×40年)と仮定
評価額 : 7,200万円×20% = 1,440万円
贈与税 : 2,500万円以下のため非課税
相続時 : 相続財産に1,440万円を加算
対策をしない場合と比べ4,560万円(6,000万円−1,440万円)課税財産が減少
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