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1.医療費控除の改正
医療費控除の対象に、特定健康診断・特定保健指導(メタボリックシンドローム関連)のうち、積極的支援の対象者で生活習慣病診断基準を超える者が負担する特定健康診断・特定保健指導に係る費用の自己負担分が追加されました。
- 2.個人住民税の寄附金制度の改正
- (1) 概要
個人住民税の控除対象となる寄附金の範囲を拡大するとともに、控除方式を所得控除方式から税額控除方式(10%)に改められました。また、控除対象額が総所得金額の25%から30%に引き上げられ、適用下限額が10万円から5千円に引き下げられました。
平成21年度分以後の個人住民税について適用されます。
- (2) 控除対象の拡大
対象寄附金を従来の都道府県、市区町村、住所地の共同募金会および日本赤十字支部に加え、地域における住民の福祉の増進に寄与するものとして、都道府県または市区町村が条例により指定したものが追加されました。
ただし、都道府県の指定したものについては4%のみ、市区町村の指定したものについては6%のみ、税額控除が適用されます。
- (3) 控除税額の計算
{寄附金の額(総所得金額の30%を限度)−5,000円}×控除率(10%、4%、6%)
- (4) ふるさと納税制度
都道府県または市区町村に対する寄附金については、上記控除税額にさらに次の金額が控除税額に加算されます。
{寄附金の額−5,000円}×(90%−所得税率)(個人住民税所得割額の10%を限度)
- 3.住宅の省エネ改修促進税制の創設
居住者が自己の居住のように供する家屋について省エネ改修工事を含む増改築工事を行った場合に、その工事費用に充てるために借り入れた住宅ローンを有するときは、その住宅ローン残高(1,000万円を限度)に控除率を乗じた金額を5年間にわたり所得税額から控除する制度が創設されました。
控除率
- @ 特定省エネ改修工事に係る工事費用(200万円を限度)に相当する部分の金額の2%
- A @に係る住宅ローンの年末残高以外の金額の1%
従来制度の増改築等に係る住宅ローン控除との選択適用となります。
適用期限は平成20年4月1日から平成20年12月31日までに居住の用に供した分とされます。
- 4.土地の売買に係る登録免許税の特例措置
土地の売買に係る登録免許税の特例措置について、適用期限を平成23年3月まで延
長し、税率については次のとおり段階的に引き上げられます。
本則
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特例税率 |
〜H21.3.31 |
〜H22.3.31 |
〜H23.3.31 |
2% |
1% |
1.3% |
1.5% |
- 5.長期耐用住宅の優遇税制の創設
- (1) 長期耐用住宅(200年住宅)
構造躯体の耐久性・耐震性・維持管理容易性・間取り変更可能性等を備えた一定の住宅のことをいいます。
- (2) 登録免許税の特例
新築の長期耐用住宅を取得した場合、一般住宅特例よりさらに税率が引き下げられます。
本則 一般住宅特例 長期耐用住宅特例
所有権保存登記 0.4% 0.15% 0.1%
所有権移転登記 2.0% 0.30% 0.1%
- (3) 不動産取得税の特例
新築の長期耐用住宅を取得した場合、課税標準から控除する額を一般住宅特例1,200万円より引き上げて1,300万円とされます。
- (4) 固定資産税の特例
新築の長期耐用住宅を取得した場合、一般住宅特例よりさらに軽減期間が延びます。
新築住宅特例 長期耐用住宅特例
戸建て 3年間1/2 5年間1/2
マンション 5年間1/2 7年間1/2
- (5) 適用期限
長期耐用住宅等の整備の促進に関する法律(仮称)の施行日から、平成22年3月31日までの間に取得された新築の長期耐用住宅であることが要件とされます。
- 6.ベンチャー支援税制
- (1) 投資額の寄附金控除特例の創設
創業後3年以内の特定のベンチャー企業にの株式を払込により取得した場合に、その金額について1,000万円を上限とする寄付金控除が適用されるようになりました。
平成20年4月1日以後に取得する場合について適用されます。
- (2) 譲渡益の1/2特例の廃止
特定のベンチャー企業の株式を売却した際の譲渡益を1/2に軽減して課税する特例が平成20年3月31日で廃止されました。
- 7.証券税制の改正
株式譲渡益および配当について、10%の軽減税率を平成21年1月から20%とされます。
ただし、経過措置として、平成21年から平成22年末までの2年間、譲渡益500万円以下の部分、および、配当100万円以下の部分については引き続き10%の軽減税率が適用されます。
また、平成21年より、上場株式等の譲渡損失と配当との間の損益通算の制度が創設されます。
- 8.事業承継税制の創設
平成21年度税制改正において、中小企業を対象に「取引所のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」を創設し、中小企業事業継続円滑化法(案)の施行日(平成20年10月1日予定)に遡及適用されることになります。
事業承継相続人が、非上場会社を経営していた被相続人から相続等により、その会社の株式等を取得しその会社を経営していく場合には、その事業承継人が納付すべき相続税額のうち、その取得した株式等(発行済株式総数の2/3まで)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます。
詳細については、次号で解説いたします。
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