法人の節税商品として、最も普及している逓増定期保険の保険料の税務上の取り扱いが見直されることとなりました。
レバレッジドリース、長期傷害保険に続き、国税庁の節税商品に対する規制は、厳しさを増すばかりです。
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1.逓増定期保険
逓増定期保険とは、保険期間の経過により保険金額が5倍の範囲で増加する定期保険と定義されています。
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2.従前の課税関係
これまで、逓増定期保険料のうち、
@ 満期年齢が60歳以下のもの
A 加入年齢+保険期間×2≦90であるもの
は、全額損金算入できました。
一定期間中に解約した場合、掛け金の相当額が解約返戻金として返還されるため、課税の繰り延べを図ることができ、節税商品として広く利用されてきました。
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3.改正案の内容
この2月中旬に逓増定期保険料の損金算入規制が通達の改正により見直され、満期年齢45歳以下のもののみ、全額損金算入できることとなります。
満期年齢45歳超のものについては、次の要件で、保険期間開始の時から6割の期間で一定額を資産計上することとなり、資産計上された額は、残り4割の期間で、均等に償却していくこととなります。
要件 資産計上額
@ 満期年齢80歳超、加入年齢+保険期間×2>120 3/4
A 満期年齢70歳超、加入年齢+保険期間×2>95(@を除く) 2/3
B 満期年齢45歳超(@Aを除く) 1/2
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4.改正通達の適用時期
改正案においては、改正後の取り扱いは、平成20年 月 日以後の契約に係る逓増定期保険の保険料について適用し、同日前の契約に係る逓増定期保険の保険料については、なお従前の例による、とされています。
具体的な適用時期については、改正通達の公表を待たなければ、分かりませんので、今契約する逓増保険料の取り扱いが、新旧いずれの通達によるのか、判断できません。
法律不遡及の原則を考えれば、改正通達の公表までの契約については、従来どおりの取り扱いとなる可能性も大いにあります。
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