平成19年度税制改正で、減価償却制度が大幅に改正されました。平成19年4月1日以後取得分と平成19年3月31日以前取得分で、償却方法が全く違いますので、注意が必要です。
企業にとって設備投資は、事業展開、資金繰り、税金に密接に関係します。減価償却制度を理解することで、事業計画、節税の一助になれば幸いです。
- 1.改正の内容
- (1) 償却可能限度額の廃止
減価償却資産について、償却可能限度額(95%)を廃止し、備忘記録1円を残した全額が償却可能となります。
- (2) 平成19年4月1日以後取得分
@ 新定額法
取得価額×定額法償却率
A 新定率法
帳簿価額×新定率法償却率(=定額法償却率×2.5)
この金額が償却保証額※より少なくなる年度から、定額法に切り替えます。その際の定額法の償却額は、改定取得価額(直前簿価)×改定償却率(残存年数の定額法償却率)になります。
※ 償却保証額=取得価額×保証率
- (3) 平成19年3月31日以前取得分
平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産については、従前の償却方法※で償却限度額(取得価額の95%)まで償却した年の翌年以降5年間で帳簿価額を均等償却します。
※ 旧定額法:取得価額×0.9×定額法償却率
旧定率法:帳簿価額×旧定率法償却率
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2.10万円未満の減価償却資産
10万円未満の減価償却資産については、資産計上の必要はなく、取得時の経費にすることができます。
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3.少額減価償却資産の特例
平成20年3月31日までに取得した30万円未満の減価償却資産については、合計300万円を上限として、全額損金算入することができます。
ただし、償却資産税の課税対象になります。
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4.一括償却資産
20万円未満の減価償却資産については、3年均等償却で損金算入することができます。
また、償却資産税の課税対象にはなりません。
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5.中古の高級車
6月決算の法人が7月に4年落ちの中古の高級車(普通車)を500万円で取得したとすると、その事業年度の償却費として4,999,999円を損金算入することが出来ます。
その計算は次のとおりです。
取得価額:5,000,000円
耐用年数:6年−4年+4年×0.2=2.8年→2年
償却率 :0.5×2.5=1.25→1
償却額 :5,000,000円×1−1円(備忘記録)=4,999,999円
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