【金庫株】

1.金庫株の解禁
 平成13年10月1日より、自己株式の取得と保有が原則自由に行えるようになりました。
 ただし、資本充実維持の原則、株主平等の原則等の理由で一定の制限が設けられて
います。

2.資本充実維持の原則
(1) 配当可能利益
 自己株式の取得財源は、配当可能利益に限定されます。

 配当可能利益=資本の部の合計額−資本金−資本準備金−利益準備金
          −繰延資産超過額−金融商品評価益

(2)資本金等の取崩
 資本金、資本準備金、利益準備金の取崩額を取得財源とする場合は、債権者
保護手続をとる必要があります。

 債権者保護手続とは、債権者に対して異議申し立てることのできる旨を公告お
よび催告し、異議を申し立てた債権者には、弁済、担保提供等を行うことをいいま
す。

 資本金を取り崩す場合には、株主総会の特別決議が必要になります。

 資本準備金、利益準備金を取り崩す場合には、資本準備金と利益準備金の合
計額が資本金の4分の1を超える部分に限られます。

3.株主平等の原則
 特定の者から市場を通さず、相対で買い受ける場合には、定時株主総会の特別決
が必要になります。

4.消却
 自己株式の消却については、取締役の決議で行うことができます。

5.売却
 自己株式の売却については、取締役の決議で行うことができます。

 ただし、特定の者に有利な価格で売却する場合には、株主総会の特別決議が必要に
なります。

 また、定款に株式の譲渡制限がある場合には、株主総会の特別決議が必要になりま
す。

6.株主の税務
1)みなし配当
 売却価額がその株式に対応する資本等(資本金および資本準備金)を超える部
分が、みなし配当となります。

 ただし、個人株主が上場株式等を市場を通じて売却した場合や公開買い付けに
応じた場合には、みなし配当はないものとされます。

2)譲渡損益
(1) 売却価額>その株式に対応する資本等

譲渡損益=その株式に対応する資本等−帳簿価額

(2) 売却価額≦その株式に対応する資本等

譲渡損益=売却価額−帳簿価額

4.ケーススタディ
1)前提条件
取得価額300万円
その株式に対応する資本等240万円(資本金200万円、資本準備金40万円)
売却する場合の売却価額320万円

2)取得時の仕訳
<会計上>
(借) 自 己 株 式 300万円 (貸) 現 金 預 金 288万円
                       預  り  金  12万円

<税務上>
(借) 自 己 株 式 240万円 (貸) 現 金 預 金 288万円
   利 益 積立金  60万円    預  り  金  12万円

3)売却時の仕訳
<会計上>
(借) 現 金 預 金 320万円 (貸) 自 己 株 式 300万円 
                       他 資本剰余金  20万円

<税務上>
(借) 現 金 預 金 320万円 (貸) 自 己 株 式 240万円
                       資 本 積立金  80万円

4)消却時の仕訳
<会計上>
(借) 資  本  金 200万円 (貸) 自 己 株 式 300万円
   他 資本剰余金 100万円

<税務上>
(借) 資  本  金 200万円 (貸) 自 己 株 式 240万円
   資 本 積立金  40万円

ストックオプション

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