カワイ ED50 (1/40・35ミリゲージ)

川合模型製作所(現在のカワイモデルの兄弟会社で、製造部門を担当)の製造による、40分の1・35ミリゲージ三線式の製品である。ED50は後のED17で、製品も昭和14年版カタログではED17を名乗っている。
35ミリゲージは当初、1067ミリ軌間の車輌を30分の1で模型化するため、5センチゲージに継ぐわが国2番目の模型標準軌間として採用されたが、室内模型としてはサイズが大きすぎるという意見や、海外のOゲージ隆盛の影響もあり、扱いやすい大きさとして、昭和10年代より40分の1の製品やパーツが発売されるようになった。
車体はブリキ製、台車枠は分厚な真鍮鋳物の板材にパーツをハンダ付け・ネジ留めしたもの。塔載モーターは「カワイエクセルモーター」、界磁積厚さ10ミリ、アマチュア径34ミリ、最大出力7ワット。台車軸距68ミリ、PS10型パンタグラフを装備している。
このころのカワイ製品の特徴として、ボス留めの車輪、格子付のヘッドライトなどが現在とは違った手法として目を引くが、やはり注目したいのは、いまで言うインサイドギヤを創案、採用したことだろう。スパーギヤ伝導が多かった当時、ウォーム1段駆動で数枚のスパーにより連動する方式は斬新で、なじめないユーザーもいたとのことだが、ご存知のようにこの方式は戦後急速に普及し、特にある時期のHOの動力機構はこれなくしては語れないほどである。なお、当初は「インサイドベアリング」と称していた。
また、逆転スイッチ(商品名『ダブル切換スイッチ』)が同軸式のライト点滅用レバーを備えているのも、戦前の製品ならではの親切さが出ていて好ましい。ナンバープレート脇のカワイの銘板、およびステップが3箇所欠損しているが、ゴム被覆電線を見てもわかるように、ほかは製造当時のままで、良好な状態といえる。昭和14年当時の価格は、塗装済み完成品24円、分売パーツとして車体3円50銭、台車枠5円、モーター2円50銭ほかがあった。
【16/8/7掲載】


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