Webいぬしん尚古館  模型の本・表紙ギャラリー

 大正時代に始まった通俗科学雑誌の相次ぐ創刊は、副産物として、素人工芸や植物栽培など当時の知識階層に「科学的な趣味」としてささやかなブームをもたらしましたが、その中に電気機関車を中心とする鉄道模型の製作を解説した記事が、模型飛行機やラジオの記事とともに大正末年から現れ始めました。
 昭和に入ると、「子供の科学」誌を中心に科学教育の一環として、また青少年向けの趣味として電気機関車を含む各種模型製作は盛んになり、各誌の主催による模型展覧会や、機関車の速力競技会が開催されるまでになりました。この「模型工作熱」とも言うべき現象は、戦争直前に文部省が、模型工作を学校教育のカリキュラムに組み入れたことも手伝い、いよいよ盛りあがりました。その勢いは敗戦の後も衰えることなく、終戦の数ヶ月後には陸続と科学・模型雑誌の創刊・復刊が相次いだことからも、人気の凄さがうかがえます。
 戦後も「模型とラジオ」誌の成功に代表されるように、模型製作は青少年の大きな楽しみのひとつでしたが、国民の所得が急激に向上し始めた昭和40年代を境に、さしもの「模型工作熱」も次第に陰りを見せ始め、昭和59年「模型とラジオ」の終刊をもって、わが国の青少年向け模型工作雑誌の系譜は終焉を迎えることになりました。現在ではひとり「子供の科学」のみが、同誌が模型工作普及の尖兵となった、大正末当時と変わらぬ編集方針で、模型工作記事にも相応のスペースをさいており、往事をしのばせる貴重な存在となっています。
 Nゲージに代表される、現在の鉄道模型のささやかながら堅実な発展ぶりは、これからご覧に入れる科学・模型工作雑誌が築いた、多くの模型愛好者という基礎があったればこそ、と言っても過言ではない一面があります。

 本項では、「犬走志ん」誌上では一色印刷のためご覧いただけなかった、表紙画の色彩を楽しんでいただくのを第一義とし、本文頁については著作権とのかねあいもあり、ご要望があれば逐次一誌一頁程度併載して行く方針でゆきたいと思っております。なお詳細については、「犬走志ん」各号掲載の記事、「つくるながれ」「昔の本色々」「いぬしん尚古館」「雑録『科学と模型』考」をご参照下さい。また、はぐるまや模型店に常設された「はぐるまや文庫」で一部を閲覧できますのでご利用下さい。


★朝日屋/科学と模型社
朝日科学玩具工場カタログ 昭和7年(本文あり)
科学と模型 昭和5年8月号
科学と模型 昭和5年9月号
科学と模型 昭和7年2月号
科学と模型 昭和7年4月号
科学と模型 昭和8年6月号
科学と模型 昭和8年10月号
科学と模型 昭和9年1月号
科学と模型 昭和9年6月号
科学と模型 昭和10年4月号
科学と模型 昭和14年7月号(表2広告あり)
科学と模型 昭和14年10月号(表2広告あり)
科学と模型 昭和14年11月号(広告あり)
科学と模型 昭和15年5月号
科学と模型 昭和16年10月号(本文あり)
科学と模型 173号 昭和21年6月発行
科学と模型 174号 昭和21年8月発行
科学と模型 175号 昭和21年9月発行
科学と模型 198号 昭和27年1月発行
科学と模型 199号 昭和27年2月発行
科学と模型 200号 昭和27年6月発行(広告あり)
科学と模型 201号 昭和27年9月発行
科学と模型 202号 昭和27年10月発行
科学と模型 203号 昭和27年11月発行
科学と模型 204号 昭和27年12月発行
科学と模型 205号 昭和28年1月発行(表4広告あり)

★誠文堂新光社
子供の科学 昭和2年12月号
子供の科学 昭和4年5月号
子供の科学 昭和4年11月号
子供の科学 昭和8年11月号
子供の科学 昭和9年3月号
電気機関車と電車の作り方(本間清人著) 昭和5年1月発行
高級電気機関車の作り方(山北藤一郎著) 昭和5年12月発行
電気機関車の作り方(山北藤一郎著) 昭和15年7月発行
模型鉄道レイアウトの作り方(國峰孝太郎著) 昭和24年1月発行
電気の知識と工作(山北藤一郎著) 昭和35年6月発行
HO車両とレイアウトの工作(松沢正二著) 昭和37年1月発行

★科学教材社
少年工作 昭和24年1月号
少年工作 昭和24年4月号
少年工作 昭和24年7月号
少年工作 昭和24年9月号
少年工作 昭和24年10月号
模型とラジオ工作 昭和28年1月号
模型とラジオ工作 昭和28年2月号
模型とラジオ工作 昭和28年12月号
模型とラジオ工作 昭和29年1月号
模型とラジオ工作 昭和29年3月号
模型とラジオ工作 昭和29年4月号
模型とラジオ工作 昭和29年6月号
模型とラジオ工作 昭和29年7月号
模型とラジオ工作 昭和29年8月号
模型とラジオ工作 昭和29年11月号
模型とラジオ 昭和31年6月号
模型とラジオ 昭和34年2月号
模型とラジオ 昭和34年5月号
模型とラジオ 昭和34年6月号
模型とラジオ 昭和34年11月号
模型とラジオ 昭和35年9月号
模型とラジオ 昭和35年12月号
模型とラジオ 昭和36年10月号
模型とラジオ 昭和37年5月号
模型とラジオ 昭和38年2月号
誠文堂代理部カタログ 昭和14年
日本理科少年 昭和17年4月号

★技術出版
模型と工作 昭和36年7月号(創刊号)
模型と工作 昭和37年2月号
模型と工作 昭和37年12月号
模型と工作 昭和38年7月号
模型と工作 昭和39年3月号
模型と工作臨時増刊・新鉄道模型工作ハンドブック 昭和38年8月発行
模型と工作臨時増刊・車両とレイアウトの製作 昭和39年12月発行
特集模型と工作・鉄道模型工作ハンドブック 昭和42年2月発行

※「模型と工作」は「模型とラジオ」とならぶ戦後の代表的総合模型工作雑誌です。刊行期間は「模型とラジオ」に比べて長くありませんでしたが、鉄道模型の記事では、主力執筆者である合葉博治氏が、塗装から牽引力テストまでさまざまな分野にわたり、基礎知識を詳しく解説するこの種の雑誌としては野心的な記事で模型少年たちを魅了しました。また鉄道模型記事のみの別冊特集も多数発行され、一時代を築きました。


★ラジオと模型社・少年文化社
ラジオと模型 昭和22年3月号
ラジオと模型 昭和23年7月号
ラジオと模型 昭和23年8月号
ラジオと模型 昭和23年11月号
ラジオと模型 昭和23年12月号
ラジオと模型 昭和24年4月号
ラジオと模型 昭和24年5月号

★教誠社
モデランド 昭和23年1月号
モデランド 昭和23年2月号
モデランド 昭和23年6月号
モデランド 昭和23年7月号
模型少年 昭和24年2月号
模型少年 昭和24年6月号

※「ラジオと模型」「モデランド/模型少年」はともに短命ではありましたが、終戦直後の科学工作雑誌界を彩った印象深い雑誌です。「ラジオと模型」は米原徹夫氏が金沢市で創刊、その後東京に本拠を移し、米原氏退陣後に誌名を「ロケット」と改題、航空関連の記事を得意とする雑誌に変貌してゆきました。
「モデランド/模型少年」は、卸業者である教誠社がタブロイド判新聞のスタイルで創刊し、すぐに中綴じ雑誌体裁となり、年を経るにつれて次第に判型を大型化、誌名も改題するなど変化の多い雑誌でしたが、鉄道模型の製作記事は有名執筆者に依頼するなど、大変力を入れていました。

★資文堂
科学玩具 昭和6年2月号
科学玩具 昭和6年5月号
科学玩具 昭和6年12月号
科学玩具 昭和7年1月号
電気機関車の作り方(増井健吉著) 昭和5年12月発行

★面白い科学社
面白い科学 昭和9年10月号(広告あり)

★グランツカンパニー/模型界社
模型界 昭和7年2月号
模型界 昭和7年5月号

※「模型界」は東京有楽町にあった小売店、グランツカンパニーが発行していた小冊子です。同店は下掲の千代田計器の 鉄道模型の他、工具、望遠鏡材料などを扱っていました。

★千代田計器工作所
Electric Locomotive Chiyoda's Model(カタログ) 昭和10年ごろ(本文あり)

※川合とならぶスケールモデルメーカーの草分けのひとつ。32ミリゲージ42分の1を採用、その後の0番ゲージの縮尺に影響をあたえました。

★川合模型製作所/カワイモデルストア(現カワイモデル)
模型鉄道 第5号 昭和12年5月発行
模型鉄道 第6号 昭和12年9月発行(表紙写真:故酒井喜房氏)
模型鉄道 第7号 昭和12年11月発行
模型鉄道 第8号 昭和13年1月発行
模型鉄道 第9号 昭和13年3月発行
模型鉄道 第10号 昭和13年5月発行
模型鉄道 第11号 昭和13年8月発行
模型鉄道 第12・13合併号 昭和13年11月発行
模型鉄道 第18号 昭和15年3月発行
模型鉄道 第19号 昭和15年9月発行
模型鉄道 第20号 昭和15年11月発行
模型鉄道 第21号 昭和16年5月発行
模型鉄道 第23号 昭和16年10月発行
模型鉄道 第24号 昭和16年12月発行
模型鉄道 第26号 昭和17年8月発行
模型鉄道 第28・29合併号 昭和18年8月発行
小型鉄道(カタログ) 昭和12年5月発行
モケイ(カタログ) 昭和14年8月発行
カワイモデル・カタログ4 昭和32年発行
カワイモデル・カタログ7 

※雑誌「模型鉄道」は、川合模型製作所の肝いりによって創立された、模型鉄道研究会を発行元として昭和11年4月に創刊。純粋な鉄道模型専門誌としてはわが国初のものです。現在でいえば「KATO NEWS」や「KILOPOST」と同じく、模型メーカーの宣伝誌ではありましたが、良心的な編集と洒脱な紙面で定評がありました。最近逝去された酒井喜房氏は川合の社員と同誌主幹を兼務しておられました。また同誌は9号に掲載の湯山一郎氏の論文「模型鉄道の標準軌間」を皮切りに、 Oゲージを強力に推進したことでも知られており、川合がはじめて発売したOゲージ製品とともに、戦後のOゲージ隆盛の基礎となりました。


★機芸社(現機芸出版社)
誰にでも作れる電気機関車の製作法(山崎喜陽著) 昭和21年12月発行
鉄道模型の第一歩 上巻(山崎喜陽著) 昭和22年10月発行

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