やはり文化祭
あれも文化祭が発端だった。ほかに出会いはなかったのか?と自分にツッコミたい。
が、しかしやはり一年のうちで大量の女の子と友達になれるのは文化祭だけだった。
あれは高校2年の文化祭だった。
高校2年。実はうちの学校は進学校だったので、高校三年生は受験勉強のため、
文化祭はお休みするのが通例だ。したがって、高校2年生が
一番濃いフェロモンを吐き出しつつ、やりたい放題
だったのである。ひとこと注意しておくが、やましいことは何もしていないぞ。
今はなんというのか知らないが、当時、一番ナンパなイベントは
「フィーリングカップル」
だった。一時は超人気番組だった「ねるとん紅鯨団」そのものといってもいい。
まあ、文化祭の一室でやるようなものだから、
基本的にその内容は、一種のショーであって、企画モノであった。
つまり、そこで本気で「新しい彼女を見つけるぞ!」
なんていう意気込みで出ていっても失敗するだけなのだ。
ここはやはり普通に
「笑い」をとる目的だけで会話しなくてはいけない。うちの営業とは、その点で大いに違っていた。
今回の主人公の女の子は、残念ながら、その登場してくれた女の子の中にはいない。
実はそのフィーリングカップルで知り合った女のコとの話もあるのだが、それはいずれ別の機会に。
今回の主人公、名前は第2部から紹介することにしよう。
うちの文化祭は、9月のなかばにあった。
しかし、彼女が僕の目の前に姿をあらわすのは、11月のことだ。
今日はそれまでの過程を書き綴ってみたい。
9月某日・文化祭の直後・渋谷での打ち上げにて。
友人「なあなあ、駒場東大前の駅の掲示板におまえのこと書いてあったぞ」
僕「へ? なんて?」
友人「なんか電話番号が書いてあった。かけてくれだとさ」
僕「それはおれに、『つきあってほしい』ということか?」
(←先走りすぎ&喜び)友人「なんか、勘違いしてるみたいだな、そいつ」
僕「?」
友人「かっこいい●(僕)クンへ、だってさ」
僕「!」
(←狂喜)しかし、うれしいあまり、過去に起きた過酷な事件を思い出せなかった愚かな僕だった。
(戦記その2参照)
しかし、それ以降、そのことが話題に上ることはなかった。
なぜなら、無情にも駅の掲示板はその日の夜中には消されてしまうからだった。
僕らの渋谷の打ち上げが終了するのは次の日の明け方だった。
掲示板の書きこみは次の日まで残しておいてくれよ!
心のなかでそう叫んだ僕だった。
10月某日、普通の日。
友人「なあ、昨日の放課後、裏門でおまえのこと待ってた女のコがいたぞ」
うちの学校が使用する駅は二つある。ひとつが駒場東大前で、
もう一つが池尻大橋だった。
そして学校にはそれぞれの駅に向かって二つの校門があった。
僕は池尻大橋&正門。そいつは駒場東大前&裏門使用者だった。
僕「知らんな〜。誰だろ」
男子校に通う男にとって、女の子が門で待ち伏せ、というのは実にうらやましい
シチュエーションだった。
特に、バレンタインの日に門に女のコが立ってると、
「なんでおれにはないねん!」
と意味不明の怒りが頂点に達してしまうのだった。
そして、さらに不満なのは、そのうらやましいシチュエーションにもかかわらず、
おれが会えていない
ということだった。すれ違いでは目的が達せられないではないか。
11月某日
考えてみれば、その女のコもよく2ヶ月も想い続けられたものだ。
ようやくその女のコの念願がかなって、僕を捕獲することに成功した。
その日、僕が友人らと正門を出ようとすると、見たことのない女の子が三人ほど立っていた。
(おいおい、待ち伏せかよ。どいつだ? こんなカワイイコを待たすなんて)
とか思いつつ、塾の話題などをしながら通り過ぎようとした。
「あの〜、●さんですか?」
うぇっ! おれかい?!
その瞬間ニンマリしてしまったのは事実だ。
一番やらしい笑いだったに違いない。
だってこんなにかわいいんだもの。
三人のうちで一番カワイイ女の子が目の前で僕の返事を待っていた。
この瞬間思ったことは、
ガンダムとか巨乳アイドルの話をしてなくてよかった
ということだった。塾の話ならむしろ尊敬されてしまうに違いない。
しかし、その僕の興奮は次の彼女のセリフでちょっとレベルダウンした。
「向こうの門で●さんに会いたいっていう“友達”がいるんですけど…」
おいおい、君ちゃうの? “友達”なん?
でもまあ、このコがこれだけかわいいなら、きっとその友達もかわいいに違いない。
そう勝手に解釈して、池尻方面の二人を残し、ほくほく顔で裏門に向かった僕だった。
そして、そこで見たものは…
to be continued
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