女の子にすると決めたころから、名前はみんなでずいぶん沢山考えました。フレア、ガイア、ルーラ、etc.etc.。任天堂の回し者みたいな名前が続出で、とうもピンと来ません。結局、犬が来る当日も名前は決まらないままに迎えることになり、次の日になってもまだ決まりません。
その間にも悪さの連発で、とッ捕まえて叱らなくっちゃと思うんだけど、なんと言って呼んで良いんだか分かりません。早く名前を決めないと叱ることも出来ません。長男のボースケは自分達で買ったんだから自分達で付けると言い張っているだけで、なかなか良い名前が出てきません。
最後の最後に家内が「どの本読んでも犬の中で一番頭の良い犬って書いてあるじゃない。昔見た、あの映画のあれの名前にしようよ。」と言いました。
夫婦生活も長くなるとこれだけで分かってしまうのが怖いですがとにかくピンときました。宇宙船の外周がトラックになっていて遠心力で作った重力で壁に張り付きながら、人が走っているんです。壁の赤いランプが点滅し機械の声が話しかけます。
「おはようございます、ボーマン船長。」「おはようHAL」
あの映画とは、アーサー・C・クラーク原作、スタンリー・キューブリック監督、1968年公開の「2001年宇宙の旅」です。そしてあれとは、宇宙船のメインコンピュータHALのことです。春に生まれたから春じやなくて、ハルでもなくて、HARUでもない。原作ではIBMの各文字を一文字づつ後にずらして、シャレで付けた名前「HAL」。
かなり無理やりではありましたが、その日から我が家の子犬の名前は「HAL」になりました。まさかこれから何ヶ月も声が嗄れるほどこの名前を呼び続けることになるとは...。
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