halsstroylogo

HALが来た!

 その日は慌てて家に帰り、ブリーダーさんが来るのを家族全員今か今かと待っていました。いよいよブリーダーさん到着。迎えに出ると後ろの座席にケージが入っています。予想に反してブリーダーさんはご夫妻で来てくれました。ご夫婦とも犬が好きで好きでたまらないという感じ。(良い人そうで良かった〜。)
奥さんの腕にはボーダーコリーの子犬が.....えっ、大〜きい。写真の子より随分大きい。
 ブリーダーさんは、「お客さんから頼まれて北海道のメリーファームというところで産まれた子を入れたんだけど、キャンセルになってしまった。今日が、丁度70日目で毎日毎日どんどん大きくなっていてものすごい元気な子犬だ。これ以上大きくなってしまうと、ますます売るのがむずかしくなくなってしまうし、かといってペットショップに出すのも可哀相なので、どこか良い家に貰われてくれないかと捜している。自分のところはパグのブリーダーをやっているのでボーダーコリーを残すことは出来ない。」などの事情を話してくれました。
 子犬だし初めての家なのに物怖じせず、元気に飛び回っています。手を出す子供達にとびついたり軽く歯を当ててみたりしてじゃれています。子供達も気に入ったみたいだし、僕の気持ちももう決まっていましたが、家内はなんか浮かない顔をしています。
「どうしたの、可愛いじゃない、これにしようよ。」
「でも、大きいし、ものすごく元気だし、いまからこれじゃ私の手に負えないんじゃないかしら。今日のところは連れて帰ってもらって、もう一回良く考えてみましょうヨ。」
と言うのです。
 僕の頭の中では、連れて帰る→ペットショップ→変な家に飼われる→不幸な犬になる→雪の降る夜に表に繋ぎっぱなし、という良く分からない理屈がぐるぐる回っていました。
ペットショップで買った犬を大切に家族の一員として可愛がっている人が沢山いるのももちろん分かっていましたが。この子は家に来なかったら幸せになれないんじゃないか、とただただそう思ってしまったんです。
 たしかに思ってたよりうんと大きく、70日の時点で家内の考えていたMダックスとかより大きくなっていたし、ぶっとい前足からみてまだまだう〜んと大きくなりそうだったから、家内が考えてしまうのも無理はないかとも思いました。が、しかし、僕の頭の中はこの犬を家で飼いたいということで一杯だったので、粘りに粘って出された条件を全部丸呑みしてやっと首を縦に振ってもらいました。
 で、ブリーダーさん夫妻が帰って、家族4人と小さいんだか大きいんだか良く分からない白黒の子犬だけになった時、ん...、そうだった、全然今日から飼うつもりじゃなかったから、何にも用意してないや。どこで寝かせるの?トイレはどうするの?
 何も分からないままに初めての夜はふけていきます。
1999年6月3日のことでした。

back  top  next