halsstroy

犬が欲しいよ〜

 月日は流れて、子供達も大きくなってきて犬を飼いたいと言い出しました。
「絶対可愛がるから〜。面倒もちゃんとみるから〜。散歩も朝晩連れてくから〜。」というお決まりの嘘八百、そんな30年も前に自分が使った手に引っ掛かる奴がいるか!と思い、
「じゃ、1ヵ月間毎日6時に起きたら飼ってあげる。」と吹っかけました。
案の定、4日目の朝になるともう起きてきません。

 その間にも何の犬を飼うかで、喧喧諤諤の家族会議が進みます。
長男はゴールデンレトリバーがお気に入り
「だって(アメージングストーリーの)ファルコンみたいで可愛いんだもん。」
家内はマルチーズしか飼った事がなくちっちゃい犬がお気に入り
「だっこしたり、リボンつけたりして可愛がったりできる犬、そうだな〜ミニチュアダックスが良いな〜。」
次男はなんだか良く分からないけど大きい犬は怖いので家内の味方
「ちっちゃい可愛いのが良いよね。」
僕はといえば何でも良かったんですが、ふっと思い出して
「ボーダーコリーって頭が良いんだって、犬の中では一番頭が良いらしいよ。」
とひとつもまとまりません。

 犬飼う熱はどんどん高まっていくのに、肝心の子供達は3日間以上早起きができません。
「1ヵ月早起きなんて長すぎるよ〜。犬も来ないうちからそんなに早起きできないよ〜」
との声に負けて、というよりはこの時点ではもう自分が犬を飼いたくって仕方がなかったから、
「じゃ〜、大負けに負けて2週間だァ〜。」
と思い切って短くしました。
しかし、相変わらず子供達は三日坊主です。ちょうど、犬関係の仕事についている友人に連絡を取ると、アメリカチャンピオンの子供で交配を行なったゴールデンレトリバーがいるという話しなので、家族会議の結果予約することになりました。家族中すっかりゴールデンレトリバーの話しで舞い上がっていて、子供達も5日間早起きができました。
しかし、6日目にはやっぱり起きてきません。
「こんなんじゃ、いつまでたっても犬なんて飼えないよ。」
「え〜、2週間は長すぎるよ〜。もっと負けてよ〜。」
「え〜い、持ってけ泥棒、大負けに負けて1週間!!。」
とほとんどバナナのたたき売り状態です。
結局、僕が1週間毎日早起きして子供達を起こすことでなんとかクリアー。後は子犬の知らせを待つばかりとなりました。

 しかし、待てど暮らせど子犬産まれたの知らせは届きません。待ちかねて連絡を取ってみると
「なんだか、種が付かなかったみたいなんだよね。でも、もう一頭先週交配した子がいるからもうちょっと待ってね」
とのことで、さらに待つことになりました。いろいろ犬の本を読んだりしているうちに、ボーダーコリーのことが少し分かってきました。イギリス原産、スコットランドとの国境近くの羊飼い達が牧羊犬として飼っていたことからボーダーコリーという名前になった、日本で正式に犬種として認定されたのは1976年で比較的歴史が浅いなどなど。そんなある日、友人から
「今度も駄目だったらしいんだけど、どうする?」
と連絡が入りました。
気持ちがすっかりボーダーコリーに傾いていた僕は、しめたと思い
「ふ〜ん、残念だね。じゃもうちょっと考えてみるんで。」
と一旦キャンセルということにしました。

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