シダの入門図鑑「シダハンドブック」(文一総合出版)で基本種を覚えよう! |
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シダなんてどれも同じ見える。そう思っていた私が、この『シダハンドブック』で羊歯(しだ)のスキャン写真撮影と採取を担当することになり、にわかにシダを勉強し始めました。市販のシダ図鑑を数冊購入し、葉の切れ込みの回数、葉脈(よくみゃく)の走り方、柄についた毛や鱗片(りんぺん)の様子・・・など、見分けポイントを繰り返し観察していくうちに、数十種のシダを見分けられるようになりました。するとどうでしょう、明るい土手にはイヌワラビやホシダが雑草のごとく生え、暗い樹林内にはイノデやオクマワラビがわんさか茂っているではありませんか。ワラビさえ見分けられなかった私には、この事実だけでも大きな発見で、自然を見る目がぐっと広がった気がしています。いつの間にかシダを目で追うようになっていました。 シダを覚えていく過程では、何度も壁にぶつかりました。従来のシダ図鑑では、シダが生えた状態の生態写真や、葉の一部分を拡大したイラストがよく掲載されていますが、いざシダを見分けようとすると候補を絞るのが難しく、結局は図鑑を1ページ目からめくっていくはめになりがちでした。しかも、この方法でも見過ごしてしまうことが多くありました。原因は、葉1枚の全体像がわかるビジュアルが少ないから、と私は思いました。その欠点を補うのが、今回の『シダハンドブック』です。本書では、葉1枚を丸ごとスキャナで撮影し、みずみずしく鮮明な画像をページいっぱいに掲載してあります。また、重要な見分けポイントである胞子嚢群(ほうしのうぐん;ソーラス)の拡大スキャン画像も掲載しています。これにより、パッと見の印象で直感的に候補を絞りやすくなり、1ページずつめくっても見落としが少なくなると思います。 本書に掲載したシダは約77種、大きく項目立てて紹介したのは40種余りです。日本全国のシダに比べるとずっと少ないかも知れませんが、これら数十の基本種を覚えただけで、都市や里山で見られるシダの大半の名前が分かるようになるはずです。「身近なシダの種類が見分けられるようになりたい」「初心者でも手軽に調べられるシダ図鑑が欲しい」、そんな方へオススメするシダの入門書です。 (林 将之) |
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シダハンドブック 発行/文一総合出版 <本書の概要> <掲載種> <ご購入>
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