モーメントとせん断

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加>ダッシュ120のリンケージをしているところです。引込脚とか結構大変です。エンジンはYSをフローティングマウント。これは初めてなので消音効果が楽しみです。こういった新しい試みというか、構造に出会うと、わくわくする一方で、いろいろ不安もあります。材料の強度とかですね。この前のトラスとラーメンの話でも、曲げとか圧縮とか引張といった専門用語(?)が出てましたね。専門家としてこのあたりどうですか?

森>森は加藤さんのように最先端の機体が少ないので、あんまり心配したことがないですね。だいたいゆっくり飛ぶものが多いですし。フローティングマウントは材質はシリコンですか? どのくらいの弾性係数(硬さ)でしょうね。曲げ、圧縮、引張が専門用語かな。そういえばそうですね。気がつきませんでした。「せん断」なんて言葉は専門用語ですね。

加>曲げを受けるというのはわかります。主翼なんかは、機体の重量を支えているので、水平飛行の時はしなっているわけです。こういう状態が曲げですね。せん断というのは、一般によく使いますが、「ばさっと切れる」みたいな意味ですか? 圧縮も引張もわかりますが・・

森>えっと、曲げというのは、断面の一方が圧縮、反対側は引張です。水平飛行だと、主翼の上面に近いところは圧縮側です。ですから、曲げで破壊するという場合には、引張側がちぎれるか、圧縮側が座屈(これわかりますか? しわになる状態です)するかのどちらかです。圧縮に強い材料は、引張側にクラック(ひび割れ)が入ります。クラックは必ず、引っ張られている方向に垂直に入ります。引張強度が強い材料は、逆に圧縮側が座屈します。なんでも曲げてみるとわかりますよ。せん断というのは、これは難しいんです。説明しましょうか?

加>もう十分難しいです。ひび割れが引っ張られている方向に垂直に入るとありましたけど、でも、ひび割れって、ぐにゃぐにゃでまっすぐではないのでは? せん断の話はなるべく簡単にお願いします。

森>えっと、ひび割れがまっすぐじゃないのは、材料が均質でない場合です。引張方向が複雑に変化するので、それに合わせて曲がるわけです。では、せん断の話ですが、主翼を作るときに、上下のスパーの間に長方形のバルサ板を貼るでしょう。リブの間をずっと貼るあれです。あれがせん断補強材です。せん断というのは四角いものを平行四辺形に変形させる力です。平行四辺形の一方の対角線は伸びて、もう一方は縮みます。だから、結局斜めに引っ張られているわけなんですけどね。ああ、自分で説明しても、難しいと思ってしまいますね。

加>ぜんぜんわかりません。しかし、ニュアンスはわかります。主翼の上下のスパーがずれないようにしてるわけでしょう? スパーの後と前に貼りますね。もっとも、一方だけとか、翼端にいくほど減らしますね。

森>リブを補強しているわけじゃないんですよね。あれは。あれを貼る作業は結構好きです。せん断で壊れるときは、断面の中心に斜めのクラックが入ります。主翼のようなものではまず起こりませんが、胴体なんかだと、ショックでせん断することがあるでしょうね。よく、コンクリートの塀なんかにもななめのひび割れがあるでしょう。あれです。

加>コンクリートのひび割れなんか見てませんよ。それは森君の職業眼です。話題を変えましょう。実際の飛行機でよく問題になる疲労破壊はどういった部類ですか? それから、塗装した面にひびが入ることがありますが、これはどうです?

森>森なんかどこへ言ってもコンクリートのひび割ればっか見てますね。ひび割れを見ると、どんな力が働いているかがわかります(わかって面白いものでもありませんけど)。疲労破壊は、低い応力の繰返しによるもので、やはり、曲げやせん断、引張などいろいろです。繰返しといっても何百万回とかのオーダーです。でも、エンジンの振動だと、1秒間に100回くらいですからね。塗装のひびは森は専門外です。これは、化学だから加藤さんのフィールドでしょう。

加>フラッターで壊れることもありますね。会長のジェット(T2)がそうでした。塗装のひびは、重ね塗りをして、各層の塗料の収縮率が違っている場合に起こりますね。生地にひびが入っても、伸縮性がよい塗料だと表面にでません。なんか、話がはぐらかされている感じですね。せん断の話は、今度会ったときに絵を描いて説明して下さい。接着剤の強度なんかも知りたいところです。今日は、このへんで工作に移りたいと思います。



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