スペースシャトルの実験

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森>毛利さんがスペースシャトルで紙飛行機を飛ばすという実験をしましたね。あの前に、パソコン通信のフォーラムで懸賞問題みたいになったんですよ。どういうふうに飛ぶのかって。それで、森はメダルをもらいました。

加>それは難しそうです。しかし、面白い問題です。条件としてはどんな設定だったのですか?

森>紙飛行機の構造はわかりませんでした。とにかく、地上でまっすぐ飛ぶように調整されたものという条件で、それが無重力状態でどうなるかということです。実際には、途中でNHKかどこかの人が飛行機の具体的な形を知っているということで、公表していましたが、それは関係ありません(関係ないと主張する人が多かったですが)。

加>うーん。少し考えてみましょう。地上でまっすぐ飛ぶということは、浮力と重力が釣り合っているわけですから、そこから重力がなくなれば、当然、無重力では上昇することになりますね。これではだめですか?

森>まず、大半の人がそう考えるでしょう。そこで、上昇のしかたが問題になりました。くるくる宙返りを繰り返すという主張が最初にあったと思います。なかには、コンピュータシミュレーションを駆使して解析結果を報告する人も出てきました。某大学の航空学科の先生もいたくらいです。ところが、残念ながら、この意見の人はメダルがもらえませんでした。

加>ほとんど飛行機としての「飛行」をしないのではないですか? ただ紙屑のようにまっすぐ飛ぶとか?

森>実験の結果はTVでも放映されましたが、正解は、ロールするのです。自慢ではないですが(というときは間違いなく自慢です)、森が最初にロール軸のことを言ったのです。この懸賞問題に口を出す気はなかったのですが、誰も気がつかないようなので、ちょっとコメントしました。つまり、エレベータのピッチ軸とラダーのヨー軸の2軸は、進行方向に運動している限り、尾翼による修正効果が働きます。しかし、ロール軸だけが、進行方向と一致しているため、特殊な軸になるのです。ロール軸の自己安定は、よく知られているように、上反角によります。上反角の効果は、飛行機の横滑りによるもので、これには重力が関係しています。ですから、地上で安定して飛行するように調整されたとはいっても、重力による修正効果の許容範囲内で安定しているにすぎません。

加>なるほど、理屈ですね。ロール軸の自己安定には主翼の後退角も関係すると思いますが、紙飛行機には後退角があると思います。これはどうですか?

森>後退角による修正効果も横滑りによるものです。傾いた方向に飛行機が落ちていってはじめて働くわけですから、落ちていかない条件では無意味です。森は、はっきり言ったわけではなく、「みなさんピッチ軸に関する議論をしていますが、問題となるのはロール軸ではないでしょうか」と書いただけで。しばらくしたらメダルを送って来たので、思い出したのでした。つまりですね。無重力では、ピッチ軸もヨー軸も同じです。なぜ、宙返りのピッチ軸が話題になってヨー軸がでないのかと最初に疑問に思ったのです。

加>重力があるところで安定しているということで、それがなくなる→ピッチ軸の不釣り合い、という発想になります。ローリングするのはよいとして、ピッチ軸の不釣合いが完全になくなるとは思えませんが・・・

森>そうですね。このあたりは森もよくわかりません。しかし、紙飛行機は落ちているから浮力があるのではないですか? 落ちていなければ、最初の速度があんなに長時間持続するとは思えません。少し下向きにに下がりグライドしているから、下から風を受けて、その仰角で浮力を得ていると思います。無重力では落ちませんから、最初の投げた速度で少し上がっても、やはり、尾翼で修正されると思います。

加>しかし、尾翼が少しエレベータアップになっている状態かもしれません。その場合は、やはり宙返りするのではないですか?

森>うーん、そうですね。だんだん森もわからなくなってきましたね・・・ははは。ところで、無重力では鳥はどうなるのでしょう? これも面白い話題ですね。

加>鳥の場合はどうなるのでしょう、よりも、どうするのでしょう、が問題ですね。動物がどう反応するのかです。ヘリなんかも実験したら面白いでしょうね。まぁ、最初からホバリングしているわけですが。

森>リボリューションにシールドバッテリィを抱えさせて飛ばせますね。静止状態で少しマイナスピッチにしておけば飛ばせるのかな? これも結構難しい問題ですね。



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